_直感_文学ヘッダー

「直感」文学 *10月の憂鬱*

 10月は、私の中で一番気分が落ち込む月だった。

 月の流れがどうだとか、肌寒くなる季節だからとか、人肌恋しくなる季節だからとか、そんなことはどうでもよくて、

 ただなんとなしに、……そう、理由もなしに、

 ただ寂しさをひしひしと感じてしまう月なのだ。

 
 「10月はいつだって滑稽だからよ」

 母の言葉は何の説得力もなく私に投げかけられて、そしてそこにどういった意味があるのかも分からないままに、私はただその言葉に首を縦に振るしかなかったのだ。

 滑稽、そんな言葉が10月に当てはまるのだろうか。

 私はそれについて少しの間だけ考えてみたけれど、やっぱりそこに共通点なんて見つけられはしなかった。
 所詮、母の言葉なんてその程度に過ぎないって話なのだろう。

 私はただ、この意味不明な寂しさを抱えながら、今年も10月を迎えた。

***「たった一文の文学小説」出ました!***
詳細はこちら
KindleUnlimitedなら、「古びた町の本屋さん」の作品全て無料で読めます!


【音声配信】はみーらじお-どうでもいいこと喋ります
https://note.mu/yuhamakawa/m/mb3fde4ed499d

超短編小説集-1分以内で読み切れる作品群
https://note.mu/yuhamakawa/m/m0272f26838ec

一文文学 一文の中の物語
https://note.mu/yuhamakawa/m/m5fc22f0ae367

【コラム】小説とは関係のないこと
https://note.mu/yuhamakawa/m/m67a63a69fe32

【cinemee】おすすめの映画のこと
https://note.mu/yuhamakawa/m/mdfc8cf8a3a55

いいなと思ったら応援しよう!