将棋めしとおやつの旅~東京・その1(5)モンマスティー
モンマスティー。
その店名の字面から、将棋ファン10人中7~8人は豊川孝弘七段の「マンモス」を思い浮かべるのではないだろうか。
何を隠そう私もしばらくの間、マンモスティーだと思っていたが、これがあながち間違いとも言えないらしい。中村太地七段がチーム羽生のTwitterで渾身の1枚をつけて「通称マンモスティー」と紹介していた。なお、ロンドンにあるモンマス通りが店名の由来だそうだが、こちらもマンモス通りと読み間違えそうだ。
この店の看板メニューは店名を冠したモンマスティー。ホットもあるがアイスミルクティーが自慢で、ミルクと砂糖の割合に相当の研究が重ねられているとのことだ。スリランカ産の茶葉を厳選してブレンドしており、バラのフレグランスが香る。
オーナーのこだわりと突出したキャラクターをYouTubeで予習してから訪店した。なお、エプロンには色んなバージョンがあるようだ。
店は注文カウンターだけがあって受け取ったら立ち去るスタイル。ちょっと腰掛ける椅子が店頭にあるが、せいぜいアイスミルクティー1杯の時間だけだろう。また、お客さんがたくさん並んでいれば気が引ける。
ショーケースにはミルクティーに合いそうなケーキやキッシュなどが並んでいた。
春夏秋冬いつでも紅茶はホットでストレート(時々ミルク)といった飲み方の私が、12月にアイスミルクティー(砂糖入り)を飲めるのかという不安があったが、天気は上々で坂道を登ってきた後だ、なんとかなるだろう。
マンモスと言いたい衝動を抑えつつ「モンマスティーのアイスと、ホット」と注文した。
同伴者とアイスとホットを取り換えっこしながら飲めば、お腹が冷え過ぎることはないだろう。ぼっち旅ではないから可能な有事への備えだ。
カウンター前から覗いた限りでは、キャラの立ったオーナーは確認できず、女性店員さんからカップを受け取った。自然と目の前にある鳩森八幡神社へ足が向かう。あらかじめそう決まっていたのだろうか、まるで吸い込まれるように。
さて、モンマスティーは甘く香る程良い濃さのミルクティーだった。香りと口当たりが良いのでゴクゴクいけてしまう。
ベンチに座り、アイスティーとホットティーを交互に飲みながら、歩き疲れた足を休める。甘みと香りがじわじわと染み込んでいく。
この甘さは脳の疲れにも良いだろう。そう、脳の消耗が激しい棋士のお仕事の方々にぴったりではないだろうか。
私もこの東京の旅において、千駄ケ谷界隈の店の位置、道順、食べ順を考え実践することに、普段使わない脳を消耗中だった。お腹はいっぱいだったが、ここでのモンマスティー補給で生き返る心地がした。
このような脳を消耗する時間を詰将棋に充てることができたなら、浦野真彦九段の著書で本棚がえらくカラフルになっただろうに、私ときたら情けない、2色ばかり積読中である。
ああ、モンマスティーさえあれば脳がすっきりと生き返って、2冊の詰将棋本がサクサク進むのではなかろうか…と嘆きながら、ふと思い出した。
モンマスティーではご自宅でモンマスティー気分を堪能するためのティーバッグや茶葉を送料無料で通販中ではないか。
アイスミルクティーの作り方は先のYouTube動画で予習済み。商品を購入するとお店と同じ淹れ方レシピもついてくるそうで安心だ。
ネットショップには「皆様、是非「挑戦」してみてください!お店よりうまいのが出来ましたとご返事お待ちしてます。」とある。
アイスミルクティーをガブガブ飲めそうな暑い季節の到来を待ち、私もチャレンジしマンモス。
(つづく)