ひょんなことから看護学生 嘘のようなホントの話編
見事、看護学校不合格となった私。そりゃそうです。ただ単に休み欲しさに、受験勉強をまったくせずに看護学校の入試を受けたのですから。そんな私が受かったら奇跡としかいえません。一生懸命受験勉強をして受験に挑んだ方に申し訳ないこと極まりない。なので、不合格は当然の結果。
不合格という結果に、少々お門違いな落ち込みはしたものの、何日か経った時には劇団の仲間と次回公演に向かっての活動も始まり、不合格だったのも、私が進むべき道は舞台関係の仕事だったはずでしょう!と神様が思い出させてくれたんだと、私の気持ちは『私が進む道はお芝居しかない!』と、芝居街道まっしぐら。
そんな私に青天の霹靂のような出来事が!!!
それは、看護学校の受験をしたことなんてすっかり忘れていたある日のこと。職場の食堂でお昼休みをしていたときに起きました。
看護師さんや先輩の助手さんたちと楽しく食事をしていると、突然私を呼ぶ声が。
『水木さん、看護学校から電話ですよ』
看護学校???何のことだろう???私、受験の時に忘れ物でもしてたかな…。
そんなことを思いながら電話に出ると、電話の向こうから『水木さん、水木さんのいらっしゃる病院には優秀な先輩がいらっしゃるの。そんな優秀な先輩がいらっしゃる病院なので、ぜひ水木さんにも学校に来て頂きたくて』と。何を言われているのかわからず、返答に詰まっていると『水木さんを繰り上げ合格にしたので、ぜひ当校に入学してください』と電話の向こうから明るい声がしてきた。
『ご、合格ですか???』
そう返事をするのがやっとだった。だって、私には看護学校へ行く気はさらさらなかったのだから…。なのに、合格…。
どうしよう…。戸惑う私をよそに、なぜか看護学校からかかってきた謎の電話に聞き耳を立てていた仲の良い看護師たちは、私の口から出た『合格ですか』という私の言葉に感極まっていた。そして、私の看護学校合格の話は瞬時に食堂全体に広がり、食堂全体が合格を歓喜するムードに染まった。それはまるで、『当然、看護学校にいくよね』と病院職員全員に言われているようだった。
職場の仲間がこんなに喜んでいる…。どうしよう…。
電話の向こうも『うちの学校を受験したんだから、入学したいのよね?』そう言わんばかりの口調で、どうですか?と繰り返す。
電話のこっちは歓喜に溢れ、電話の向こうは学校に来てちょうだいムード。これはいわゆる四面楚歌???それとも、八方塞がりってやつ???
困った私は『ありがとうございます』という返事しかできなかった。そして、私の看護学校入学は決まった。
舞台に携わる仕事がしたくて、親を納得させるために就職した病院だったはずなのに、なぜか看護学校に入学することに。看護師になりたくて必死に勉強をしてきた方がいるはずなのに、こんな合格の仕方をして本当に申し訳ない…。そんな思いを抱きつつ、看護の世界に足を踏み入れました。
ちなみに、私が入学した看護学校は定時制の准看護学校。学校は午後の1時から5時まで。学生は皆、どこかの病院に所属しており、働きながら学校に通っていました。仕事と学業の両立。そして、この当時は劇団の活動もしていた私。こんな感じで、てんやわんやな看護学生ライフが始まりました。
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