オフィスの引っ越しとともに、私たちが脱ぎ捨てたもの。
2019年8月、SUGOIは2つの大きな決断をしました。
1つが、ビジョンマップの策定、そしてもう1つが、引っ越し。
2011年の創業以来のほとんどの時間を、SUGOIは表参道にオフィスを構えていました。多くのお客さんにも表参道のイメージが定着していたはずで、さらに、自分たちにとっても、当然SUGOI=表参道というイメージはありました。
そんな表参道から、私たちは離れる決断をしました。
元々の理由は、前の物件が手狭になったからでしたので、別に表参道を離れる必要性はなかったのですが。それでも、表参道を離れて、別の場所に移動しようと考えました。
ということで、オフィスの場所に関しては、完全に白紙の状態からスタートした次のオフィス探しでした。
2ヶ月ほどいろいろな物件を見ながら、最終的に3つほどに選択肢が絞られて行った時でした。私と代表の秋葉さんとの意見が全く合わなくなってしまいました。
秋葉さんは、現在の物件を一押しにしており、一方の私は、代々木辺りの物件を一押しにしていました。
ちなみに、私と秋葉さんとの意見が合わないことはほとんどありません。どちらかが気を使っているのでもなく、遠慮しているのでもなく、二人ともがSUGOIのために考えているので、その選択が大きくずれることはありません。
逆に言えば、二人の意見がずれるときは、どこかに大きなズレが生じているときなんですね。
さて、二人の考えのズレについてわかっていただくために、物件の情報をわざわざコマゴマと出してみますね。
物件のスペックは以下の通りです。
(金銭的な条件はほとんど変わりませんでした。)
秋葉さん物件
ワンルーム
コンクリート打ちっ放し
デザイナーズ物件
池尻大橋徒歩10分 中目黒徒歩12分
築3年
私の物件
2LDK
リフォーム済み物件
北参道駅徒歩1分
築26年
この時に私が考えていた北参道の物件の良さは、収納の多さと、駅からの近さ。
つまり、使いやすさでした。
クリエイティブで、特に映像をメインとする限りは、撮影機材の保管がどうしても必要となってきます。さらに、社内・社外問わず打ち合わせのスペースも必要となってきます。
そう考えた時に、最低の間取りとして、打ち合わせの部屋・機材の保管用の部屋・そして、 PARKの作業空間。
この3つがどうしても必要となります。その条件を満たしていたのが、北参道の物件だったために、私はこの物件が一押しだったのです。
この観点から見たときの中目黒の物件は、収納はかなり少なく、部屋のつくりもワンルーム。どうしてもPARKの作業空間と打ち合わせの空間を分けることができません。さらに、機材を置くとシンプルですっきりした空間の印象が汚くなってしまいます。
こんな条件ではすぐに部屋が汚くなるか、使いこなせなくなってしまう。そう考えたのでした。
この話を秋葉さんに何度か説明したのですが、それでも秋葉さんは中目黒のほうがいいと言い続けていました。
ちなみに、秋葉さんの発言は、ロジックよりも、感性の方が強いので、真意が読めないときは、かなり読みにくいです。笑。
この時もそうでした。簡単に行ってしまえば、ロジックで考える限りは、北参道が正解なのです。そして、中目黒は不正解なのです。
何度同じ説明を繰り返したところで、秋葉さんは中目黒のほうがいいと言い続けるので、私は自分の思考を解体することにしたのです。つまり、なぜ自分は北参道の物件を良いとしているのか。
いや、もっと言えば、その北参道の物件を良いとする条件設定はどこからきているのか、です。自分の前提条件を探りに行きました。
もしこの前提条件が同じであれば、秋葉さんと私は同じ結論に辿り着くはずなのです。それであれば、前提条件自体がずれている、そう考えるべきだと考えました。
ここまで思考をさかのぼることでやっと見えてきたことが1つありました。
それは、私は変化しようとしていなかったのです。
つまり、今まで通りのスタイルをどうレベルアップさせるかを考えていました。
映像製作会社として、打ち合わせスペースとメンバーの空間を区別して、撮影機材がたくさん置いてあって、という、今まで通りのSUGOIの形を維持しようとしていました。
しかし、もし自分たちの掲げているビジョンから考えた時、つまり未来から現在まで線を引っ張った時、その線上には、映像製作会社のSUGOIは、存在してはいけないのです。存在すべきは、映像製作会社ではないSUGOIなのです。
つまり、表参道のオフィスのちょっと良くなったものに引っ越しをしていては、成長が足りない。それも、圧倒的に足りない。そんな普通の階段の登り方じゃ間に合わないのです。
そのことに気づいた時に、すぐに秋葉さんに伝えました。
「中目黒に引っ越しましょう。そして、この引っ越しで働き方、仕事のスタイル、その全てを見直しましょう。」と。
この発言を受けて、秋葉さんも最終の決断を下し、そして、私たちは8月の半ばに表参道から中目黒の物件へと引っ越したのでした。
次回は、私たちの仕事のスタイルをどんな風に変えていったのか、についてです。(予定)