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「直感」文学 *個人の弔い*
毎日の日課。
就寝前には、スマホを充電器に挿す。
その日課は、当たり前過ぎて自分でも毎日そんなことをしていたなんて気付いてもいなかった。
だけど今日、僕はそれに気付いた。
なんでかって、その挿したスマホが充電を開始しないからで、いつもだったら一度ブルっと震えて充電マークが表示されるのに、今日はなぜだか表示されない。
パーセンテージが増えることもなければ、いやむしろ、減ってく一方なのである。
コンセントを別のところへ挿し替えてみても、充電は減るばかり。
ああ、壊れてしまったのだろう。問題はおそらく充電ケーブルだ。
仕方ない。電化製品だっていつか壊れゆくものなのだ。その一生を終えたのなら、僕は素直に送り出してあげなくてはならない。
ただケーブルが壊れただけなのに、僕はなんだか焦燥の念に駆られて、そして次第に落胆を感じた。
それでも、仕方のないことなのだ。
僕はそのケーブルをテーブルの上に置き、そしてなんとなく両の手の平を合わせてみる。
「お疲れ様でした」
僕の弔いをケーブルがどう感じるのかは定かではないが、少しでも安眠出来ればいいと思う。
スマホの充電は減っていく一方なのである。
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