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ジャニーズWESTは可能性の塊〜POWER参戦の記録(ネタバレあり)〜

まさしくジャニーズWESTのパワーを感じられる『ジャニーズWESTライブツアー2023 POWER』
歌にトークにダンスに演奏と高い実力を示しながらも、まだまだ未来の可能性を感じさせてくれる。そんな彼らの輝きに胸が踊りました。

宮城公演に参戦してきたので、主観たっぷりで感想を綴ります。
ネタバレあるので、DVD見るまで内容知りたくない!という人はご注意ください。

シャトルバスで会場へ

 2023年3月19日。雪の降る仙台から一夜明け、晴れた青空も覗く中、ジャス民(※ジャニーズWESTファンの総称)はぞろぞろとバス停へ向かう。
今日はジャニーズWESTライブツアー2023POWERの2日目。
私はといえば、セトリを極力目に入れないようにし、ほぼ真っさらな状態でコンサートに臨む。

会場となるセキスイハイムスーパーアリーナは仙台駅からバスで40分となかなかへんぴな山の中。
私は事前にファンクラブからぴあ経由でシャトルバスを申し込んでおいた。

12時開場、13時開演というスケジュールだが、直前でバスが混んだりして万が一でも開演に遅れることがないよう、9:55にはバス乗り場へ。
乗り場は仙台駅東口に案内が立っていた上に、ジャス民達についていけばたどり着けるので迷わなかった。

この時間だったからなのか、特に並ぶこともなくスムーズに乗車。
道は少し渋滞していたが、ジャニーズWESTの曲を聴きながら、まどろんでいれば11時少し前くらいにセキスイハイムスーパーアリーナに到着した。

山の中といった感じで、まわりにはなんの建物もない。
だからだろう、会場の外には大音量でアルバムPOWERの曲たちが流れており、テンションも自然とあがる。

天候は悪くなかったので、そのまま会場の外で開演を待ってもよかったが、やはり仙台は寒い。
できれば屋内に入りたいと思ったとき、一軒だけお店があった。ドリンクや食べ物も売っている喫茶店のような休憩スペースだ。
お店はお客さんでいっぱいかと思ったが、運良く席が空いていて、私はロイヤルミルクティーを飲みつつ、開演を待った。

11:55、そろそろ開演時間なので店を出てお手洗いに向かう。会場内はトイレの数が少ないらしく、外のトイレを使うことが推奨されていた。

中庭のトイレと、外の仮設トイレに、それぞれ個室が10個ほど用意されているが、大行列だ。
雨だったら本当に大変だろうと思うので、晴れていてよかったと心底思った。10〜15分ほど並んで、トイレに入ることができた。

12:20頃、いよいよ入場。
私のスマホの電波がうまく入らなくて電子チケットが表示できないというトラブルもあったが、同行者のスマホを借りて表示させてもらい、なんとか解決。
手荷物検査や検温等もなく、電子チケットを見せるだけで入場できた。

席は西スタンドのDブロック8列目。
今回のアリーナの花道構成はざっくり以下のような形だったので、目の前には花道もなく、悲しいエリアの席と言えよう。

まず会場に入ると目に入るのがメインステージに立っている巨大な岩の拳。
私の好きな漫画のDr.STONEを思い起こさせる。
Twitterではディズニーのレイジングスピリッツのようだという声もあった。冒険を思わせるワクワクする感じだ。

ジャスミングアップ

POWERツアーは、3年ぶりに声が出せるライブ。
私はジャニーズWESTのコンサートは2022年のMixed Juiceが初参戦だったので、これまで声出しのWESTライブは未経験。

初の声出しライブでワクワクしていたのがまずジャスミングアップだ。
ジャスミングアップはコンサート前、会場内に流れているジャニーズWESTの曲にあわせて、ジャス民が歌ったり、合いの手を入れたりすること。ジャス民のウォーミングアップという意味でつけられた造語で、命名はメンバーの濵田崇裕。

開演10分前くらいか、デビュー曲ええじゃないかが流れ出すとちらほら歌う人が出てきた。
私も若干歌詞がおぼろげな部分ありつつも歌う。
大合唱になるわけではないが、みんなが思い思いに歌う感じも悪くない。
そして曲中の「もう1回」の掛け声はひときわ大きく、会場からも感嘆の声が上がる。

ええじゃないかが終わると、なかやまきんに君による公演の注意事項の読み上げが流れる。
周りでメンバー7人聞いているようで、きんに君がつっかえるたびにメンバーからやじが飛ぶ。

