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『宙わたる教室』第二話 考察 外国人×女性というマイノリティ 諦めさせられてきた数の違いなんだよなと思った話
今回は、フィリピンにルーツをもつ40~50代の女性の生徒、アンジェラさんがメイン。
『しかたないんだよ』という言葉が印象に残った。
外国へのルーツ×女性という二重のマイノリティを背負ってきたアンジェラさんは、きっと『しかたない』という言葉で、何度も自分の気持ちを後回しにしてきたんだろうと思った。
彼女の独白をまとめ見ると、
親のオーバーステイのため、小3まで学校に行けなかった。学校に行きたくてこっそり学校を見に行っていた。
中学生になったら親の出産で弟妹ができ、親は仕事、弟妹の面倒をまかせられて、学校に行けなくなった。
16歳で結婚し、出産し、子育てに一生懸命になった。
店をもてて、店のきりもりに一生懸命だった。
娘の手が離れてから、やっぱり高校に通いたい気持ちがでてきた。
クラスメートの若者がトラブルを起こして彼女の気持ちがわかる。自分は若くないから彼女をかばって自分の夢なんか諦める。若者の夢をかなえる方が大事。
女性役割だけでも、気が遠くなる重荷。
それ以外に外国ルーツが絡んで、『しかたない』ことが嵐のように押し寄せてきたんだろう。
40~50年間、周りの人やシステムから優劣をつけられて、毎回自分以外の誰か・何かを優先することを望まれてきた、自動的にそうせざるを得ない選択肢があったということ…
藤竹先生から『夢に優劣はないんです』と言われハッとなるアンジェラさん。
『夢に優劣はない』というのはその通りだけど、直面する現実では優劣をつけられてきた…
子どもの頃は力が足りなくて翻弄されてしまうのが自然。
でも、今の彼女は、子育ても店の経営もしてきた。力を蓄えていて『仕方ない』とあきらめていたいつものパターンを実は抜け出すことができる。
自分が成長していること、実は自分に力が蓄えられていることって、自分だとなかなか気が付きにくい。
この先生は、20~30代の男性、元研究者。
結果的に若くして助教になっているから、自分の好きなことを最優先にできる環境と、才能に恵まれた、マジョリティの中でもトップクラスの恩恵を享受してきた人。
彼とアンジェラさんに降りかかった『しかたがない』ことの総量には大きな開きがあるものの、
彼は、他者に降りかかった理不尽を機に業界に絶望し、その人の代わりに怒ることができる人。
1話で、識字障がいを告げられた生徒のぐちゃぐちゃの感情に直面して戸惑い、今回のアンジェラさんが諦め続けてきたマイノリティであるが故の『しかたない』ことをほぼ経験してないけど、『そのパターンは自分をしあわせにしないよ』と言える。
面白い人だな。