将棋めしとおやつの旅~東京・その1(2)レティエ
ひときわ目立つ空色の壁に白いクリームがかかったようなペイント、それがソフトクリームとカフェの店、レティエだった。おしゃれな店構えだが、大きなソフトクリームが飾られていて、懐かしい雰囲気も兼ね備えている。
店内はカウンター席が少しあるだけのこじんまりとした様子で満席に近かった。昼前だが早めのランチの方もいる。
フードメニューは木村先生が以前対局時に注文していた「海老グラタン」があるが泣く泣くお預けである。また、牛柄のカレー「レティエライス」も興味津々なのだが、これまた次の機会にお預け。
ここで頂くのはソフトクリームと決めている。たった1泊の東京滞在では限りがあるので辛い。
カウンターの上に掲示されたメニューには、多くのソフトクリームの見本写真が並んでいた。どれも色とりどりで心をくすぐるトッピングで美しく飾られている。これは言うて、持てるパフェではないか。
そしてお値段も違う。私の乏しいソフトクリーム経験では、成田ゆ〇牧場が最高値なのだが、ここは軽々と超えてきた。
しかし、前にも記したことがあるが、わたしは旅行中に財布の紐がはき古したパンツのゴムになる奇病持ちなので問題ない。
同伴者と違うものを注文して、「一口ちょうだい」をやるつもりで彼の出方を待つが、カタカナは苦手で固まっているようだ。
予想通り読みやすい平仮名の「あずき」を選んだ同伴者。ミルクソフトクリームベースのものだ。ならば私はマスカルポーネソフトクリームで、あずきと色合いが似ていないものを注文しよう。
私の選んだ「ラズベリーチーズケーキ」は、マスカルポーネソフトクリームにホワイトチョコチップクッキーとピスタチオがのっていて、ラズベリーソースがかけられている。厳密に言えばチーズケーキではないが、そこそこチーズケーキ風に感じられるのはマスカルポーネの濃厚さと風味からだろう。ラズベリーの酸味は爽やかで、クラッシュピスタチオの歯ごたえがいいアクセントである。何より、見た目が華やかで可愛らしい。
名前のまま、そのものズバリでわかりやすい「あずき」。ぽってりとしたあんこと柔らかなミルクソフトクリームの絶妙なマッチング。「俺のミ〇ク・あずき(ノー〇ル)」を甘さ控えめにしたような美味しさである。なめらかなソフトクリームは軽くていくらでもいけそうな感じであるが、一口もらっただけである。
コーンのサクサクと一緒に食べるのがまた良い。ワッフルコーンなので、まるで最中とはならないところが嬉しいと同伴者が言っていた。
ボリュームのあるソフトクリームで、ほどほどにお腹がふくれたが、昼食までの腹ごなしミッションを色々と予定している。
まずは、持ち帰り用に購入した「将棋駒クッキー」と「成るバターサンド」を持ってパーキングへ戻るのだ。「成るバターサンド」は要冷蔵だが、車にはクーラーボックスを積んで抜かりなしである。
そろそろと立ち上がったところに親子連れが入ってきた。レッスンバッグを持った小学校低学年くらいの女の子とママ。女の子はまるでいつもしているといった手慣れた様子で上着をハンガーにかけている。
いやはや、東京に住むということはそういうことなのだ…と羨望のまなざしを向けつつ店を出た。
まだ12時前。満腹への旅は始まったばかり。
(つづく)