そしてきんに君やメンバーが「POWER」と言えば会場からも「POWER」と声が上がり、「ヤー」と言えば「ヤー」と声が上がり、会場の揃った大きな声に(あ~本当に声出しが帰ってきた!)と実感も高まる。

コンサートスタート

そして、始まったオープニング映像。メンバー1人が映し出されるたびに「きゃーーー」と声が上がり、気持ちのいいことだ。
いよいよ始まる。

いきなり「僕らの理由」

まず1曲目に驚かされた。
2022年のアリーナツアーMixed Juiceや2021年の配信ライブWtroubleではアルバム表題曲を1曲目に持ってきていたため、今回も1曲目はアルバムの表題曲POWERでくるだろうと思っていた。
しかし、まさかの『僕らの理由』だった。

僕らの理由はSUPER BEAVERの柳沢さんに提供いただいた楽曲で、ロックで盛り上がる曲調なためこれまで終盤で歌われることが多かった。

それを1番最初に持ってくるとは。出し惜しみなく、ド頭から全力で盛り上げていく、熱くしていくというジャニーズWESTの意志を感じた。

ジャニーズWESTのコンサート、演出担当であるメンバーの藤井流星は、今回のツアーパンフレットの中で

『Mixed Juice』ツアーもすごく評価してもらえたから、あのスタイルを組んで作ればきっといい流れになるかもしれない。でも、やっぱり一回崩したいんですよ。もちろん定番は大事にしながらも、また新しいWESTを見せたい。

と語っており、その言葉の意味をまず感じた1曲目であった。

次は一緒に踊ろう

僕らの理由に続いては、デビュー曲の『ええじゃないか』
みんなが歌って踊れる最強の1曲と言えよう。
重岡大毅の「せーのっ」に会場が「ええじゃないか〜」と返す。
ジャニーズWESTの声出しライブが戻ってきたことを象徴するような瞬間だ。

それに続くはヤバイTシャツ屋さん提供の『WESTNIGHT』
濵田崇裕の振り付け講座が入って、サビのアルファベットに合わせた手ふりを教えてくれた。
正直、見づらかったし、覚えられなかったけど、なんとなくでノッておいた。

さらに続いて『週刊うまくいく曜日』
みんなでジャンプができるジャニーズWESTライブの定番曲。

僕らの理由で盛り上げたあと、その盛り上がりをさらに加速させるようなみんなで踊れる、ノレる曲を3曲持ってきたんだな、と思う。

オシャレタイム

映像が挟まって、ここからはジャニーズWESTが魅せるかっこいいタイム。

『Rewind It Back』
これは、花道にメンバーが並んで下から当てたライトで踊るような演出。正直、暗かったので遠くの席からは見づらかった。詳しい動きや表情はDVDで確認かな、という感じ。
ただ、重岡大毅が頑張って踊っているのがたまに見えて、見守る母親のような気持ちになった。
マイケルジャクソンのように斜め45度になるような振り付けがあって、そこはとっても興奮した。

『Mood』
メンバーの神山智洋振り付けっぽいなと思う振りがいくつかあった。その時点では発表されていなかったが、実際そうだったらしい。
また、おそらく神山振り付けだろうと思った理由の一つは、重岡大毅のダンスへの気合の入り方だ。ダンスが苦手な彼が、この曲のダンスはみんなと同じように踊れていて、特に頑張って練習したんだろうなと思わせられた。
きっと神山智洋に対する礼と敬意なんだろう、と。
ファンのフィルターがだいぶ入ってるかもしれないが、。

『膝銀座』
男女が膝を突き合わせているシュールな映像から、銀座のママのような姿の友近さんの口上がモニターに流れる。
そして始まった歌は、オシャレな曲調には似合わない、膝膝言っているだけの意味のない歌詞で面白い。
メンバーも膝を震わせたりと膝で笑いを取ろうとする場面があり、途中の小瀧望と濵田崇裕の掛け合いを生で聞けたのが嬉しかった。

