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女ひとりメキシコ横断旅 -食-

「食」に限っていうと、メキシコほど毎日が幸せだった国はない。

メキシコに行くならこれは食べてほしい、いや、これを食べるためにメキシコに行ってほしい。そんなメキシカンを紹介したい。


タコス -tacos-

これは説明するまでもない。メキシコに行くと、日本にどれほど紛い物のタコスが溢れているか、思い知らされる。とにかく美味しい。そのへんの屋台で食べてもちゃんと美味しい。

そして安い。日本で本格的なタコスを食べると1枚600-800円する。これがメキシコで食べると1枚60円そこらだ(今は物価上昇や円安があるかもしれないけれど当時はそれくらいだった)。お腹ペコペコでも4枚食べれば満足したから、1食250円くらい。

Pancho's Takosのタコス・アルパストール。サルサやライムを自由にかけて食べる。添えてあるちっちゃいオニオンがホクホクで美味しい。

私は各地でタコス屋台に入りまくったが一度も外れなかった。屋台だとGoogleマップに登録がなく、オススメできないのが悲しいのだが、実店舗があるお店で一つ、最高で最強、ここに行っておけば絶対に間違いないというお店がある。

プエルトバヤルタのPancho's Takos。地元客と観光客で賑わっていた。一人で食べているのは私だけだったけれど、誰も周りを気にしていないので居心地がいい。メキシコのそういう雰囲気も好きだった。

ここのtacos al pastor (上の写真) が最強だ。秘伝のタレに漬け込んだお肉の味がびっくりするほど美味しいのだが、そこにパイナップルの甘み、サルサの辛み、パクチーの香り、全て混ざり合い、口の中が幸せで満ち満ちる。

このタコスを食べるためにもう一度プエルトバヤルタに行きたいと思う。

店員さんたちがきびきび動いている。Pancho's TakosのTシャツ欲しい。

ポソレ -Pozole-

アステカの時代から伝わる伝統的なスープ。多くのレストランで食べることができる。これがなんだかよくわからないけど美味しくて、それからというものスープを作るときはこれを再現すべく奮闘することになる。

豚からとったスープにお肉と野菜がたっぷり入っている。具材は地域やお店によって多少違うけれど、必ず入っているのがとうもろこし。

といっても、日本で見るあれではない。ポソレに入っているのは白くて粒がめちゃめちゃでかい品種。もちもちした食感のとうもろこしだ。そしてこれがスープにとても合う。これは日本では滅多にお目にかかれない料理。ぜひとも食べてほしい。

このぷっくり白いのが本当の意味でジャイアントなコーン。

メキシコはアステカ文明の栄えた地。かつてアステカのピラミッドではある儀式が行われた。ピラミッドの上で神に生贄を捧げるのである。ポソレは生贄として捧げた人間、その肉を煮込んだ神聖な料理だった。

私は歴史学や考古学が大好きなのでアステカの文明についてはまた後日小話を書きたいと思っている。ひとまず、現在のポソレに人の肉は使われていないのでご安心を。

エンチラーダス・ミネラス  -enchiladas mineras-

こちらはグアナファトのローカルグルメ。グアナファトはリメンバーミーの世界とも言われる、町ごと世界遺産の美しい町だ。

グアナファトに行ったら街の隅から隅まで、たくさん歩いてほしい。くたくたに疲れて、お腹がペコペコになったら、テラス席のあるレストランに入る。そこで頼むのがエンチラーダス・ミネラスだ。

野菜もたっぷり、チキンの味付けがスパイシーで絶妙。トルティーヤにはチーズが包まれていて、上にもチーズがかかっている。

グアナファトは鉱山地域。かつて世界の1/3の銀を産出したと言われる。そこで汗を流した鉱夫たちが食べた食べていたことから「ミネラス」(スペイン語で鉱山)の名がついた。ボリュームたっぷり、野菜も肉もチーズも楽しめるスパイシーな一皿だ。

グアナファトのレストランでは基本どこでも提供している。地元の人がどこもたいして変わらないよと言っていた。建物の作りが不思議だったり、色使いが独特だったり面白いので、なんとなく気に入ったレストランに入ってみて。

オアハカ・チーズ -queso oaxaca-

オアハカ州原産のチーズ。私はグアナファトのマーケットで購入した。モッツァレラとさけるチーズの中間みたいなチーズで、日本に持って帰りたいくらい大好きだ。そもそもさけるチーズはオアハカチーズを参考にして作られた(らしい)。

好きすぎて速攻食べてしまい写真がこれしかない。くるっと丸めたむちむちセミハードチーズだ。

タマレス -tamale-

蒸しパンや肉まんが好きな人はぜひ食べてほしいメキシコ料理がこれ。とうもろこし粉でできた生地の中に具材をつめ、それをとうもろこしの皮で包んで蒸す。具は色々選べる。鶏肉、チーズ、チリなどのしょっぱい系から、チョコやジャムなどの甘い系。

私はチーズやチリが大好き。見た目で美味しさが伝わらないのが残念。

タマレスは内陸部だと町中で屋台があったり、おっちゃんが売り歩いていたりするんだけれど、正直タコスよりも当たり外れが激しい。パッサパサのタマレスはめちゃくちゃ不味い。

私のお気に入りがひとつだけある。グアダラハラに出店するキッチンカーTamales Bertha。蒸したて熱々のタマレスはしっとりもっちり、ちょうどいい塩気が最高だ。

冒険あるのみ

メキシコ料理は基本おいしい。グアナファトあたりでよく見るモレというチョコレートを使った料理がある。肉にチョコをかけるなんてと気持ち悪さを感じつつ食べると意外といける。めちゃめちゃうまいかと言われるとそうでもないけれど、メキシカンにハズレは少ない。サボテンを使った料理も多い。これも美味しい。

ぜひ、果敢に挑戦してほしい。食べることは生きることだ。その土地が食物を育み、それが人を生かし、その人々が地域を、国を作っている。食べるという行為なしに旅を語ることはできない。食べずに後悔よりも食べて後悔だ。好奇心には勝てない。

そんなに食べていたら太ると思うかもしれないが大丈夫。メキシコでは時折馬鹿みたいに辛いものに出会い、お腹を下す。これでリセットだ。やはりメキシコはいい国だと思う。

とある屋台のメニュー。基本わからない。そういうときは隣の地元感溢れるおっちゃんにどれが好きか聞いて同じものを頼むに限る。


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