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モノローグ台本『異世界への招待』第3.2稿

『異世界への招待』

作:藤野友祐

やあ、ようやく目が覚めたようだね。
ボクはメビウス。

あっ!無理に動かない方がいいよ。
時空を超えて来たんだ、精神への負担は大きいはずだからね。

そうそう、ボクはこの世界の案内人なんだけどさー。

なんと君にはこの世界を救ってもらいまーす!
どう、その気になった?
やだなぁ、そんなに警戒しないでよ。案内人だってば。
つまり、君のミ・カ・タだよ。

あぁ、それはちゃんと説明するから。
ここは君がいたのとは別の世界なんだ。
そして君は勇者に選ばれた。どう、光栄だろ。
君がやるべきことは・・・(少しためて)魔王を倒すこと!それだけだ!!

え、そんなこと望んでないって?
でも君が魔王を倒さないと世界が滅びるんだよ!
ここだけの話、君みたいに勇者の素質があって異世界から召喚される人って少ないんだよ。わかる?君はレアなんだよ、すごく貴重な存在なんだよ。
頼むよ、一生のお願いだから!代わりにボクにできることは、なんでもするから。

え、魔王がどんなやつかって?そうだなぁ、たとえるなら。
(少し態度と口調、表情を変えて)
我こそは魔王、この世界を支配するものなり!
そして我の計画を邪魔する勇者には今ここで死んでもらう、覚悟するがよい!!
(手をかざして攻撃する動作をするが途中で止めて、元の状態に戻る)
って感じかな。もちろんボクのイメージさ。実際に会ったことはないから。
ていうか会ってたらもうとっくに死んでるよね。

なに、その微妙な反応は。せっかく要望に応えたのに、お気に召さなかったかい?

(ため息をついて)
これまでの勇者たちかい?みんな役目を果たせなかったのさ。ほとんどは「自分は勇者に向かない」って、違う仕事をして暮らしてるし。あとは…まあいろいろだよ。
でもね、あきらめた勇者のほとんどは、この世界で結婚して家庭を持ってるんだ。勇者ってさあ、わりとモテるからね。
あ、「勇者っていいかも」とか思ったでしょ。ダメだよ、実績もないのにいきなりナンパとかしちゃあ。

(遠くに向かって叫ぶ)
って、おーい!まだ大事な話があるんだけどーー!!

(あきれたように)
君さぁ、ホント人の話を聞かないよね。そんなことじゃこの先、勇者としてやって行けないよ。
(あわてながら)
あぁ、冗談だよ。君なら立派な勇者になれるはず。それにここだけの話、君は過去に召喚した勇者の中で誰よりも強いんだよ。お世辞じゃなくて。
ぶっちゃけ、君が最後の希望なんだ。魔王を倒せるのは君しかいないんだよ…。

(土下座、あるいはそれに類する態度で)
お願いだよ、君が魔王を倒しに行ってくれないとマジで困るんだ。ボクはもう生きていけないかもしれない。後生だから!このとおりだ!!

(観念したように)
分かったよ、ちゃんと全部説明するから。勇者を召喚するのがボクの仕事、でもこれって成功報酬なんだ。君が王様のところに行って「魔王を討伐します」と誓約書にサインしてくれればOK。それで報酬が手に入るってわけ。でもここ最近ずっと勇者に逃げられ続けていて。もう貯金がゼロなんだ。このままだと家も売るしかないし、明日から路頭に迷ってしまう!

(説得をあきらめて、少し強い態度で)
これだけ頼んでもダメかい。
仕方ない、だったら力づくで行かせてもらうよ。
どうしても魔王を倒すのが嫌なら、ボクを倒してから行くんだね!
(必要に応じて攻撃をしたりよけたりなどの演技を入れても良い)
(戦闘中、適宜サウンドを入れて攻撃やガードを表現する)
(相手の攻撃を受けガードする、腕を顔の前でクロスするなど)
(なんとか耐えていたが、さらに波状攻撃を受け、もしくは強烈な一撃で防ぎきれなくなる)
(ダメージを受けながら)忘れてた。そういえば過去最強の勇者だった…。

(了)

使用許可について


・ご自由にお使いください。許可申請・上演料・使用料は不要です。
・ご使用の際には、作:藤野友祐のクレジットを明記してください。
・そしてご使用時には事前にご連絡いただけると大変うれしいです。

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藤野友祐
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