FRENZ2022に行ってきました
3年ぶりの開催ともなれば、珍しく何か書いてみようという気持ちになりました。イベント詳細についてはこちらを参照のこと(https://frenz.jp/2022/)。
現場とか当日の行動のこと
会場入るまでは結構人数絞って机とかも出したりする感じなのかな?と思いきや、入った瞬間に2019までの空気がほぼそのまま続いてきたかのような密度でたいへん驚きました。スタッフの皆様にはこれまでにも増して本当にお疲れ様です&ありがとうございます……。
今回3年ぶりの徹夜ということもあり老いた自分がどこまで保つか分からなかったので、部屋着めいた服を調達してきたり2日目の昼過ぎからはひたすらテルマー湯でHP回復したり初めてちゃんと自分をケアして臨もうと思いました。温泉、いいですね。保ちの違いを実感したので来年も覚えてたらやります。
ピックアップ感想
見直しながら書いているところもありますが、当時の気持ちの記録重点で記憶で書いているのが主です。
1日目昼の部
・オープニング(サイトウユウマさん)
オープニングは出展作品で唯一(唯四)上映前に作者が明かされないので、毎年どの段階で当てられるか楽しみの一つにしています。産みの苦しみとそこから創られた世界の広さ、まさにイベント復活開催の一発目に相応しい作品でした。
・MATSUMOさん
学校あるあるをユーモラスに描いたMATSUMO節溢れる明るく笑えるギャグ作品、と思いきやのFRENZスペシャルエディションな〆。ああついに年明けたんだなあと実感させられました。毎度のことながら、切れ味鋭いネタを絵柄や演出の温かさで包み、全体としてとても観やすいアニメになっているところがとても好きです。
・Jun Aoyamaさん
実写勢新たな刺客。ブレイクダンスを題材にした珍しい作品で、魚眼レンズで映す脚技は蹴られるかのようなすごい迫力でした。
・あずまきさん
最後のインタラクティブな仕掛けはこういう方法もあるのか〜〜!となりました。これができるのもリアルイベントならでは。紙芝居動画を実際に寓話仕立ての演出で見せるのもお見事でした。あの場での実際のアンケート結果、見たいような見たくないような……。
・コジエズさん
最初見た時「ついに自分でVtuberプロデュース始めたのかな」と思っていたら、これだけのためにキャラもトークも作ったとは恐れ入った。何気に手描き勢なのに今回MG的な手数を積んできたのも恐るべし。思えば最初にFRENZを紹介してからだいぶ経ちますが、今や完全にひとりの修羅ですね……いや普通に初出展時から修羅だったわ。
・おっくさん
開幕のSans芸に始まる流石のアンダーテール愛と、その愛を見事に表現し切るかわいいドット絵と豊かなアニメーション。そして前振りから絶対やるよなーーーって思ってたラスト……あそこで目閉じてられる人はそれはそれでとても作品世界を愛してる人。二次創作者としてかくありたいと思う一作でした。
・山下諒さん
ドドドド!ドドドド!俺が都内通勤絶対無理だと思う理由が詰まっていた。会場全体に「朝目新聞で義務教育を終えた者」特攻攻撃。曲も歌も自作という、パンフに書かれていたマルチアホクリエイターの名に恥じぬ一作でした。小ネタを早く観直したいです。
・ProjectBLUEさん
雄大で爽やかな映像とパワーのある歌声、観終わって晴れ晴れとした気持ちになる一昼ラストに相応しい映像でした。その後のワイルドカードのくだりは今年のキーワードの一つ。地生さんの「また次のワイルドカードが出てくる」という趣旨のコメントも印象的。
1日目夜の部
・オープニング(覇王樹さん)
マテリアル感重点な景色が映った瞬間にこれは!!ってなりました。優雅な始まりからのアゲアゲなBGM、船出という題材、遅刻ギリギリのシチュエーションで繰り広げられる慌ただしくもかわいいキャラクター演技、ご本人の語っていた「盛り上げ」という目的は大成功でした。アウトロのクールな音ハメも「おかわりがきた!」という感動。
