マウンド傾斜を考える
本日の現場からは、
【マウンド傾斜を考える】と題してお話します。
私は、鍼灸師とCSCSという資格を持ち現場トレーナーとして働いていますが、障害後のいわゆるリハビリ過程に関わることも少なくありません。
そんな野球現場でのリハビリでは、肩や肘といった上肢障害からの復帰がその多くを占めます。
そのリハビリ過程で大きな壁となるのは、平地から傾斜に移行する時です。
平地では順調に段階をクリアしていても、傾斜に入ると痛みがでたり、しっくりこなかったりということは頻繁にあります。
つまり、傾斜はとても厄介ということです。
そんな厄介な傾斜の正体を皆さんはどれくらい理解していますか?
厄介な正体を知らなければ、攻略法も見出せません。
*攻略法はまた記事にします。
そんなこんなで、傾斜について考えていきます。
マウンドの高さは決まっている!?
投手は球場によって、この球場はマウンドが低いな…と言ったりします。
(高いマウンドの方が投手には有利と言われます)
特に、人工芝ではなく土の球場や地方球場でよく感じるようです。
でも、驚くなかれ。
マウンド傾斜は規定によって定められているのです!!
この事実、野球経験者であれば信じがたい事実じゃないですか?
もちろん、整備が行き届いていなかったり、大雨によって土が流れてしまったりと外的要因はあるものの、基本的には規定で決まっているんです。
傾斜の正体(構造)
どんな規定かというと、
高さ:ホームベースとプレート(マウンド)の高低差は25.4㎝
傾斜:ホームベースに30.5㎝近づくにつれて、2.5㎝の勾配
*踏み込み足が落ちる影響については、攻略法と併せて記事にします。
傾斜の開始位置:プレートから15.2㎝ホームベース側
サークル:マウンドサークルの中心から274.3㎝の半径
実は、こんなに事細かく決まっていたんです。(他にも規定はあります)
プロ野球で使用する球場には、専門のグラウンドキーパーさんがいて、このあたりは必ずおさえているはずです。
低く感じるマウンドの正体(表面排水)
なぜ規定が定められているマウンドにも関わらず、球場によって投手は高い低いを感じるのでしょうか?
実際に高いのか?
実際に低いのか?
その正体は、
表面排水です。
普通に生活していても耳にすることがないワードですよね?
野球を長年している人でもなかなか聞いたことがないと思います。
表面排水とは、
雨が降った時に、その場に水が留まり、水たまりにならないように、ゆるやかな傾斜をつけて自然と水を流し、排水する仕組みのことです。
屋根のない土のグラウンドでは、その表面排水を行う必要があり、
マウンドサークルの外もホームベース(外側)に向かって傾斜がついています。。
つまり、
マウンドサークルのすぐ外でさえ、既にホームベースよりも10㎝程高くなっています。
だから、表面排水が施された球場のマウンドに立つと、相対的に低く感じるのでしょう。
マウンドとマウンドサークル外のフィールドとの高低差は実際に少なくなります。
ホームベースとプレートとの高低差は変わらないのに、
「マウンドが低い」という錯覚は、この表面排水が生んでいるのでしょう。
正体を暴く
ここまで、読み進めていただいた方は、マウンドの正体を知ることができたのではないでしょうか?
ピッチャーズマウンドとは、
高さも傾斜もすべて統一された、疑いのない潔白な、言わずと知れた神聖な場所だったんです。
表面排水が必要ないドーム球場や人工芝の球場では、マウンドサークル以外は平らになっています。
その為、マウンドサークルから傾斜が始まるので、相対的に高く感じるだけで、それは錯覚なんです。
プレートの高さはすべて同じです。
表面排水は決して悪者ではなく、グラウンドを陰ながら支えるヒーローなんです。
投手の皆さんは、この事実をポジティブに捉え、前向きなメンタルでマウンドに上がって下さい!
というわけで、
【マウンド傾斜を考える】と題してお話させて頂きました。
本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします
それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください
以上、現場の竹田祐平からでした。