タイトルはギャグみたいだけど、2021年を考えるのにマジで参考になる一冊が、これです。
「京大的アホがなぜ必要か」というタイトルの1冊。京都大学にかかわったことがある人以外には、全く引きのないタイトルです。
この本を知ることができたのは、ナカジ@ANRIさんのTwitterからでした。
スケールフリーネットワーク?不条理?複利?どういうこと?という感じでしたが、読んでみると、現代社会を生き抜く上でとても重要な考え方を提示してくれていました。
それが副題の「カオスな世界の生存戦略」です。
何か難しそうな言葉が並んでいますが、簡単に翻訳すると、この世界には因果関係なんか通用しないカオスなものだから、生存戦略としてはアホの方がいいですよ、ということです。
ビジネスを考えるうえで、マジメであることはとても大切です。データを分析して、競合のことを調査して、自分たちのリソースをしっかりと把握して、こうすれば勝てるだろうという道筋に向けて、進んでいきます。
戦略・戦術と言われるものです。
そこには明確な狙いがあって、思考があって、つまり因果関係が成立するという前提があります。
この最たるものが「選択と集中」という考え方です。勝ち筋を1つ見つけたら、そこに全リソースを投下しよう!という発想ですね。
もちろん、ビジネスの局面によってはこれをやらなければいけない瞬間もあるでしょう。しかし、これにはリスクがつきものであることを理解しなければいけません。
それは、この世界がカオスであるということです。
カオスと言っても、科学が進歩すればそのカオスはいつか解明されるであろう。技術が進歩すれば、いつかそのカオスも把握できるようになるだろう。そう考えるかもしれません。
しかし、人間の動きならまだしも、天気という身近な自然現象でさえ、カオスであることがすでに数学的に証明されています。
それも50年以上も前に。
その証明によると、「天気の長期予測は不可能」と結論づけられています。その不可能というのは、コンピューターの精度のせいでもなく、計測器の正確させいでもありません。
そもそも、不可能である、ということです。
いくらコンピューターが進化しようが、天気に影響を与える気圧の数値などが正確に測れるようになったところで、不可能だという結論です。
原因と結果が必ずしもはっきりとしない「カオス」。これこそがこの世界の正体だったのです。
そこで、必要とされるのが「アホ」です。
「役に立つ」かどうかではなく、こうすれば成功するという「法則」に乗っかるのではなく、「おもしろい」に向かっていけるかどうか。
それが何の役に立つのかどうか、それに意味があるのかどうか。
そんなマジメな基準だけで人間は生きていけません。誰の頭の中にも、アホとマジメが同居しています。
だからこそ、自分の中の「アホ」、因果を無視する考え方、おもろい!に飛びつく好奇心を大切にしてください。
自分の中のアホに寛大になれば、よりクリエイティブな2021年になれると思います。