楽器で魅せる

次に始まったのは『アンノウン』
センターステージにスモークがたかれると、上からスピーカーのような装置が降りてくる。そして、サックスの音が響く。サックスの演奏は藤井流星、バリトンサックスの演奏は中間淳太だ。
ツアーパンフレットの中で藤井流星、中間淳太の両名ともが「今回は挑戦をしている」と言っていたが、その大きな部分がこのサックス演奏なのだろう。ふたりは普段、楽器を演奏していない側のメンバーなので、これは本当に大変だったと思うし、やろうと思った覚悟と決意にまず感服だ。
ふたりともしっかり音が出ていて、これまでのジャニーズWESTの曲にはない音が気持ちよかった。特にバリトンサックスの低い音は曲に重厚感を出してくれていた。また聴きたい。

続いて、メンバーの神山智洋が作詞作曲を手がけた『Strike a blow』
神山智洋のエレキギターがギュンギュン響く。
かみしげ(神山と重岡)がむかいあって歌ったり、興奮ポイント満載だ。なによりかっこよかった。
今までのジャニーズWESTにはない男感満載のロックで、1音1音の面白さと、底抜けに前向きな歌詞はさすが神山智洋といったところか。

個性強まるユニット曲

つづいてバックステージで『サムシングニュー』を披露。YouTubeでジャニーズWEST単独では初めて1000万再生を突破した曲でもあり、ジャニーズWESTを代表する1曲の一つ。あいみょん作詞作曲も話題となった。

実はあいみょんの初作詞提供がジャニーズWESTだったご縁で、サムシングニューの作詞作曲に繋がっている。
これまでずっと音楽に力を入れてきたことの1つの結果だろう。

サムシングニューというウェディングソングに続いて歌われたのが、今回ユニット曲で恋を歌った2曲。

『エゴと一途』中間淳太×濵田崇裕×小瀧望

3人が仮面をつけた映像から始まる。
映像が終わると3ヶ所からソファーに座った3人がそれぞれ登場。色気満載だ。
特に濵田崇裕の座りながらのダンスが本当に体の使い方がうまく、ついつい見入ってしまった。
最後には紅白の紐が上から垂れてきて、そこをかき分けて動く3人。
一体誰が考えた演出なのか。気になるところだ。

『まっすぐ』桐山照史×神山智洋

アカペラから始まるこの曲。
メインステージ左側でふたりが歌う。
生歌にして、このクオリティの高さ。
CDで聞くのと同じ、あるいはそれ以上。

1ヶ所も危ういところのない音程と、完璧なハモリ。
それでいて、感情の伝わってくる情緒ある歌。

他グループのファンにも、一般の人にもぜひ聴いてもらいたいものだ。
ジャニーズWESTの歌の凄さがわかってもらえるだろう。

前半戦のラスト

MC前のラスト3曲は人気の高い曲を持ってくることで、最後の盛り上がりを図っているようだ。
まずは、ジャニーズWESTがCM出演させていただいている近鉄不動産(あべのハルカス)のCMソングでもある『ハルカナレ』。

そして、ワールドカップバレー2019のテーマソング『Big Shot!!』
最後に2022年のアリーナツアーでオープニングを飾った『Mixed Juice』
2022年のときの様子は公式YouTubeにもあがっている。

この2曲は昨年のフェスでも歌われた、もはやジャニーズWESTの定番曲でもある。手振りや軽いダンスなどファンも一緒に楽しめるのが特徴的だ。
そしてその楽しい雰囲気のままMCへ。

MC

ジャニーズWESTと言えば、その高いトーク力も魅力。MCコーナーを楽しみにしているファンは多いことだろう。かく言う私もその一人。

ただ、まだツアー始まって2公演目ということもあり、メンバーはまだ余裕もないだろうし、MCもあんまり期待しないほうがいいかな、、と実は思っていた。
しかし、まったくの杞憂だった。

この回のMCでは「小瀧望が牛たん弁当を差し入れてくれた」という話題から、濵田崇裕が「今日の夜ご飯はマーボー焼きそばとタンシチューらしいで」という話を。最後は謎に『タンシチューパンチ』というワードとともにパンチの動きをする展開に。

濵田崇裕が始めたそれにまずのったのは重岡大毅。
はましげ(濵田と重岡)は他の人には笑えないようなボケでひたすら笑っているようなところがあり、ふたりだけにしかない空気感というものを持っている。ジャニーズWESTのYouTube、チャーハンの回でもその様子が見れるのでぜひ見てみてほしい。

