記憶する日常
明治湯 2021年12月30日
水色の天井、アーチを描いている。
シャワーヘッドは向きが動く固定型、有能で古典的。
なぜだろうか、どこの銭湯よりもいつも清潔に感じる。匂いのせいか、綺麗だと一眼でわかるタイルのおかげか、、
お客様は基本的にはご老人が多い。お友達連れの方も多く、生活の中の会話、憩いの場って感じ。大切です。
自分の道具で没入して体を洗う人や、湯に入る前にしっかりと掛け湯をする人。全てのお客さんにその人のスタイルが伺える。
けど、やっぱりもうすぐ閉業ということもあって、皆さん心なしか名残惜しそうにお風呂にいる。私も今日はその1人にさせてもらって、ゆっくりゆっくり、エステー風呂(と気泡風呂)つかったし、サウナと水風呂とシャワーとを往復した。
最大限居座るべく、私は変人と思われてもいいと思って、シャワーをあびながらやたらぼーっとしたり目を閉じたりした。あの場所は思っている以上に気持ちが良くて。
こんな場所がなくなってしまうこと、それもあと1日だということ、あり続ける日常のような顔の銭湯からあまりにもかけ離れていて、むしろ不思議だった。けれどなくなるものはなくなるから、私は天井の色を忘れたくない、タイルの色を忘れたくない、脱衣所のシルバー川柳を、I LOVE KYOTOカレンダーを、神棚の鏡餅を忘れたくないと思って必死に目に焼き付けた。
人の拠り所となる場所、それを作ること、終うこと。明治湯が築いたものはこれからもずっと人の中に有るのでしょう。