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モノローグ台本『異世界への招待』第2稿

『異世界への招待』

作:藤野友祐

やあ、ようやく目が覚めたようだね。
ボクはメビウス。

あっ!無理に動かない方がいいよ。
時空を超えて来たんだ、精神への負担は大きいはずだからね。

そうそう、ボクはこの世界の案内人なんだけどさー。

なんと君にはこの世界を救ってもらいまーす!
どう、その気になった?
いやだなぁ、そんなに警戒しないでよ。案内人だって言ってるじゃない。
つまり、ボクは君のミ・カ・タだよ。

あぁ、それについてはちゃんと順を追って説明するからさ。
ここは君がいたところとは別の世界なんだ。
そして君は勇者として選ばれた。どう、光栄に思いなよ。
君がやるべきことは・・・(少しためて)魔王を倒すこと!それだけだ!!

え、そんなこと望んでないって?
いやいやいや、それは君の都合でしょ。ボクにもいろいろと事情があるからね。
第一に、君が魔王を倒してくれないと世界が滅びるんだよ、みんなが困るんだよ!
あのさー、異世界から人間を召喚するのってめちゃめちゃ難しいの。1日1回しかできないけど、成功率は1000回に1回とかだからね。つまり君を召喚するために3年近くかかってるんだ。わかる?君はレアなんだよ、すごく貴重な存在なんだよ。
頼むよ、一生のお願いだから!代わりにボクに手伝えることがあったらなんでもやるよ。

え、元の世界に帰る方法?いや、だから君に帰られちゃ困るんだよ。
もう一度言うよ、君は魔王を倒す使命が…。

おいおい、冗談だろ。ボクが魔王だって言うのかい?
(少し態度と口調、可能なら表情も変えて)
はっはっは、よくぞ見抜いた。そう、我こそは魔王!
そして我の計画を邪魔する勇者には今この場で死んでもらう、覚悟するがよい!!
(手をかざして攻撃する動作をするが途中で止めて、元の状態に戻る)
ってなるじゃん。仮にもし僕が魔王だったらさ。少し考えれば分かるでしょ。

なに、その微妙な反応は。せっかく乗ってあげたのに。お気に召さなかったかい?

(ため息をつきながら)
これまでの勇者は、みんな役目を果たせなかったのさ。ほとんどは「自分は勇者には向いてない」って、ここで違う仕事して暮らしてるし。あとは行方不明に…いや、想像に任せるよ。

でもね、あきらめた勇者のほとんどは、この世界で結婚して家庭を持ってるんだよ。勇者ってさあ、わりとモテるんだ。

あ、今ちょっと「勇者っていいかも」とか思ったでしょ。ダメだよ、実績もないのにいきなりナンパとかしちゃあ。

(遠くに向かって叫ぶ)
って、おーい!まだ大事な話があるからーー!!

(戻ってきたのを見て、あきれたように)
君さぁ、ホント人の話を聞かないよね。そんなことじゃこの先、勇者としてやって行けないよ。
(あわてながら)
あぁ、ウソウソ。君ならきっと立派な勇者になれるよ。だからさ、そこをなんとか。
ぶっちゃけ、君が最後の希望なんだ。君が魔王を倒してくれないと…。

(イヤそうに)
ボクが行かなきゃならなくなるんだ。でも戦うのとか絶対無理だし。だからこんなことやってるわけで。

いやいやいや、勘弁してくれよ。だってボクは結婚してて子供もいるんだから。

あぁ、そうだよ。僕も異世界から勇者として召喚されて来たんだ。でも戦うのなんか絶対ヤダって言い続けてたら、この案内人の仕事を押し付けられてさ。日々勇者を召喚する日々ってわけ。君、代わりにやってみる?

え、召喚されたとき?そりゃあ迷惑だなって思ったよ。でもボクも好きでこんなことやってるわけじゃないんだ。いい加減わかってくれよ!

(少し強い態度になって)
仕方ない、だったら力づくで行かせてもらうよ。
どうしても勇者になりたくないって言うのなら、ボクを倒してから行くんだね。
(ボコボコにやられて、倒れる)
(起き上がりながら)
めちゃくちゃ強いじゃねぇか…。

(了)

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