金峰山、憧れの修験道
金峰山、奥秩父山塊の盟主にして名峰の百名山。別名甲州御岳山と呼ばれている。ちなみに山梨側からはキンプサン、長野だとキンポウザンと読まれる。
山岳信仰の対象である山だが、木曽の御嶽山とは違い蔵王権現が祀られている。蔵王権現に関しては調べればすぐに出てくると思うので割愛。
ところで金峰山に初めて登ったのはいつか、それは2018年の夏だった。大菩薩嶺からの景色に感動した私は富士山が綺麗に見えて初心者でも登りやすい山を探していた。
大弛峠から登れば、往復8キロほどで標高差もあまりない。
超初心者用の山だ!と食いついたのだ。この山の歴史や大きさをまったく知らない私は初めての登頂は大弛峠からであった。
その登頂から数年後の2022年GW、破線ルートである金峰山表参道から登頂した。
甲府森林浴広場に車を停めた。
早朝友人と歩き始めたGWの朝はまだ寒かった。林道を歩き続けると、下調べした道を発見した。造林記念碑まではルーファイの連続で急登を登ったり、林道を跨いだりした。
記念碑からの登りは踏み跡も多くピンクテープも豊富だった。廃道にならずにこの道が残っているのは僅かながら奇特な登山者のおかげかもしれない。
渡渉を繰り返し水晶峠まで来るが奥秩父らしい倒木が多かった。石楠花にはまだ早いが満開の時期はさぞ美しいのだと思う。
御室小屋跡でビタミンドリンクやパンをいただく。バリルートの中ではかなりしっかりした登山道だと思う。
早朝の肌寒い風が熱った身体を冷まし、太陽光が燦々と降り注ぎ今日の登山を後押ししてくれる。スラブ状の一枚岩やハシゴ、ザレた斜面を登ると岩とハイマツ帯ゾーンに入る。
ここまで来ると五丈石が目の前に見える。普段とは違う見え方にテンションが上がった。
所々、"黒平ー金峰山"という道標が目に入った。昔はここはメジャールートだったのだ。古では金櫻神社からの正式な登山道でもあった。まだ登山靴もない人々が神社から時間をかけてお参りに来たのだ。同じ道を歩く、ここに意味があるのだと思う。
いよいよ山頂だ。奥宮に祀られている五丈石に到着だ。後ろを振り返ると甲府市街と堂々と聳える富士山をしっかり見ることができる。何度も見た景色ではあるが、クラシックルートで無事登頂できたことがとても嬉しかった。
山頂標識で記念写真を撮り、360℃の大展望を満喫したあと名残惜しいが下山開始だ。
帰りはもちろんピストンだが、登りと下りでは景色が全然違う。GWなので残雪もある。スリップしないように慎重に歩いた。
御室小屋跡までは一本道を下るだけだが、ここから先は渡渉や幅広い道もあるのでピンクテープを注視しながら進んだ。奥秩父の苔や針葉樹の堆肥に変わっていく香りを味わいながら、造林記念碑、林道を経て駐車場へ。
2024/7/6現在でもこの日ほど興奮した日はないかもしれない。それだけ私はこのルートが好きになった。最近では御嶽道復興クラファンが立ち上がっているようだ。
大弛峠ができてから、登る人が極端に減ってしまい廃道になるのは時間の問題ではあるが歴史ある御嶽道は残してほしいと切に願う。
このルートの詳細はYAMAPの日記にあります。
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