そして、今回はそんなはましげのノリにメンバーも乗ったパターンだ。

巻き込まれたのはまさかの藤井流星。
メインステージの中央に座している岩の拳。そこまで行くように重岡に指示をされ、言われるがまま移動。

重岡・小瀧のもとにやってきた濵田が「今日の夜ご飯タンシチューなんやって」というのを、たまたま通りがかった流星が聞き、タンシチューパンチの舞をするというシナリオ。
そのはずだったが濵田が何回やっても藤井に「なぁ、流星。今日の夜ご飯はタンシチューやって」と話しかけに行ってしまい、流星は毎回タンシチューパンチの舞のタイミングを逃してしまう。

「流星が一番可哀想やわ」と桐山照史がツッコむ中、最後は濵田と藤井で舞をして丸く収めた。

しかし、これだけでは終わらないのがジャニーズWEST。
重岡は中間淳太に「なぁ、淳太もやってや」と悪ノリ。
「もうええやろ」と言いながらも、結局はノせられて全力でタンシチューパンチの舞を披露する中間淳太。

さすが、ノリツッコミの天才。

そのタンシチューパンチの舞の様子は公演後のTik Tokで余韻を感じることができるので、ぜひ見てほしい。

沁みる アコースティックコーナー

そんな楽しいMCが終わると、アコースティックコーナーが始まる。
2022年のアリーナツアーでもあったコーナーで、ジャニーズWESTが自身たちのみで楽器を演奏し、歌を披露する貴重な場。

私もかなり楽しみにしていた。

今回披露されたのは『似てないふたり』
YouTubeにもあがっているので曲を聞いてみてほしい。
しっとりしたバラードだ。

今回はこれをメンバー全員が楽器を演奏する形で披露。

昨年に引き続き、

重岡大毅→キーボード
神山智洋→アコースティックギター
濵田崇裕→アコースティックギター
桐山照史→カホン

を担当。

そして、今回楽器初担当組は

中間淳太→グロッケンシュピール(鉄琴)
藤井流星→タンバリン
小瀧望 →シェイカー

を担当。

中間淳太の演奏するグロッケンの高い音が聴こえてくると、昨年までのアコースティックコーナーの音とは全く違うものに感じられて、とても面白かった。

なにより、忙しいにも関わらず、メンバーみんなが楽器練習して、音楽に向き合っていることが本当に嬉しい。

ジャニーズWESTの音楽が大好きだ。

小瀧漫談

そして、そんなアコースティックコーナーの次の曲紹介をするのは小瀧望。
ジャニーズWEST随一のお笑いセンスを持つ彼の語りに会場は笑いの渦に包まれる。この曲紹介の時間はいつの間にか小瀧漫談と呼ばれるようになった。
ジャニーズWESTのコンサートは、もはや小瀧漫談なくして語れまい。

この回ではグーチョキパーの歌を披露。
曲紹介で急にグーチョキパーの歌を歌い出すそぐわなさ。
そして、右手はグーで左手はパーでホタテ〜ホタテ〜という、聞いたこともなければ想像したこともなかった意外な表現。

文章ではどうしてもうまく伝えられないが、小瀧望の持つ笑いのセンスはイコール『間』のセンスでもある。
とにかく話すリズム、間のとり方が素晴らしく面白い。文章で書いたらそんなに面白くないものだったとしても、小瀧望が話すとなぜか笑ってしまう。

同期コンビによる『ぼくらしく』

そんな小瀧漫談によって紹介されたのが、
ユニット曲でまだ残っていた重岡大毅・藤井流星による『ぼくらしく』

個人的には今回参戦したPOWERコンサートの中で最も印象に残った1曲であり、生で聴けてよかったと思う1曲だった。

楽曲提供は竹原ピストルさん。

大人になったけど
大人になったけど
大人になったけど
、、大人になっただけ

そんな共感しまくりの歌詞。

重岡大毅と藤井流星は同じ日にジャニーズ事務所のオーディションを受け、入所することになった同期コンビ。
(ちなみに中山優馬や、SnowManの向井康二も同じ日にオーディションを受けた同期)

まず、メインステージから伸びる花道、センターステージ付近に現れた重岡大毅。
そして、彼が「流星が来たよ、アコギを持って」
と顔を向けた先、メインステージに藤井流星が現れた。

