将棋めしとおやつの旅・神奈川~愛知(3)旬景浪漫 銀波荘 その1
箱根を後にし、次に向かったのは宿泊地、西浦温泉『旬景浪漫 銀波荘』。タイトル戦の舞台として何度も登場する有名なホテルで、本年の王座戦第2局で木村一基九段と永瀬拓矢王座が対局した場所である。
左手は海だ。日も暮れかけている。『川崎家』で昼食をとっていたら、あたりは暗くなっていてこの情景も見られなかっただろう。
チェックインを済ませ、まず向かったのは足湯だ。Abema将棋チャンネルのマルチアングル放送で、佐々木大地五段と脇田菜々子女流初段が入っていた。
明るいうちに到着したかったのは、この足湯で三河湾の日が暮れていく様子を眺めたかったからである。
この足湯はプレミアムラウンジ内にあり、特別客室に泊まると無料で利用できる。
ラウンジ内はソフトドリンク、アルコール、デザート、おつまみなどが自由にいただける。ただし足湯に浸かりながらの飲食は禁止事項である。
テーブル席が個室のように分かれていくつもあり、ソーシャルディスタンスが保たれるところが良い。
足湯の後で、ラウンジ内に用意されているジュースの中からアップルジュースを選んで喉を潤した。王座戦で木村九段がおやつの際に注文されていたものと同じではないかもしれないが、この旅のコンセプトは将棋めしとおやつなので、ひとまず押さえておいた。
夕食までの間は王座戦対局者のいらしたロビーを確認。中継ブログを復習し、どのソファかを見定め着座してみたりする。
フロント近くの売店には、棋士の揮毫扇子がずらりと飾られていた。どのように壁に取り付けているのか、縦に連結しているのかなどを確認してくれば良かったと今になって悔やんだが、よく考えたら私の扇子コレクションなど両手に満たない。
さて、お楽しみの夕飯だが、宿泊プランの料理は決まっていたので、将棋めしという訳ではない。
月替わりでメニューが変わるとのことだが、お品書きだけでもA4版1枚にぎっしり。海の幸を中心に充分な量で、これでもかという品数が提供された。対局者も対局前夜にここまで満腹になったのだろうか。
彩り良く美しい盛り付け。
温かいものは温かくその場で火を通して。
冷たいものは冷たく氷の器で。
とうに満腹であるが、別に注文しておいたデザートを食べずには帰れない。木村九段が王座戦でお召し上がりになった、勝負おやつ、半熟ショコラである。
「温かいうちにどうぞ」と提供されながら、アイスも同居しているのが面白い。ねっとりと濃厚で柔らかく滑らかな温かいショコラケーキだ。
満腹でなければコーヒーでも注文してゆっくりと味わうところだが、この勢いを止めてしまうと途端に入らなくなってしまいそうなので、もったいなくも手早く勝負を終えた。
コース後半の真剣な戦いぶりから察していただけたのか、本来のコースに入っていたデザートを朝食時に提供するご提案をいただけて本当にありがたかった。
なお、食事の場所は完全に個室で、ゆったりと落ち着いていただけたため、このようなコロナ禍でも安心感があった。
(つづく)