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「それ、無理じゃね?」
誰かにそう言われた瞬間、心の奥底に火がつくような感覚を覚えたこと、ありませんか?

目標なんてなくても生きていける。それは事実です。けれど、目標があると、途端に景色が変わる。足取りが軽くなる。なんなら、ちょっとした人生のワクワクが湧いてくるんです。それは、どんなに小さな目標であっても、あるいは達成不可能に思えるほど壮大なものであっても変わりません。

今回は「目標」というものが、どれほど人間の心と行動に影響を与えるのかを掘り下げてみましょう。そして、その目標の大きさや実現可能性にとらわれない柔軟な考え方についてお話しします。

驚きの転機:彼女を変えた小さな目標

彼女の名前はリサ(仮名)。30代半ばのOLだった。
リサはずっと「自分は平凡な人間だ」と思い込んでいた。

毎朝の満員電車。デスクワーク。コンビニで買うお昼。帰りは録画しておいたドラマを観て寝る。それが毎日のルーティンだった。大きな目標なんて特にない。

「自分にはやりたいことなんてないし、大きな夢なんて語れる人を見ても羨ましいだけ。私には関係ない世界だと思ってた」

そんな彼女が変わったきっかけ。それはある日、友人からの何気ない誘いだった。

「一緒にハーフマラソンに出てみない?」

「は? 無理に決まってるじゃん」と笑い飛ばそうとした彼女だったが、ふとこう思った。

「いや、待てよ。走るのは苦手だし、ハーフマラソンなんて厳しいけど、、まぁ5キロくらいならいけるんじゃない? それくらいなら…何か変わるかも」

こうして、彼女の中に小さな目標が芽生えた。「まずは5キロ走れるようになる」。


目標が心を動かす仕組み

目標は不思議な力を持つ。

特に、誰かに言われて「やらされるもの」ではなく、自分の中から湧き出た目標は、心を内側から動かすエネルギーになる。これを心理学では内発的動機と呼ぶ。

リサは気づけば仕事帰りにジムに通うようになった。最初は2キロを走るだけで息切れしていた彼女だったが、1週間ごとに距離を伸ばしていった。3キロ、4キロ。気づけば5キロを走れるようになっていた。

不思議なことに、走る習慣が身につくと、他の生活習慣にも影響が出た。朝は自然と早起きするようになり、食事の内容も気をつけ始めた。

これが内発的動機による「心の運動量」の増加だ。目標があると、ただの毎日が「目的地に向かう道」に変わる。

大事なのは、目標の規模の大小ではない。重要なのは、その目標が自分の内側から湧き出ているかどうかだ。


「ボーナス」と「目標」の違い

ここで一つ、目標と「ボーナス」の違いを明確にしておきましょう。
「ボーナス」とは、外から与えられる報酬です。例えば、「ボーナスをもらうために売上を上げる」や「SNSのフォロワー数を増やして褒められる」。確かに、それらも行動を起こす動機にはなります。でも、それは本当の意味での「目標」とは言えません。

なぜなら、「ボーナス」は一時的なものだからです。達成した瞬間に終わってしまう。そして、次にまた別の外的報酬を探す必要があります。

一方、**「内発的な目標」**とは、自分の内側から湧き出るものです。例えば、「もっと絵が上手くなりたい」とか、「あの山の頂上に立ってみたい」とか。「これを達成したい!」という気持ちが自分の中から自然に生まれる。それが内発的な目標です。そして、こういった目標こそ、私たちの心に深く根付き、行動を生み出す原動力になるんです。


達成できなくてもいいのか?

さて、こんな疑問も湧くかもしれない。

「でも、目標が達成できなかったら意味がないのでは?」

そんなことはない。むしろ、達成できない目標でも、そこに向かって努力する過程に意味がある。

たとえば、宇宙飛行士を目指していた青年がいるとしよう。最終的に彼が宇宙に行けなかったとしても、その過程で得た知識や経験、人間関係は彼の人生を豊かにしてくれるだろう。

リサも最終的にハーフマラソンを完走したが、それが一番大事だったわけではない。大事だったのは、走るために自分を変えるという経験。そして、彼女自身の中に「やればできる」という小さな自信が芽生えたことだった。


「達成できない目標」も価値がある理由

人は目標を追いかけることで、普段の自分よりも少しだけ高い場所を目指します。少しだけ頑張る。少しだけ工夫する。その「少し」の積み重ねが、未来の自分を作っていきます。

仮にその目標が達成できなかったとしても、何かを追いかけた時間は無駄にはなりません。なぜなら、そこには新しい学びや出会い、経験があるからです。目標を持つこと自体が、あなたの成長の原動力になるんです。



まとめ:目標を持とう、どんな形でもいいから

目標を持つだけで、私たちの心の運動量は確実に増えます。それはまるで、静止していた車がエンジンをかけた瞬間のようなもの。目標というアクセルを踏み込むことで、私たちは動き出します。

だから、どんな形でもいい。大きくても、小さくても、達成できそうでも、できそうになくても。目標を持つことで、あなたの人生は確実に動き始める。

最後に、こう考えてみてください。

「今、私が心から目指したいものは何だろう?」

それがどんなに些細なものでも、それがあなたの人生を変える第一歩になるかもしれませんよ。

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