いつもは楽器を弾かないあの流星が、アコースティックギターを弾こうとするなんて。

そして、流星が演奏の準備を整える間、重岡は「俺達同期だからな。グループに同期がおるってええよな」と流星に優しく熱い眼を向ける。

流星も「そうね」と答える。
こういうのをエモいというのか。

そして、曲が始まる。
流星がアコースティックギターを奏でながら、弾き語りをする。
途中で歌詞間違えて突っかかったところもあったけれど、なんとか歌う。

低音で渋い声がアコースティックギターの音と合わさり、大人になった男の生き様を感じさせるようだ。

それを温かく優しく見つめる重岡。
流星が歌い終わると重岡のパート。
流星にだんだんと近づきながら、どこか切なさを込めた歌声を聞かせる。

ロックを歌わせたらピカイチな重岡だが、この曲ではあえてロックを抑えているような気がする。
あえて感情的ではなく、静かに歌うことで、この曲の想いを響かせようとしているのか。

そして、流星のもとにたどり着いた重岡。

間奏では流星のアコースティックギターに重岡のブルースハープの音色が重なり、切なくも力強くもがく、そんな『ぼくら』を見せてくれた。

お互いがお互いを支え合うような、同期のふたりだからこそ出せた音がそこにはあった。

イキテヤレ

続いては、ジャニーズWESTのレギュラー番組『イキスギさんについてった』(TBS系列毎週火曜23:56〜)のテーマソングである『イキテヤレ』

『ぼくらしく』のあとに『イキテヤレ』を持ってくるのは、なんだかメッセージ性を感じる。

番組では何か1つのことにイキスギている人を取り上げてジャニーズWESTが密着しているが、イキテヤレの歌詞はそんな番組の主旨そのもの。
そして、アイドルとしてエンターテイメントの世界に生きるジャニーズWESTの想いそのものでもあると思う。
歌詞を抜粋した。

意味などないって笑う世界が
呆れるくらい イキテヤレ
リアルな自分に正直になって
無駄こそ 僕らの生きるパワー
そこに意味は生まれてゆく

〜(中略)

なりたい自分に逢える気がして
だからこそまだ イキテヤル
誰かが描いた地図にないような道でも
眩しいと思う方へ…

イキテヤレ (作詞:岩越涼大)

イキテヤレの歌詞もまた、ぼくらしく生きていいのだと謳っている。

この曲はこれまでテレビでもコンサートでも披露されたことがなかったため、今回POWERツアーで初披露。
生で聞けたことが嬉しかった。

と、同時に、コロナでエンターテイメントが不要不急のものとしてないがしろにされ、冷たい風当たりを受けたことを思い出した。
コンサートが中止になったりする中で、それでもエンターテイメントの力を信じて、アイドルに胸張って生きてきたジャニーズWESTを思い浮かべた。

エンターテイメントは不要のものなんかじゃない。
誰かにとってはなくてはならない必要なものだ。ってそう叫んでいるように聞こえて。
なんだか泣きそうになった。

続いては『Don't be afraid』
藤井流星が出演していたテレビ東京系列のドラマ『警視庁考察一課』のエンディングテーマ。
この曲はバラード調で、しっとりとしていて好きだ。
歌うまが揃うジャニーズWESTだからこそ歌える難易度の高い曲とも言えるだろう。
一度だけテレビで披露したときは、少し音程がずれる場面もあったが、コンサートでは音程ばっちりで歌ってくれた。

『We're the one』はヤマザキランチパックのCMソング。
聞き馴染みがあるのでテンションも自然と上がる。
個人的にはCMでも印象的な小瀧望のソロパートを生で聞けたのが嬉しかった。

POWERエクササイズ

今回のツアータイトル『POWER』にかけて、ペンライトがダンベル型だったりと遊び心満載のジャニーズWEST。(ペンライトのデザインはメンバーの桐山照史が担当)

ここからはPOWERエクササイズと称し、筋肉プリントTシャツを着て4曲披露した。

まさしくジャニーズWESTらしい趣向だ。

コンサートの定番曲、アカンLove のパラパラもエクササイズ仕様になっているようで面白かった。

席遠くてあんまり見えなかったので、もっと近くで筋肉感を堪能したかった。

宮城といえば?

