FRENZ2024出展「まれびとこぞりて、あるいは以下略」の話
今年も出てきましたFRENZ2024。今年は転勤+会社イヤイヤ期真っ盛り+続くエデンス制作でもう流石に何も出せまい、と思っていたのですがなんかまろび出てしまった。まさに悪い成功体験を積み散らかしている。というわけで新作映像のおはなし。
まずはこちらをご覧ください。
■作品の話
大元は10年以上遡り在学中に考えていた短編ネタ。「ハロウィン」をテーマに脚本を一本書くというお題に合わせて書いたホンで、「ハロウィン勢がトリックオアトリートしに行こうとするとそこにはひと足先にスタンバってるナマハゲがいて、どちらが家に押し入るかを戦って決める」というストーリーものだった。話はともかく画的にはそこそこ安牌だろう、ということでいずれタイミングが来たらやろうとずっと頭の片隅に置いておいたのが(ストーリーものからPV調になったけど)今回形になった。
ちょうどハズビンホテルとかゼンレスゾーンゼロといった作品を目にしたり、何の因果かちょっとだけホントにカートゥーンの仕事をいただいてたこともあって、外はパキパキ中はぬるっとしたカートゥーン調のアニメを作りたいという気持ちがくすぶっていたのも後押しした。いざ描いてみると結局ガイナ・トリガー系寄りのバキバキな感じになってしまい、心の中のお絵描きラウ・ル・クルーゼに「所詮人は己の描けるものしか描けぬ!」と煽られる。機会があったらリベンジしたいところ。
作画と演出の話……アニメーションにも派手派手なハレのアニメと日常演技のケのアニメがある中、ゲーム制作でいわゆるケの作画を量産していた反動でハレばっかりやってやろうという気持ちで色んな戦闘シーンを描きまくった。楽しかったは楽しかったが、いざ繋げてみるとやたらに目が滑るのでやっぱりメリハリというか劇の演出をきちんとするって大事だな、コンテちゃんと練ろうなという学びを得た。今更過ぎる。
音楽はフリー音源を使用させていただいた。とりあえず撮影→とりあえず目で見てダレない程度のテンポで編集→目星をつけた音楽から総尺に合いそうなものを置く→音楽の展開に合わせて削ったり伸ばしたり、という感じの超行き当たりばったり編集だったが、それにしてはMVといえばMVに見えるくらいになってるのは自分を褒めてやりたい。しかしなぜ自分の作画で作画MADを……?今回あらためて、音を乗せると一気に映像が映像として立ち上がってくる実感を得る。音楽のちからは凄い。
■キャラクターの話
普段東方の二次創作で生きているとオリキャラ筋が鈍りがちなので、時々こうしてキャラを1から作ると楽しい。去年の削げの人といいありがたくも好評いただけているようで嬉しいです。
全体コンセプトとしては、
①カートゥーンっぽく、線少なめ単純誇張シルエット
②一応今を生きるキャラクターとして、伝統的な見た目からちょっと外す
③仮装するネタ元自体が何かしら正体を隠す要素を持ってるようにする
あたり。上手くできたものもありできてないものもあり。
◆ウィル・オー・ウィスプ / ジャック・オー・ランタン
みんなのまとめ役。在学中はあまり目立たなかったが気づくと同窓会の幹事とかやってそうなタイプ。日本でいう鬼火のような存在のため、今回みんなの危機に一念発起して鬼の姿を見せた。鬼火ってそういう意味じゃねえ。
デザインはシンプルにヒトダマ。ハロウィンならカボチャを出さなきゃというのと何か別の怪異が仮装しているという縛りが先にあって、「ランタンなら中の火が本体」「名前の構造が似ている」といった連想から抜擢された。カボチャ仮面と、鬼形態になると目の穴からツノが生えて兜のようになるというネタは思いつきにしては気に入ってる。
◆ワーウルフ / 赤ずきんのおばあちゃんに化けたオオカミ
ガラが悪そうだが1番くそまじめ。ワンピで言えばゾロ。コスプレとかそういうのが嫌いなので、渋々同種族のネタを選んで「おれはお前らみたく変身願望があるわけではない」とお茶を濁した。
体格小さいけど態度がデカそうな感じにしたくてこのサイズ感。この中では一番ステレオタイプに収まった。パンキッシュ(?)な風貌は最近のサガシリーズに出る人狼系モンスターの印象が出てしまったかも。あとザングースとか。変装したきぐるみの元ネタはポップンのオオカミ少年。時々動きが犬になるところがすき。
◆バンシィ / 口裂け女
泣き女の陰鬱さが微塵もない、仲間うち一番の陽キャで騒げればなんでもいいタイプ。多分三姉妹(バンシーといえばトリオなので)の末っ子。漢字のデザインを気に入っているが意味は分かっていない。
鳴き叫ぶ怪異から連想してバンギャっぽいイメージで描いていたが、これが本当にバンギャっぽいのかは謎。髪型は筋少というか音石明というか。口裂け女なのは「女の怪異」「泣き女の本分たる口を隠す」「万死 / バンシィという漢字ネタ=日本産」あたりの複合理詰め。見た目うるさくて描いてて楽しいやつ。
◆フランケンシュタインの怪物 / ミイラ男
実のところ本当にフランケンシュタイン博士に作られたのかもよく分からない謎の新造生物。朴訥で「気は優しくて力持ち」を体現するやつ。身体中にいつ使うんだ?っていうギミックをいっぱい仕込んでいる。
仕える者というイメージで、執事っぽいスマートなシルエット。目の下のキズは黒博物館がめっちゃ良くて真似してしまった。頭の形はミイラにした時にファラオっぽい形にしたかったのとジャイアントロボのイメージ。あとシンプルに、強そうな奴が髪型だけちょっとかわいい、というパターンが好きなのもある。
◆ナマハゲ
悪い子を見つけると襲いかかってくるやべーやつ。本人(?)はナマハゲの本分に従ってるだけなので、特に善悪とかはないし普通にバターもちとか食ってる。ハロウィン勢とは逆に、時期的に若干早めに着いてしまったせっかちさんである。
デザインはいわゆるナマハゲだけど、お面はちょっと無国籍感が出るようにした。最後の一枚だけステレオタイプに鬼の面。ハロウィン組それぞれに対応する戦闘スタイルを持ちしかもそれぞれを上回る・ただしダメージは蓄積し最後には一本取られてしまう、というのは志々雄真実とかあの辺の役回り。
ハロウィン組と同じくナマハゲ側も仮装の姿で正体は……というオチも考えたものの、秋田産の妖怪でこの尺で出た瞬間に納得感の出せる奴が思いつかなかったので、今回のようなシンプルなオチになった。ので、中の姿はあまり考えてない。旧鼠とかかもしれない。
キャラクターのファンアートなどお待ちしています。
■私情
今回の制作であらためて感じたのは、自分、時間や能力や諸々制約がある中でいろんなものを削いだり足したりして一本の作品になんとかこねくりあげる工程自体が好きなんだろうなということ。いろんな方の話を聞いたり、あるいは直接お話する中で、「なにかを表現したい」といった方向のモチベーションは自分の中で第一ではないんだろうなとあらためて感じるなどした(去年の「削げ」は割とそっち寄りだったけど)。とはいえ、どんな形でも観た人が楽しめる作品を作るというところだけはきちんとしていきたいな、と思った3日目朝の部。
な、なんだか俺、映像が作りたくなってきま……
次はエデンス完成でお会いしましょう。また来年も対戦よろしくお願いします(出られるかな……)