2018年05月24日 性犯罪をなくすための対話 第2回「軽視される痴漢被害」
第1回に引き続き聞いてきました。
斉藤章佳さんの話
はじめの言葉。許されることを前提とした謝罪は謝罪ではない。
痴漢被害と痴漢冤罪は、同じ俎上に乗せて議論すべきものではない。母数も全然違う。
はじめに性暴力(痴漢加害)に手を染めてから、初診まで平均8年かかる。1日1人の被害者と仮定して、1年間で365人。更正プログラムを受けている人も多いし、捕まっていない人もいることも考えると、被害者は膨大な数になる。
犯罪原因論と環境について。
環境に目を向けた対策をすべき。
「わざとぶつかってくる人」の告発と、痴漢加害者との関連。
一見重要ではない決定の危険性。
パチンコの依存症患者が、大丈夫になったという度胸試しとして、パチンコに入って一週するような行為。その時、作られた依存の脳回路が活性化してしまう。痴漢加害者へのプログラムでも似たようなことがある。
問題について理解してくれるキーパーソンが大事になる。それは、2つの条件が必要。
1 .起こしたことを、知っている人。
2 .相談できる人
性犯罪によって家族関係が壊れてしまった人は作り直す必要も出てくる。そのキーパーソンには職員がなることもある。
性欲を抑えないと溜まっていく一方だという主張があるが、それに対するエビデンスはない。また加害者治療の中で、自慰を一定期間やめてみるプログラムがあるが、しなくても大丈夫になる。
cf.資料の「回復カレンダー」
自分の状態について、正直になることが大事であり、回復カレンダーには正確な状態をシールで貼る。また、シェアリングと呼ばれるが、キーパーソンと、状態について分かち合うことが大事。キーパーソンを避けるようになったとき、それは悪い兆候である。
齋藤梓さんの話
何で被害を打ち明けられたとき、親身に話を聞くことが出来ないのか。その原因の1つには、公正世界仮説があるように思う。良い人には良いことが。悪い人には悪いことが起こるはずという考えのことで、一度悪いことがおこってしまったとき、自分は善良なので、その起こってしまった悪いことを過小評価したくなるのです。
上谷さくらさんの話
学生と性被害について
制服で学校が分かるから、学校の最寄りで降りることは分かる。つまり、行動範囲かわかる。
ホームページで行事なども分かるから。
今の日本では、性暴力が多いことを前提として…。
毎日同じ時間の電車には乗らない方が良い。また、できれば車両も変えた方が良い。それでも同じ人を見かけるとかあれば、狙われている可能性がある。そんなとき、警察に相談すれば、婦警が一緒に電車に乗ってくれることもある。
警察に相談するハードルはとても高いと思う。警察の対応が問題視されることも多いが最近は改善傾向にある。それから、支援センターにお願いして、警察に一緒についていってもらうこともできるので、相談してみてほしい。
痴漢で初犯(はじめに捕まったとき)、過去にたとえ1000件、性暴力を行っており、そう自白したとしても、その証拠はないためその部分は罪に問われない。結果として、示談になることが多く、被害者側がそれに応じたとしても、略式起訴で罰金となる。刑務所に行くことはほとんどない。
たとえば大学生にとって痴漢加害は毎朝遭うものであり、そのすべてに対応していては単位もとれなくなる。そういったことを恐れて言い出せないことも多い。
パネルディスカッション
章佳さん
川崎重工という会社は列車を作っているのですが、Bluetoothでアナウンスをする機能を考えており、どういう言葉が良いか、スピーカーはどこにつけるのが良いか、相談を受け提言したり一緒に考えています。
例えば、「痴漢は病気です」や「痴漢は勃起していません」などです。さすがにそれはと言われてしまいましたが、真面目に議論しています。
章佳さん
痴漢を減らす方法の1つとして、満員電車を減らし、働き方を変える必要がある。
上谷さん
警察署に行かないといけないというのは、億劫なことである。学校は満員電車の中、学生に登校させていることに自覚を持って、子供を守るべき。なかったことにしない。遅延証明書のようなものを発行し、例えば学生が不利益を被らないようにすることとか。
章佳さん
男尊女卑と書籍やネットに書いていたら、クリニックに嫌がらせの電話がかかってくる。女性職員が対応し、20分ほどして著者がおりますので、 斉藤に変わりますと言うと「いいです」と言われた電話が切られる。
質問「なぜセカンドレイプをしてしまうのか」
解答
自分自身への怒りを子供に添加してしまっているのではないか。それから、被害にあったことは恥ずかしいことではないのに、この子が恥を負ったみたいな考え方に、周りの人もとらわれてしまっているのではないか。
親御さんも自分を責めていることも、それは被害者の自己責任という考えが蔓延しているからだと思う。
痴漢えん罪が怖いのはなぜ?(みたいな質問だった気がする)
特に男性の、受け止めて対話する力が小さいんだと思う。
加害者臨床で、被害者から話してもらうことは更正の一助となりうるが、「加害者のことなんて知りたくない」という被害者が多いと思う。
この当団体からの依頼と、被害者に対する謝罪は似たところがあると思っていて、
許すかどうか、コミュニケートとってくれる(スピーカーになってくれる)かどうかは相手が決めること。
話を戻すと、「何でも言える関係」を築くことが大事。例えば、被害を話したとき、怒られるとは思わない。 安心して話せるような環境。
カナダ
コウサという輪がある。そこはボランティアと共同生活する更正グループである。