映像でのバラエティコーナー。
同じツアーでも各回で違う映像を流しているこのコーナー。
この回では宮城といえば?のお題に7人が答え、7人の答えが見事ばらければ成功という企画。

2分間で3回くらいチャレンジしたが、結局誰かしらはかぶってしまって失敗に。
主に牛たんでかぶっていた。

面白かったのは、濵田崇裕が牛たんパウダーとか牛たんソーダとか、牛たんの加工品で勝負をかけていたところ。

あとは中間淳太がせり鍋や萩の月など、ちゃんと知っている人でしか出せない答えを書いていて、流石だった。

ジャニーズWESTといえばバンドコーナー

そして今や、ジャニーズWESTのコンサートの代名詞とも言えるバンドコーナー。

昨年フェスも経験して、ロックに磨きのかかっているジャニーズWEST。
私ももともと証拠、僕らの理由でジャニーズWESTのファンになった人間なので、バンドコーナーは本当に楽しみにしていた。

うちわとペンライトを席に置き、体一つでノラせてもらった。

その始まりはメンバーの重岡大毅作詞作曲『愛情至上主義』
2022年に重岡大毅が主演を務めたテレビ東京系列のドラマ『雪女と蟹を食う』の撮影期間中、ツアーも被り、ものすごく忙しい中で書き上げた1曲。

出来上がったときに演出担当の藤井流星に「コンサートで盛り上がる曲が作れたかもしれない」と報告したという1曲。

それをちゃんとコンサートで披露できていることが、とても嬉しかった。

続いての披露はまだ発売前、音源も未公開だった新曲『しあわせの花』
これは2023年4月期の桐山照史主演ドラマ『ゲキカラドウ』(テレビ東京系列)の主題歌。
サンボマスター提供の1曲だ。
温かく優しい曲で、ジャニーズWESTの幸せな空気感にぴったりである。
指に止まる振りが可愛い。

『証拠』
ジャニーズWEST第二のデビュー曲とも言われる曲。
私もテレビで証拠を聞いて、それをきっかけにジャニーズWESTに興味を持ったひとりだ。

ジャニーズWESTが今力を入れているバンドサウンド楽曲の始まりとなった曲であり、この曲なしでは今のジャニーズWESTは語れない。

コロナ禍で生まれたこの曲をついに声出しライブで披露。みんなで最後のHeyを言えたことが本当に嬉しかった。
やっとこのときが来たのだと。

『POWER』
最後は表題曲であるPOWER。
明るくポップでパワフルな楽曲。
YouTubeにあがっているのでぜひ見てほしい。

僕らの理由で始まって、最後はPOWERで終わる。
最初から最後まで勢いを止めず、盛り上げ続けた。

アンコールはメンバーの曲で

本編が終了すると、ステージにはメンバーからの直筆メッセージが映し出された。
それを読みつつ、「ジャニスト!ジャニスト!ジャニスト!」と声を出す。
このアンコールの掛け声も初体験。

今やアンコールは出てくるとわかった上でやるものになってしまっているが、だからこそ、ここで声を出すことは自分の中の気持ちでしかない。
その後メンバーが出てきたときにより楽しめるように、気持ちよくなれるようにとにかく声を出している。全力でパフォーマンスしてくれるジャニーズWESTの熱量に応えられるファンでありたい、という思いだ。

メンバーが登場して1曲目は『We are WEST!!!!!!!』
メンバーの神山智洋作詞作曲でコンサートの定番曲。メンバーの名前をファンが呼んだり、合いの手を入れる箇所も多く、声出しでこそ盛り上がる曲だ。

そして、この曲ではスタトロ(スタンドトロッコ)を使用。4・3で別れて、それぞれ反対側からトロッコが回ってくる。

あれ、これ、すぐ前の通路を通るのでは?

そう、会場の構造によって通る場所が変わるスタトロ。宮城ではスタンド5列目の後ろの通路を通ってきた。

私は8列目だったので、前を通るメンバーの顔が近い!

印象に残ったのは重岡大毅のかっこよさ。
4月放送の『それってパクリじゃないですか?』というドラマに向けてビジュアルが整ってきていた彼。
キラキラした笑顔とスターのオーラを振りまきながらも、少し照れたような顔がたまらなく可愛い。
そして、顔小さい。

あと、小瀧望。
とにかくファンサ答えまくっていた印象。
特に、投げキッスのファンサをしている場面が多かった。
私のうちわには反応してもらえなかったが、ファンサする彼を見れたので満足だ。

それから、藤井流星。
彼は 見つめている という表現が似合う。
ファンサで答えるというよりは、ファンを見つめて、そこにいることを認識してくれるイメージだ。

スタトロが終わると続いては重岡大毅作詞作曲の『ムーンライト』
昨年のフェスでも歌われた、ロックコーナーの定番曲。
ジャンプで盛り上がれるのが特徴だ。
特に好きな歌詞がある。

