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失敗してもいいから、とりあえず家を買おう Lunch#71 もかさん
早稲田大学2年生で20歳になったばかりのもかさん。
宅建の勉強の合間にランチをさせてもらいました。もかさん曰く、宅建は国家資格の割には、勉強する分量が少ないのでコスパのいい資格だとか。笑
そんな勉強熱心なもかさんのポイントはこちら
・憧れの先生は在日3世でした
・勉強に意味がない世界
・ひとまず、家を買おう
まずは、憧れの先生は在日3世でした、です。
もかさんが通っていた中学は、治安がそれほどいい中学ではありませんでした。例えば、授業中に廊下でバスケをしている生徒がいるような、そんな中学でした。
そんな中で、自分で黙々と勉強をしながら、学外のクラブチームで競泳に励んでいたもかさんは、学校で特に深い友人関係を作ることもなく、本当に仲の良い人とだけ付き合う、そんな中学生でした。
そんな中学生から見たら、学校なんて別に面白くないし、その中の先生という存在にも特に興味はありませんでした。
先生ってなんかつまんないな、と思ってすらいました。
そんな、もかさんの先生に対する印象を大きく変えてくれたのが、高校の世界史・政治学の先生でした。
教科書の内容を黒板に書いて、それをノートに取らせて、それを暗記すればテストの点が取れる。そんな授業が当たり前だとずっと思っていた中で、この先生は圧倒的に違いました。
世界史の中でも、なぜを問い、そして、自分だったらどう考えるか、を問うてくれたのです。その答えのない問題に直面させてくれたその先生のおかげで、もかさんは、先生に対するイメージが大きく変わりました。
そして、高校3年生の時にはその先生の授業をもっと受けたくて、進学するコースを決定したほどでした。
そんな先生が、在日3世であることを知ったのは、高校3年の授業の時でした。
それまで在日の人と出会うことも話すことも、関わることもなかったもかさん。そんなもかさんが、なぜか、「在日」という存在に悪いイメージを持っていました。偏見というものです。
そして、その偏見イメージは、目の前の尊敬できる先生とは全く合致しないものでした。
この事実に直面したもかさんは、先生だけが特別な例外で、それ以外の「在日」とはやはり悪いものだという、自分に都合のいい解釈で納得する。
そんなことはしませんでした。それよりも、ある疑問を持ちました。
なぜ、会ったこともない、話したこともない、関わりが一切ない「在日」の人に対して、悪いイメージをもっていたのだろう?
この疑問を解消しようと、もかさんは大学で教育学に進みます。歴史教育、政治教育というものに興味を持ったからです。
次は、勉強に意味がない世界、です。
大学に進学したもかさんは、歴史教育の勉強を始めると同時に、もう1つ没頭したものがありました。
それが水球です。
実は、もかさん、2歳からスイミングスクールに通っていて、ずっとクラブチームで競泳をやっていたのでした。さらに、高校に進学すると水泳部がなくて、水球部だけがあったので、水球をそこから始めました。
高校3年間の間に、全国大会やインカレにも出場するほど、水球にも励んでいたのでした。
大学に進んでも、何か1つだけというよりも、やりたいことはできるだけ自由にやりたいという考えのもかさん、勉強だけでなく、水球もやろうと決めて、体育会の水球部に所属したのでした。
しかし、この水球部はスポーツ推薦での入学した人もいるほどの部活動で、部内の雰囲気も水球一本に、大学生活を捧げるほどのものでした。
たとえば、大学の授業の中で、遅い時間帯の授業はとってはいけないという暗黙のルールがあったり、休みの日もなく練習が当たり前に組まれたり、という風に。水球部に所属することで、もかさんの大学生活は水球一色になってしまったのでした。
練習も水球というスポーツも好きで、楽しんでいたのですが、それとは別に、歴史教育や政治教育の勉強もしっかりと進めていきたいと思っていました。
しかし、それが叶わない状況でした。
この状況に対して、悶々と悩む日々が続き、人間関係のこととか水球のこととか色々と考えていたのですが、最終的には退部を決断しました。
2019年の年明けに退部して、そのまま、もかさんは東南アジアのボルネオ島での教育ボランティアへと旅立ちます。