・カミヤミライさん
イラストのタッチそのままでアニメーションさせると作者の世界観がダイレクトに伝わってくるので強い。個人的に舞台演劇系の作品はすごく好きです。誰の心にも、自分の作品を楽しみにしている人の横でこっそりにやけてしまう座長は存在する……リアル上映会に臨む心境をみごと表現してくれた一作。
・FTDさん
個人的に今年最も敗北感を覚え映像表現に感動した作品のひとつ。異次元描写ってこうやるのか~~~~!!確かに一本の道を歩いていると感じるのに違う世界が多重に重なって見える描写、解説を読んでみてもどうやっているのかさっぱりわからん……終盤はどこに連れていかれるのかわからない緊張感もありました。
・みとうさん
止まっているコマがほとんどないという狂気……ダンスの手描き、手間を考えるとふつう躊躇するところをやり切ってしまった。ロトスコ手法を使いつつもトレスらしさが薄くちゃんとそのキャラっぽい絵柄におさまっているのもすごい。終了後、手描き組がこぞって拝みに来ているのもむべなるかなでした。
・小箱さん
今年一番の大魔境の始まり。この令和の時代にウィンキースパロボネタ……!?犬が必殺技並の尺で吠え散らかすところと犬のHPが万越えなのが最高でした。
・こんのかつゆき(劇団ポピュラ)さん
ロックだね~。とにかく単語のパワーがすさまじつつも、間やキャラクターもそのパワーに負けることなく面白かったです。いったい最後に何を見たんだ……。
・路傍工芸さん
この魔境を〆るとしたらこれは徳太郎や義和之拳のような笑い寄りの作品で来るか?と思いきや、まさかまさかの感動作でした。まるで小説・映画を一つ観たかのような視聴後感。藤田和日郎漫画に通ずるような人間の哲学をサラッとしかし染み入るように描き出す素敵なストーリーテリングでした。
・ぬるてまさん
Live2D的なモーションと、場面場面のシームレスなつながりがさながらファンタジー絵巻を見ているかのような一作。キャラクターデザインが絵柄と相まってとても魅力的でした。「描けば回る」それはそうですが……そうでもあるが……
・oloさん
今回も安定のおもしろさ(フィンおじ感想配信の「エスプリ」「上品」という評価に膝を打ちました)。個人的にはスタローンのくだりや「お辞儀の角度が浅い!」の完全に映像見て思いつきで言っているだろ!ってなってしまうところが大好き。
・yama_koさん
前回に続き、魅力的なモーション・デザインとコンセプトの強さが合わさり最強に見える……現実にあるものと映像の融合、身近にあるものの面白さを再発見する作品とても好きです。
・駿さん
世界観・音楽にひたすら圧倒されて、もはやこれは会場体感型アトラクション。また浴びたい。強すぎる作品にぶつかると人は言葉を失う……(あの会場ではしばしばある)
・tigoさん
tigoさんキャラのすがたが かわった?!卒業をテーマにした晴れ晴れとした寂しさを感じる作品。ものすごくシンプルなパーツのキャラなのにストーリー・演出や演技で主人公4人の情感がめっちゃ伝わってきました。踏み出す一歩がビームになる……。
2日目夜の部
・オープニング(yama_koさん)
1日目OPをアレンジするお家芸が炸裂、制作期間が化け物すぎる(本当にお疲れ様です……)。船出から始まり一気にUFO・宇宙まで飛び出すインフレ具合が大好きです。カラフルでポップな出展者紹介もとても楽しげで素晴らしい。船内からガンガンに煽ってくるFRENZお嬢様が良過ぎる。
・出前さん
1夜と別の意味で魔境と化した2部のトップ。寄生虫をテーマにしただけあって、要素要素はポップでありながら毒々しさ・生理的嫌悪感を催す描写、それでいて一本観させてしまう演出パワーが凄い。ブレイク入るかと思いきや全く休ませてくれない楽曲との相互作用でとにかく不安定になりました。ロイコクロリディウムくん!