真昼間の月に 種を植えてみたくなったのは
いつか君を襲う夜の底 一輪の光を

表現がきれいで、重岡大毅らしい。
彼の作った他の曲をみても、いつかの未来のために今頑張るんだ、というのが彼の基本的な信条のように感じる。

そして、アンコール最後は『むちゃくちゃなフォーム』
これも重岡大毅作詞作曲。
今30歳の彼が、20代最後に書き上げた渾身の1曲。

重岡大毅が今最も注力しているのが音楽。特に曲作りは彼が自らのアイデンティティとして、拠り所としているような印象を受ける。
そんな彼が、ずっと温め続けてきたおまもりのような曲。

繰り返されるサビの歌詞が以下だ。

むちゃくちゃなフォームで生きていく
そんな背中悪くもないか
心臓だって ど真ん中を 
一歩はみ出し止まらないんだ

実に重岡大毅らしい。
ジャニーズWESTは事務所にもなかなか推されず、苦しい時代が長かった。なんなら今だって。そんな中で泥臭く、むちゃくちゃなフォームで活動してきているグループだ。
そして、その不動のセンターである重岡大毅はHey! Say! JUMPの山田くんのようなTheセンターとは違うだろう。キラキラしたアイドルを脱ぎ捨てて、ありのままの男らしさで勝負することを選び取った。

きっとそんな自分も、心臓と同じ。
1歩はみ出していたって、それでもセンターなんだ。
ジャニーズWESTの魂でありたい、と叫んでいるかのようだ。

ジャニーズWESTのファンとして、私は重岡大毅ほどセンターらしいセンターはいないと思っている。キラキラアイドルなセンターとは違うかもしれないけれど、メンバーの心を繋いで、誰よりも熱く誰よりも優しく、仲間を大切にしている。
ジャニーズWESTの魂そのものだ。

重岡大毅がいる限り、ジャニーズWESTは大丈夫。
そう思う。

私がむちゃくちゃなフォームで一番好きな歌詞の流れはここだ。

君がいるのに 僕がいるのに
人はなぜだか 人はなんだか
君じゃないとか 僕じゃないとか
君以外だとか 僕以外だとか
君じゃなくても 僕じゃなくても
世界は巡っていこうとするんだ
なんとなくまた陽が沈む

むちゃくちゃなフォームの愛してる
どんな理屈も適わないな
そばにいようか そばにいたいな
ぬくもりだけは守りたい

そう、僕じゃなくても世界は巡る。
本当に私が生きる意味なんてあるのか?

その問答は私自身も繰り返してきたもの。

その後の『なんとなくまた陽が沈む』が実にいい。

なんだかよくわからないままなんとなく陽は沈み、時間は過ぎてゆく。
私がいようがいまいが変わらずに。

ここを桐山照史が繊細にゆったりと歌い上げるのがまた素晴らしい。

だけど、重岡大毅はその問答に一種の答えを出した。

理屈なんて関係ない。
愛する人たちのそばにいて、ぬくもりを守りたいんだ、と。

彼が最初に作詞作曲をした『間違っちゃいない』では、どこか不安の中にあるようだった彼が、『むちゃくちゃなフォーム』ではどこか自信を感じさせるようで、それも嬉しい。

そんな重岡大毅の思いが詰まった1曲ともなれば、メンバーも自然と気持ちが入るわけで。
この曲を歌っているときの空気の温かさたるや、コンサートのラストに相応しかった。

あとすごかったのは神山智洋。
この曲はひとりひとりの歌割りが長いのが特徴だが、神山はメインステージからバックステージまで走りながら歌い上げた。
走ってなお、息が切れるようなことはなく、実に安定した歌唱。

そしてそれを追いかけるメンバー。
最後は神山が一人バックステージに上がり、残りのメンバーが下からまるで神山を崇め奉るような素振りをしていたのが、面白かった。

「俺達が」「ジャニーズWEST!」

そんな声とともにコンサートは幕を下ろす。

終わりには重岡大毅が「明日も頑張ろー」と腕を振り上げた。

感想

POWERツアーは『ジャニーズWESTだからこそできるコンサート』を模索している印象を受けた。
盛り上がるとわかっている既存の構成ではなく、ド頭からバンドサウンドで盛り上がるロック曲を持ってくるという挑戦。そして、これまでのツアーのセトリ構成はポップ→オシャレ→ダンス→かわいい→ロックみたいにセクションごとに色が変わっていく印象だったが、今回のPOWERは最後まで基本的にロックテイストが貫かれている印象があった。
見方によってはべったらけになりやすい怖い構成だと思うが、ジャニーズWESTなら飽きさせずに盛り上げきれるという自信の表れだろうか。

