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【結の人】その① 横關 昌弘さん(渋谷区社会福祉協議会 CSW/SC)

地域づくりに関わる人々は、日々どのような仕事をしているのでしょうか?
「結・しぶや」の運営には、複数の組織から、それぞれに異なる役割を持った、個性的な人々が関わっています。【結の人】では、渋谷の地域をつむぐ人々をリレーインタビューで紹介します。

【結の人】その①は、「結・しぶや」開設初期の常駐メンバーで、南部地域担当の横關 昌弘(よこぜき まさひろ)さんです。

――横關さんの、現在のお仕事を教えてください。

渋谷区社会福祉協議会の地域福祉課 地域総合相談支援係で働いています。「地域福祉コーディネーター(以下CSW)」と「生活支援コーディネーター(以下SC)」を兼任しています。
担当地域は、渋谷区南部で、だいたい、R246から南側のエリアです。「結・しぶや」がある桜丘のほか、恵比寿駅の西側と東側の新橋地区や氷川地区、広尾のあたりも含まれます。
キラキラしたイメージがある場所ですが、生活の拠点でもあります。今年の4月から開設された「福祉なんでも相談窓口」も担当しています。
前職で経理や総務をやっていたこともあり、お金や契約関係のお仕事、職場環境を整える仕事なども最近はよくやっています。 

――地域担当としてのお仕事はどのような内容ですか?

区内の各地域で、地域のさまざまな方が集まる「協議体」が月に1度行われているのですが、SCとして、協議体運営のサポートをしています。渋谷区では、昨年から「協議体」の取り組みがはじまり、今 11地域で協議体が立ち上がっています。協議体は、町会長や民生委員、見守りサポーター、そのほか地域の多様な方が集まって行われるのですが、居場所や見守りといった地域課題に対して、どういう取り組みができるのかを話し合って、実現のために模索をしています。長期視点で考えなければならないことですが、それぞれの地域の特色やメンバーによって個性が出てきていて面白いです。
南部だけで3地区、3つの協議体があり、3名の地区担当のSCで参加をしています。

――協議体からは、どのような取り組みが生まれていますか?

私が担当している南部地区では、「渋谷おとなりサンデー」の期間に持ち寄りパーティーイベントを実施しました。世代を超えて交流できる居場所ができればと、協議体のメンバーが中心となって企画し、渋谷東しぜんの国こども園で開催。また、10月には國學院大学落語研究会の学生さんが子どもたちや地域の方向けに落語を話してくれました。子どもたちが落語を聞いている間におにぎりやお味噌汁を作ったのですが、食材や必要なものは、ファーマーズマーケットなど、いろいろなところから持ち寄りました。地域のみなさんの連携がとても上手く行き、参加した人たちも盛りあがり、大成功でした。

――「福祉なんでも相談窓口」には、どのような相談が寄せられていますか?

窓口に来られる方のお悩みはさまざまで、生活困窮や介護のこと、障がいをお持ちの方、子育てに関する相談などがあります。お悩みに対して、各分野の所管、制度で対応できるのか、制度を超えた対応が必要なのかなど、アセスメントをして対応しています。特定の所管部署や制度で解決するお悩みも多くあると思いますが、「福祉なんでも相談窓口」では、制度や分野を超えた対応をしています。
窓口対応だけでなく、現場に足を運ぶこともあります。例えば、「お隣の木が伸びてきて困る」といったご相談に対し、訪問してみると、家主がご高齢の方だったりします。そこで、お庭の話だけでなく、介護保険のお話しをしたり、さまざまな視点からのご案内ができたりすることもあります。
もちろん、原則 を超えた一時的な支援が必要な場合など、すぐに対応が難しい事もあります。そういった場合でも、まずはお話を伺い、その方がどのような支援を求めているか、地域でどのような支援が可能かを一緒に考えていきます。

――ところで、横關さんはなぜこの仕事を?

今年3月末までは、別の地域の社会福祉法人に勤めていました。最初に勤めた児童養護施設では、高校生の子たちの対応のほかに、8人の幼児のいるお部屋を担当していました。朝ご飯とお弁当を作って、起こして、ご飯食べさせて、着替えさせて、幼稚園に送り出して、掃除をして ひとりひとりの個性を尊重しながら、大家族の家事をワンオペでやっていました(笑)。予定調和とはいかない毎日ですが、あったかいご飯をみんなで食べて、お代わりもできる。ここにいていい、という充足感をあたえてあげたい、と思っていました。
その後、もともとの関心もあって、法人本部の事務職になりました。法人全体の決算などと並行して、地域包括支援センターの事務も行っていました。施設の中のことだけでなく、外のことにも関わるようになり、地域のなかでできる仕事、人と人のつながりをつくる仕事に興味を持ち、今に至ります。
児童養護施設の時の子たちも、今では高校生になりました。それぞれに色々抱えながらも元気にしているのを見ると、子育ての仕事は大変だったけど、いい経験になったなと思います。

――「結・しぶや」ではどんなことに期待しますか?

新しい事や、自分が経験したことのない事を知っている人の話を聞くのが楽しみです。結には、「コミュニティマネージャー」としてサービスグラントさんやタネリーさんがいます。これまでの社会福祉の世界だけではなかなか取り組めなかった新しいことなどにも取り組めるようになります。
何もない所から作る、0→1は大変なことです。これから、どのような団体、企業、人々などがコラボして、どう地域に活動が落とし込まれていくのか、そこからどう、人がつながっていくのか。それを実際に見て、体験したいと思っています。


聞き手:コミュニティマネージャー(認定NPO法人サービスグラント)柴岡