・ymgcさん
浄化パート!白を基調とした世界観と透き通った空が合わさり、どこか退廃的な印象もありつつ全体としてとても美しいものを観た気持ちになりました。終盤の水面に映っているかのような全面空パートの解放感。
・ヤベズムさん
闇と浄化を繰り返した後に突然流れがガラッと変わる。前半は「切り取られた日常のワンシーン」的な元気の出るダンス動画と思いきや、突然の猫ダンスでやられてホワイトタイガー以降は完全に術中にハマりきってしまった。これもFlash製なのか……
・litmus*さん
イ……インターネットが詰まっている!!自分を徹底的に使い倒していくスタイルにただ脱帽しつつ、ちゃんとおもしろ楽しい映像になっているのが凄い。「自分を出すならここまでやれ」これは超えられぬ……
・八重幸さん
Ju=呪?がメインテーマのためか千手モチーフは仏教的なようでもあり、一方でSF的な要素も感じられたり……モノクロ画面と物量・ゴリゴリの音楽で表現された世界観に特に圧倒された作品のひとつ。
・84yenさん
昔の子供向けPCソフトでよくあった画面で読む絵本というのが好きだったので、前半の時点でも「84yen式表現での絵本が観られる」ととてもワクワクして観ていたのですが、後半まさかの展開でとにかく驚きからどこへ連れていかれるのか緊張しっぱなし。作家性の爆発という意味での衝撃は今年一だったかもしれません。
・eau.&深瀬佑さん
1日目トリ2作の観終わって晴れ晴れと前向きな気持ちになれる印象とはある意味逆の、希望の重さを前面に打ち出した(だから前に進むことの強さが引き立つ)作品。今回、二人がそれぞれ持つ詩情が深瀬さんの描くキャラクターという器を得てより染みる形で表現されたように感じ、なるほどこれは最強のふたりなわけだと納得させられました。
2日目深夜の部
・オープニング(iimoさん)
深夜OPはギャグ回という先入観があったので、暗がりから入った時はさてどこでおふざけ始まるかと構えていたら、「いや待てこの建造物を舐めるようなカメラ使いは……!?」となり、ビームで狙い通りにぶち抜かれました。演出意図・AIアートを使った試み・映像自体すべてのパワーが強くて最高になった。ここで名前を出してもらえて本当にうれしいです。
・チーム限界合作さん
おそらく知っている範囲で最多の参加人数の恐るべき企画。全員それぞれのカラー(手描き勢まで混ざっているのが驚きでした)でありながらちゃんと一本の映像としてまとまっていて、ディレクションの妙を感じました。
・事象さん
名前に覚えがなかったのですが、作風見て一発で思い出してしまいました。深夜ギャグ枠を一手にかっさらっていった恐ろしい連作。なにげにアニメーションがめちゃめちゃ上手いのも笑ってしまう。あの会場でさっぱり神社ランド→ねっとり寺シー気づいた人どれだけいるんだろう……(自分は気づかなかった)
・(実在しない)切り抜きチャンネルさん
前半部分も無から生まれた実在感の表現がお見事だな~と思っていたのですが(今年、前半がフリになっていつつも前半部分で十分作品として成立している強い作品多い気がする)、後半脚本の力強さにぐいぐい引き込まれてしまった。作者が沼田友さんとネタばらしされてやられた!ってなりました。これはネタバレなしで浴びたい1作。
・機能美Pさん
第3部ラストはこの方です(知ってた)。もともと幽霊文字でただ一つ正体が全く分からない文字というネタは知っていたのですが、そこに流行のAIを取り込むことで現代怪異話に仕上げて(この時点でもうめちゃめちゃ面白いのに)、さらに創作者=人間の原初の姿なのでクリエイター賛歌はそのまま人間賛歌が成り立つという構図。ただただ素晴らしかったです。
・風鈴さん
擬人化された花の演技が生命感に溢れとてもかわいらしく、タイトルを読むことで主人公ふたりの演技がさらに自然なものとして入ってきてより愛おしくなってきました。アニメーションの原義がなんだったのか、強く感じさせてくれる一本でした。
・ngkz_&フィンおじさん
