ダンス公演「机上の空論」を観た感想
会社の先輩が出演するダンス公演「机上の空論」を観に行った。
「見た・観た」というより、「世界観を味わった」というニュアンスに近かった。
観終わったあとは「おぉ………」となり、感想を述べるぴったりな言葉を見つけられないでいた。
言語化すると、言語化されていない要素が削ぎ落とされてもったいないので、変に言語化せず、ただ余韻に浸っていた。
でも、せっかく素晴らしいものを観たのだから、感想を書き残しておきたいと思い、つらつらと書いてみる。
公演は1時間。あっという間の1時間だった。
物語は主人公が本を読みながら寝てしまうところから始まり、シーンが切り替わりながら世界が展開していった。
セリフは1つもなく、音楽とダンスと表情のみですべてが表現される。
言葉を使わずに表現できる人は、本当にすごい。
主人公の他に、白と黒の人たちが登場。
白い人たちのイメージ︰自由、奔放、のびのび、個性
黒い人たちのイメージ︰統率、管理、支配、組織、一体感
最後にはみんなグレーになり、主人公が眠りから覚めて、物語は幕を閉じる。
「自由」と「統率」が対立し、影響しあいながら、一体となっていくお話?と感じた。
・夢のような余韻
一連の物語は主人公が見ていた夢だったように、私も観終わったあと「あれ?夢?現実?よく覚えてない…」みたいな感覚になった。前半はなんとなく展開を覚えてるのだが、途中から白と黒が入り乱れてワーッと踊っているあたりから、よく覚えてない。
もしかしたら主人公は「うまくいった気がしたけど、夢か…。所詮、止揚なんて机上の空論なのか…」と思ったのかもしれない(机で寝てたし)
最後、主人公が歩いて退場するところは、「所詮、夢か…」というネガティブな風にも見えるし、「夢だとしても、イメージはある」というポジティブな風にも見える。よく覚えてないけど、今ならそう解釈できるかも。
・鍛え上げられた肉体と技
びょんびょん跳ね、くるくる回り、四肢はキレイな弧を描き。言葉では言い表せない動きの数々は、ずっと観ていたい美しさだった。日々の研鑚の積み重ねを感じた。
動物としての可動域が、私と全く違う。
あんなに体が動いたら、楽しいだろうな〜!
・いい感じに左脳を使わずに観れた
仕事の影響か、最近左脳が優位になってる気がしてて、そういうときは映画なども「このシーンにはどんな意図があるんだろう?」「作者のメッセージは何だろう?」などと考えながら観てしまうのだが、今回はあまりそのモードにならずに観れた。
もともと「あんまり深く考えずにみよう」と思っていたのもあるが、それ以上に、圧倒的なエネルギーを目と耳と心にぶち込まれて、あれこれ考える暇がなかった、そんな感じ。
・仕事とダンスの両立
仕事とダンスを両立している先輩はすごいなと改めて思った。
この公演は誰でも出られるわけではなく、厳しいオーディションに合格した人にしか出る権利がない。
好きなことを続けるのは楽しいことばかりでは無いと思うけど、それでもその道を歩み、挑戦し続けている姿に、リスペクトを抱かざるを得ない。
やはり、上質なアートやパフォーマンスを観に行くと心にいい刺激を入れてもらえるな、と再認識できた体験でした。
素晴らしい公演をつくってくださった皆様、ありがとうございました!