とにかく、くらってしまった。
あまりに疲れていた。だからしばらく日記更新を怠って、サウナに行くなり、10時間睡眠するなどしてとにかく体力回復に努めたここ数日。久々に”くらった”コンテンツがAbemaの「ラップスタア誕生」という番組だった。
数年前に「フリースタイルダンジョン」というMCバトルの番組が始まって以降、HIP-HOPの魅力にどっぷりと浸かった。番組観覧に何度か足を運び、友達とラップバトルの真似事さえした。今でも言葉を見つけると、韻を踏める言葉を探す習性がついている。
とはいえ、実際にMCバトルに出演するほどではなくて、その熱も少しずつ冷めていた。気になるラップの番組があれば観るくらい。「ラップスタア誕生」もそのひとつで、なんとなしに観始めたのだったけど。
とにかく、くらってしまった。若者たちの熱意に。人生を懸ける青春に。多彩な音楽スキルに。あと10歳若かったら、と何度思ったことだろう。僕はなぜ、あちら側じゃないのだろう。
今でこそ、街角でサイファーをする若者たちを見かけるけれど、僕の中学時代は身近なところにHIP-HOPがなかった。あの頃出会えていたら、のめり込んでいただろうか。ドス黒くもみずみずしい感性を剥き出しにして、リリックをビートに叩きつけていただろうか。とにかく出会うのが遅すぎた。
だなんて後悔するのは簡単で。何事も、出会った瞬間が始めるまでの最短距離だ。今からでも遅くはないだろうかと真剣に考えてしまう。
リリックを書いてみたい。それをビートに乗せて音楽に昇華してみたい。声を枯らして歌い上げてみたい。そんな欲望がむくむくと育っては、吐け口を失って体内で暴れ回る。
いま仕事で、ラッパーのひとりと教育プログラムをつくっている。だけどそんなものでは、到底この欲望は収まらなくて。彼に相談してみるか。あるいは、フリー音源にリリックをつけてyoutubeにでも歌をアップしてみるか。
ひとつ確かなことがある。僕に音楽的なセンスはない。ましてや歌なんてうまくもなんともない。そんな僕に挑戦してみる資格はあるのだろうか、などと、言い訳がましい理屈を頭がこね出す。
やってみないとわからないことは、やってみないとわからない。それは能力のせいではなく、結果という情報が足りてないから。
この文章を書きながら、すでにリリックが脳内を埋め出している。どこかに吐き出さなければならない。