私情強めの感想として、いまだに「ラットが死んだ」に魂を囚われた者としては魔物の暗くよどみつつもギラついたビジュアルが出てきた瞬間に待ってましたーー!となりました。FRENZという場の持つ魔力が清濁併せて表現された3年ぶりの開催のほぼしめくくりタイミングに相応しい一本。この作品の一部になれたことはただただ光栄な気持ちです。
・えいりな刃物さん
や……やりやがった!やりやがったあの野郎!!映像や演技・表情の暗い色気はもう言うまでもなくすごくて、あの熱量にあてられて即アニメ作品作りたくなるほどであったのですが、壇上語りの強さよ……機能美Pさんが引いた酔狂/MAD賛歌の流れをこれ以上なく綺麗に回収した(と私が勝手に納得している)今年の〆として素晴らしすぎる作品でした。
いきなり自分語りのこと
作品の公開がまだ先なので内容についてはそのあとで書くかもしれません。書かないかもしれない。
今回、新しい表現にチャレンジする気持ち1/3・いつもの二次創作屋/パロディ屋の動機1/3・そして工数や締め切りまでの時間を考えた現実的判断1/3で、結果としてこれまで出展してきたキャラクターのセルアニメーション映像とはかなり違う(と自分では思っているが実際のところはわしにもわからん……)作品になりました。
しかし表現しようとする世界観のハードルはあまりに高く、制作中は「三体」にたとえるとまさに紅岸基地作ってる時くらいの文明レベルで次元攻撃に挑むが如き気分。制作全編にわたってどうすればいいのか分からないがこうではないことだけは分かるという感じは今までと別種のつらみでした。この味を知らずに本来「天下」などと軽々しく口にしてはいけない橋を渡るアレか……。
会場では新しい表現に挑戦したことをお褒めいただいて感謝の気持ちになりましたが、それに甘えてはならないスピアみたいに尖り続ける勇気を俺に。
ワイルドカードのこと
今年のFRENZのキーワードの一つ。な……ない!おれにはこれといったワイルドカードとして切れるような「観」がない!!
自分の「観」を叩きつける作品、FRENZ出た時からずっとそういうものが作れないのは情けない気持ちがある一方、そういう中身がなくても殺し合いの場に立ちてえな〜〜という気持ちでずっとやってきてますね……これも一つの「観」なのかもしれない。
思想的な意味でのワイルドカードはありませんが、単純に「死ぬ前にこれやっとかないと」なネタという程度のものならあります。ヒルクライムMVとさっきゅんライト作り直し。早く描こうね。
私情
まったく私的な話、深夜の部4部のngkz_さんとえいりな刃物さんは「ひとりで全部やる絵描き系映像作家」自分と似た五角形(それぞれ強みにしているところが少しづつ違ってそうなのがまたおもしろいのですが)をずっとデカいスケールで持っている作家と勝手に思っており、なかば一方的に意識しているので、今回あの並びに立てただけでも非常に嬉しかったです。今年無理を押して参戦した甲斐があったくらい。
と同時に、まだ自分はZガンダムで言えばグラサンノースリーブおじさん・ハマーン・シロッコの並びに対してジェリドとかくらいの立ち位置なのだと勝手に自覚(いつぞやは1ボスくらいの心境だったので、さすがに少しは成長したと思いたい)してはもうこんなに戦いたいの気持ちになってきたので、もうこんなに戦いたい。戦えてるのか?
次回のこと、まとめ
まずはエデンスがんばる。
来年はまたエンタメやるアニメを出せたらいいですね。リリックビデオ的なやつに挑戦したい。あと、チーム制作も一度やってみたいって30年くらい言い続けてるので、アニメとか・あるいはイラストが必要な方、いかがでしょうか……?
RENDA・再RENDAも挟まっていたせいかいざ行ってみると3年ぶりというラグはあまり感じなかった一方、よくよく考えてみれば今のところの自分の人生でこの場が一番ヒトの情念に直接中てられる機会だったんだなあと実感すること多々(実感するのが自分のツイートの捗りを顧みてというのはいかがなものかという気もするが……)。あらためて主催の前田地生さん・並びにスタッフの方々には深く感謝するとともに、来年またお会いできるのを楽しみにしております。
いろいろ書いたり直してたりしてたらやたら時間かかった。文章書く筋トレが必要だとわかってしまったなあ!