将棋めしとおやつの旅~東京・その1(6)鳩森八幡神社
(2021年12月の参詣記録です)
甘く香るモンマスティーを片手に「神様失礼します」とつぶやきながら鳥居をくぐった。失礼ながらずずずと紅茶をすすりつつ歩くつもりだったが、なんせ初の参詣、あちこちに目が移り都度都度スマホを構え、カップは同伴者に預けたままだ。
12月。大きな銀杏が美しく、足元に黄色がちらほら。掃き掃除は毎日大変なのではなかろうか。
まずは祈願祭の動画などでよく目にする八角形の将棋堂を。棋力向上を願う絵馬が並んでいる。第3回Abemaトーナメントのチーム木村(木村九段、生方九段、野月八段)が絵馬を書いていたことを思い出した。あれはチーム動画になったのだったろうか。翌年の土砂降り花見動画の強いインパクトにより、薄れてしまった自分の記憶力が残念だ。
王将は巣篭もり中である。この王将駒、毎年1月5日あたりの祈願祭で開帳され見ることができるそうだ。祈願祭の動画では、大きな王将駒よりも寒そうで眩しそうな棋士の方々に目がいってしまっていたので、のちに改めてじっくり視聴してみようと思った。
美しい松が描かれた壁が見えるガラス張りの建物は能楽殿で、その前にいくつかベンチがあった。腰を落ち着けて周囲を見ると、多くの人がモンマスティーのカップを手にしていた。なるほど、ここのベンチはモンマスティーの非公式イートイン(外だからインではなくアウトか)スペースのような役割も担っているようだ。神様も甘いミルクティーの香りを楽しんでくれていると思いたい。
ちなみに能舞台に描かれている松の絵は、影向(ようごう)の松と言われ、春日大社の老松だそうだ。神様がこの松に乗り移って舞い、疫病を退散したと言う。多分忘れてしまうと思うので、念のためここに書いておく。
さて、本堂らしき建物に近づいていくが、どうも思った向きをしていない。
歩いてみて気づいたのだが、敷地への入り口がもう1箇所あり、そちらが本堂へまっすぐ向かっていた。将棋会館から近い方の鳥居で、ケムコのゲーム『千里の棋譜』に出てくる風景は多分こちらだが、画像は撮っていなかった。
美しい花手水で清めてから、木村九段の復調を祈願した。
お参り後、すぐ横の社務所へ行き勝守と鳩みくじを求めた。可愛い鳩みくじは吉。
「願望 思うだけでは進みません。行動あるのみ。」とあり、耳が痛いやらなんやら。
秋以降ひよことの勝負を避けてしまっている。棋力という言葉を使うこともおこがましいくらいの体たらく。
なぜなら、旅行の計画を立てる方が楽しいのだもの。楽しい方へ向かうのは自然な事なのだ。
「思うだけでは進みません」を忘れずにいなければという想いもあり、鳩みくじは結ばずに持ち帰ったが、今となっては1ミリも覚えていなかった。そんなものである。家に結んでおこうか。
さて、遅筆ゆえ、この参詣から5ヶ月が経ってしまった。そして、自分でもまさかと思うのだが、この後すでに2回訪れている。出不精をも動かす将棋熱。この情熱をひよことの戦いに向けていればとこの先に後悔することになるのだが、またそれは別途記すとしよう。
旅する観る将『旅将』という言葉があるのなら、自分にしっくりくると思う。季節ごとの美しい鳩森八幡神社の記録はまたいつか。
(つづく)
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