ゆういち8歳⑥ オンチやな
これはゆういちが8歳の頃のお話。
スミスくん
となりの席のスミスくん。
ゆういちとスミスくんは仲良し。
ゆういちとスミスくん「いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ ういのおくやまけふこえて あさきゆめみしえひもせず ん!」
ゆういちとスミスくんはこれを言うのが楽しみ。
スミスくん「高松市 丸亀市 坂出市 善通寺市 観音寺市」
これは香川県の5つの市。
ゆういちが「いろはにほへと~」と言い始めたので
スミスくんがそれに対抗して言い始めた。
校歌のテスト
ある日。
先生「校歌のテストをします。
歌詞をちゃんと覚えているか?
大きい声で歌えているか?
を見ます。
前の列から立って歌っていって、
できた者は名前を呼ぶので座ってよいです。」
発表の列が近づいてきた。
ゆういち(よし、歌詞はちゃんと覚えてる。大きい声で歌うぞ。)
ゆういちの列になった。ゆういちは歌う。
歌い終わると
先生「ゆたか、さつき、スミス、座ってよし。」
ゆういち(ん?僕の名前呼ばれない。)
ゆういちは、ずっと名前を呼ばれず、立たされていた。
先生「今立たされている者は、校歌の練習しておくように。」
ゆういち、席に座る。
(なんで、名前呼ばれなかったんだろう?歌詞も合っているし、大きい声で歌ったのに。)
スミスくんがゆういちに言った
「ゆういちくん、オンチやな。」
この時、ゆういちは、はじめてオンチであることを自覚した。
それからというもの、ゆういちは人前で歌うことを避けて生きていく。
大人になっても、鼻歌すら歌えない。
おしまい。
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