挑戦的セトリ(セットリスト)という観点で言うと、LIVE TOUR 2018 WESTivalも思い浮かぶ。
このときは小瀧望が主にセトリを考えたそうだが、その年にヒットした『おーさか☆愛・EYE・哀』を1曲目に持ってきていた。
この曲は当時ファンでなかった私でさえも、歌番組で見て印象に残ったほどインパクトの強い曲。
楽しみにしているファンが多く、かつ、ミディアムテンポのこの曲を1曲目にすることは、メンバー・スタッフから「大丈夫か?」という声もあったそう。しかし小瀧望が「4周年だし挑戦してみたい」「今までと違うことをしたい」という意見を押し通したという。結果としては、大盛り上がりで大成功だった。

ファンとしては、推しが挑戦することは喜ばしいことだと思う。このままでいいやと軽くやられるより、もっと違う可能性を探りたいと挑戦してくれる方が応援のしがいがある。
もちろん、その挑戦が失敗することだってあるだろうが、そういう前向きな気持ちで仕事をしてくれていることが嬉しいのだ。

そういう意味で、POWERツアーは挑戦にあふれていて、ジャニーズWESTをこれからも応援していきたいと強く思えるコンサートだった。

残念なことに、席としてはとても見づらい席だった。
トロッコが近くに来ても、1列目の観客とメンバーの頭の高さがほとんど一緒なので、鼻から上くらいしか見えなくて、悲しくなった。これは宮城の会場の問題なのだろうが、あと15cmトロッコの台が高いだけで、もっとメンバーが見えただろうにどうにかできなかったのだろうか、、と悔しくなった。
最初から遠い席なら納得もいくが、近くに来てくれているのに見えないのが一番切なくなるんだな、と感じた。
それでも、最後にスタトロで来てくれたことは、本当に良かった。ただ、私より後ろの列だった人はスタトロでも遠かっただろうから、可哀想だった。
どの席でもメンバーが見えるコンサート作りに注力してほしい。

ただ勘違いしないでほしいのは、ジャニーズWESTは全員を楽しませようという意識を持ってコンサートをしているということ。
音楽でメッセージを届ける、伝えるという力はどのグループにも勝っていると私は感じる。

例えばジャニーズグループが総出演し松本潤の演出で開催されたコンサート『Johnny's Festival 〜Thank you 2021 Hello 2022〜』(ジャニフェス)では、ジャニーズWESTの魂こもった歌と、観客にメッセージを届ける力に他グループのファンからも賞賛の声が多く寄せられた。

YouTubeにあがってるジャニフェスのダイジェスト動画でも、ジャニーズWESTの『証拠』部分が最もリプレイ回数が多く、コメント欄はジャニーズWESTへの声で溢れている。
ぜひ見てみてほしい。

演出担当の藤井流星はこのPOWERツアーについて、「作り込み過ぎず余白のある構成にした」と雑誌などで語っている。
「だからこそ、公演ごとに色が変わる。表情が変わるコンサートになる」、と。

これはジャニーズWESTのライブ力に自信がなければできないことだと思うし、誰よりも俯瞰でものを見られる藤井流星がその自信を持っていることが嬉しかった。

まだ始まって2公演目で、完成しきってない感じは多少あったが、私はジャニーズWESTのさらなる可能性を感じさせてもらった。
まだまだ凄くなるという確信が持てた。

小瀧望は昨年のミュージカル経験を経て、歌がうまくなっていた。もともとうまかったが、そこからさらに、明らかにわかるほどの成長を見せてくるとは思いもよらなかった。
これまでジャニーズWESTの歌うま三銃士は桐山照史・神山智洋・濵田崇裕の三名だったわけだが、これからは小瀧望も肩を並べてくるかもしれない。

中間淳太や藤井流星も今まで披露してこなかった楽器に果敢にチャレンジし、ジャニーズWESTはさらに自分たちらしい色を強めている。

そして、重岡大毅はメンバーの熱量を高め、ファンの熱量を高め、センターでメラメラと輝く。
実はキラキラアイドルのオーラもちゃんと持っているのだから、時折それを見せられたときのファンの気持ちと言ったら、。

虹が濃くなってきた。

唯畏


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