この教育ボランティアは、日本の大学生と現地の大学生が協力して、ボルネオ島に住んでいる不法移民の人たちの教育施設にて、授業を1ヶ月間実施するというプログラムでした。
このプロジェクトの中で、もかさんが直面した問題が、勉強が意味を持たない世界でした。
というのも、この不法移民の子達には、将来どう頑張っても就ける職業の限界が存在しています。具体的に言えば、公的な職業には一切つくことができず、さらには、彼らが住んでいるコミュニティから外に出ることも基本的にはできない。
実用性のある計算と英語以外のことを教えることが、一体何の意味があるのか、もかさん自身ひどく悩みました。
5歳から16歳までの子どもが通っているこの施設の中で、将来の夢という言葉があまりにも空虚な響きを持った言葉だったり、その一方で子どもたちは毎日が楽しいとキラキラした目で語っていたり。
一体、この世界での、勉強の意味とは何なんだろうか、と悩むようになりました。
そんな中でのもかさんの1つの考えは、現地の人を変えないといけない。この不法移民の問題を、不法移民だけの問題にしてしまうのではなく、現地の国や地域全体の問題であると考えなければいけない、と。
だからこそ、現地の人たちが変わらなければいけない。
こんな話を現地の大学生に強く強く訴えるのですが、なぜかあまり響いておらず。。。なぜ、この人たちは、自分たちの国の問題をこんなにも放置してしまっているんだろうと、苛立ち、落胆するばかりでした。
そして、そんな苛立ちを抱えたまま、もかさんは、勉強が意味を持たない世界から帰国するのでした。
最後は、ひとまず家を買おう、です。
ボルネオでのボランティアを終えて、帰国したもかさん。
ボルネオ島では、外国人の立場から何故この人たちはそれほどに真剣に変わろうとしないのか、という疑問を持ち、苛立ちもしていたのですが。
日本に帰ってきて自分自身がローカルの立場になった時に、自分自身がローカルの問題に真剣に向き合っているかといえば。
・・・
自分だってローカルの問題にはそれほど積極的に変えようなんて思っていないことに気づいたのです。もっといえば、そもそもローカルの問題を知らない、と。
そこで、もかさんは、まずはローカルの問題を知ろうと、大学の授業にて「ホームレスの問題」について学んでみます。
そして、そこで家というものが問題になっていることを知ります。
最近では報道もされなくなってしまいましたが、いまだに根強い問題として存在しているネカフェ難民の問題や、不法滞在者の問題、ホームレスの問題など。
家というものにまつわるローカルな問題が、もかさんの目の前に浮かび上がってきました。そこで、とにかく動き始めます。
不動産の登記事務所で働き始めたり、大家さんの集まりに呼んでもらったり、不動産情報を調べてみたり、そして、今では、宅建(宅地建物取引士)の資格の勉強をしています。
さらには、将来的には不動産鑑定士の資格も狙っているとか。
そんなもかさんの直近の目標は、家を買うことだそうです。
それも現金一括で。
ちなみに、これは何千万のお金を持っている裕福な大学生の話ではありません。少し周りよりバイトを頑張っている学生の話です。
というのも、出来るだけ安い物件を買って、それを修繕やリフォームをして、賃貸にだす。その時に、ローンを組んでしまうのではなく、物件を自分のものにして、そこから少しずつ修繕をしながら、賃貸できるものにしようと考えているのだそうです。
その時に、かかる費用は、およそ100万円前後。もかさん自身が自分で頑張って働いたお金で家を買おうと考えているのだそうです。
しかも、その時に考えているのが、この100万円を元手にどうにか利益を取ってやろう、という考え方ではないんです。最初の不動産売買はうまくいかないかもしれない、賃貸も回らないかもしれない、でもそれでもいいんです、と。
大学生のうちにやりたいことは、勉強用に家を買うこと。
もちろん、それでうまく行くのであれば、それでいいのだけれど、失敗するなら大学生のうちにその失敗を経験しておきたい、と。
もしかしたら、あまりにもいきあたりばったりのように見えるかもしれない、もかさんの生き方。その一方で、自分ができることを一つ一つ丁寧に整理しながら、好きな方向へ走っていく。
そのものすごい行動力と、人生の楽しみ方のうまさがとても素敵でした。
2019.9.25 もかさん
高田馬場にて
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