【和訳】Prove Yourself / Radiohead
※同一歌詞の掲載は省略しています。
▼Official MV
+あとがき
RadioheadといえばTomの美しい声がバンドの個性のひとつです。しかし若い頃のTomは自分の声が嫌いで、強くコンプレックスを持っていたそうです。
今とデビュー初期くらいの歌い方を比べてみると、裏声やソフトな声質を活かすというより、シャウト気味で力強く発声している印象があります。Tom曰く、どうしても自分の声が気に入らないので張った声を出すようにしていたけれど、さまざまな葛藤や試行錯誤を経てコンプレックスが徐々に解れて、自分の個性として認められたと後々インタビューで語っているのを読みました。
このエピソードは自分の声が好きになれない私自身、とても励まされました。私も自分の声質が好きになれず、人の真似ばかりしてオリジナリティを突き詰める努力がなかなかできませんでした。今でも100%好きにはなれないし、あの人みたいだったらよかったと思うことは何度もありますが、もしかしたらその人も同じ悩みを持っているかもしれないのです。
私が自分自身の声に対する認識を変えられたのは、一緒に音楽をしてくれている仲間や先輩、先生の存在が大きかったです。Tomもはじめはバンドメンバーに対してもあまり心を開かず、思い通りにいかない時には癇癪を起こしたりしたそうですが、今では「自分にはこの声しかないとわかった」とメンバーとも仲良く存分にRadioheadワールドを展開しています。自分で自分の声を認められなくても、誇れなくても、誰かが良いと言ってくれる、好きだと言ってくれる、必要としてくれる。そこばかりに根拠を求めるのは危ういけれど、その人たちのことを信じる気持ちを通して、自分のことを認めてもいいと思うのです。自分じゃない誰かが、何の見返りもなく愛してくれるもの、相手が持っているものを分けてくれる対象こそ、その人の特別な能力、才能なのではないかと思います。
「キャロル」という映画で「才能があるかどうかは、他人が教えてくれる」という台詞があります。私にとって自分の能力を見極める指針として、心に留めている言葉です。
また関係ない話で長々と書いてしまいましたが、Prove Yourselfの別バージョンを載せておきます。個人的にはPabro HoneyのアレンジよりDrill Versionの方が荒削りで青臭い感じが出てて好きです。ライブ映像は出だしのボーカルの美しさに聴き惚れてしまいます。最後のロングトーンも最高です。
Radiohead、最高なので知らない方はぜひ。