「直感」文学 *雨なんて降らないって言ったのに*
強く叩きつける音が耳の中に留めどなく入り続ける。
天気予報では今日1日晴れる、と言っていたはずなのに、今私の視界の中には、その”今日”の雨が映し出されているのだった。
「降らないはずじゃなかったの?」
不意に漏れた言葉の中には、溜まりに溜まった不満が含まれ、また落ち込む心を隠せもしなかった。
もちろん傘は持っていない。だって降らないって言ってたから。
でもそれは私だけではないようで、
たまたま屋根のあるところで雨宿りをしているのは、私だけじゃなく他にもたくさんいた。
路地を駆け抜ける人たちは、皆傘を持ってなんていない。
先を急ぐがばかりにしょうがなく、濡れることを決断した人たちなのだろう。
まあ、別に。幸いにも私は先を急いではいない。
こうして雨宿りしていられるだけの時間はあるのだから、それだけでも救われているのかもしれない。
それにしてもこの雨。
どうしたって止みそうにないのだ。
「晴天」と言っていたお天気お姉さんを恨めしく思ってみたり、叩きつける雨の音に耳を寄せてみたり。
「どうでもいいか。そんなこと」
そうして諦めてしまえば、こんな雨の休日も、悪くない。
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