▼Official MV
+あとがき
ある街について歌った曲ってたくさんありますが、この曲は具体的な街の名前が出てこないにも関わらず、都会の街のことを歌っているんだなとわかる。それがこの曲のすごいところだと、訳しながら改めて思いました。
「この街は私を傷付ける」と聞くとやっぱり都会の風景が浮かぶのはなんででしょうね。「東京は冷たい」という言葉がありますが、そういう都会に対する認識というのは世界的に共通しているのでしょうか。
Verse1が孤独を現す都会の風景として、素晴らしい描写だと思いました。
渋谷の交差点とかの人混みにいると不思議な感覚になりますね。「こんなに人がいるのに、誰も私のことを知らないし、私も誰も知らない。それぞれが別々の場所から来て、別々の場所へ帰っていく。ここは一体、どこだろう?(※渋谷です)」と。
意訳も意訳だな〜という感じですが、直訳だと雰囲気が伝わらないと思って。heartbreaksって基本失恋のことを差すと思うんですけど、今回は恋愛に限らず夢や目標、憧れ、希望、そういったものに心破れた人のことを歌っている気がしました。
「喫煙室」っていう場所がまずすごくいいな〜と思います。私自身は喫煙者じゃないですが、喫煙室の独特のあの、「同じ釜の飯を食う」的な空気感、めっちゃわかります。きっと会話はなくてそれぞれ煙草を吸ってるんだろうな。だけど空間を共有することで語らずとも伝わるナニカ、自分を他者に投影することで感じる自分自身の気持ち、もあるかもしれないですね。
街はいつもそこにあるがままだけれども、自分の状況や心情が変化することによって最高の場所になったり、真逆の存在になったりする。揺れているのはあくまで自分自身なんだけど、たとえば失恋したばっかりの時に幸せそうなカップルを見るとか、思い出の場所を通るとか、そこで暮らす人々の暮らしや様子が間接的に自分を苦しめてくる瞬間もある。逆も然り。だから「喫煙所で見た孤独な人たち」というのは共感するのと同時に、救いになる場所でもあるのかなあ、なんて。
都会がどんなに煌びやかな場所だったとしても、誰しもが他人には打ち明けない孤独を抱えているものである。そういう言葉にならない苦しみや、その場所への憧れが強いが故に、理想とのギャップで傷付くというのは往々にしてあります。
音数が少なめな曲調と相まって切ない気持ちにグッと引き寄せられる、まさに都会の街中を歩きながら聞きたくなる一曲です。