将棋めしとおやつの旅2022秋(関西)〜3・喫茶Y
(2022年10月の話です)
喫茶Yは川又咲紀女流のYouTube、さとみさきで知った店だ。なので、将棋めしに分類するのはいささか乱暴かもしれない。だが、女流棋士ゆかりの店だからお構いなしで紹介しよう。
もちろん、咲紀先生のおすすめ店であるから、量が半端ないことを理解しての訪店である。
同伴者には前日に軽く説明をした。量が凄いから、2人で1つのメニューを分けて食べたいのは山々だが、それでは店に申し訳ないので、1人はサンドイッチ、もう1人はトースト程度にして、2人で分けて食べようと。
そう、フードファイトになってしまった去年のぼっち旅を反省して立てた作戦はなんでもシェアだ。
着いた時にはあいにく満席。店先でおしゃべりしながら20分くらい待って入店した。
小さな店の中には若者たちがひしめき、どのテーブルの上も超満開といった状態である。そこには、見たことのないような厚さのトーストが。期待が増す。
さて、元気なお母さんがオーダーを取りに来た。
私「ハーフサンドをホットコーヒーで」
同伴者「ベーコンエッグをホットコーヒーで」
え?そこは「トースト」のはずだったよね?と思ったが、時すでに遅し。
お母さん「いくつ?」
私「2個で」
同伴者「僕も2個で」
まあ、この後同伴者は予想に違わず深い後悔に沈むのだが。
なお、この「いくつ?」は卵の数。さとみさきのYouTubeで予習済みである。 なお、上限は10個らしい。咲紀先生は10個召し上がっていた。感服!
若者グループが退店する際、お母さんは一人一人を指差しながら「ワンワンワンワンファイブ、OK?」。
何かと思ったら会計金額だった。ワンは1000円の人。ファイブは500円の人。
「どうぞ、キャンディキャンディ、サンキューベリマーッチ!」
どこまでも陽気なお母さんである。このお人柄も店が繁盛している理由の一つかもしれない。
いよいよこちらにも声がかかった。
お母さん「卵5個?」
私「2個2個!」
慌てて返す。どんだけ食わせんねん、冷や汗かいたわ。(この時は思わず関西弁を使いたい気分になった)
油断も隙もなくいっぱい食べさせようとするスタイルか?いや、そもそも2個で注文する人なんていないのでは?危険過ぎる。
店内はお母さんと有名人との写真が所狭しと貼られている。それらを眺めながら提供を待った。
さて、お待ちかねのモーニングが到着だ。
ハーフサンドって何?ハーフは半分だから少ないんじゃないの?とお思いだろう。このハーフは「半斤」の意味だそう。1斤の半分使って作ったサンドイッチ。そりゃ厚いわ!
卵は目玉焼きの状態で挟まっている。赤っぽいのはトマトではなくハム。よくある薄切りのハムが何層にも重なったまま挟まっている。レタスもぎっしり。ケチャップとマヨネーズがたっぷり。
かぶりつくけどはみ出てきてなかなか難しい。咲紀先生は箸で頂いていた。でもサンドイッチは一口でパンと具材のハーモニーを楽しみたく、私はガブリ。顔も手もベタベタになる。
食べ切るためには勢いが重要だ。どんどん食べ進めると味に飽きてくるので時折コーヒーを飲む。大食いチャレンジ中の飲み物は控えたいのに、それを許さぬケチャップとマヨネーズの合わせ技。
同伴者は提供されたベーコンエッグに目を丸くしたが、状況を受け入れ黙々と口に運んでいる。
こっちも半斤。皿からはみ出ている。
厚みのあるベーコンの下に目玉焼き2個。ナイフとフォークで果敢に挑む同伴者だが、後半は辛くなってきたようだ。
2人無言になる。いわばテレビのアレ、カラフルな色がブロック上に出ている画面「しばらくお待ちください」のやつ。
お母さんの顔が忍たま乱太郎の食堂のおばちゃんに見えてくる。(実際はスリムなお母さんであるが)私どもはと言えば、いわゆる虚無顔。残したらいけないの一心で無になって食べていく。
喫茶Yは朝食で、昼はイレブンに行く予定だったが、とても無理そうである。まさかの2年連続JT杯大阪大会満腹観戦。そういう運命なのだろうか。
戦いを終えた私たちの会計時には「ワンワン」や「キャンディ」「サンキュー」の声は無く、でも、大阪のおばちゃんらしさを感じさせる「ほら、飴ちゃん!」だった。
決して若くはない夫婦がチャレンジした喫茶Yは、想像以上に厳しかった。全て同伴者の裏切り注文が原因だと思う。この後、腹を押さえてだいぶ反省していたようだ。
なお、この訪店で咲紀先生リスペクトの度合いが数段増したことは言うまでもない。
卵10個でハーフサンドを食べ切るなんて…神ですか?
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