「直感」文学 *寂しいなんて嘘*
「寂しい」
私は特に意図した訳でもなく、そのような言葉を吐いた。
マモルは少し困ったような顔を見せてから、「いや、でも行かなくちゃいけないから」と少し動揺しながら言うのだった。
毎日の朝の決まりごと。
私が彼を仕事へ送り出す時、私は決まって「寂しい」と口にするけれど、
本当は「寂しい」なんて思ってはいない。
彼にはちゃんと仕事に行ってもらわないと困るし、「寂しい」と言った私の傍にずっといるような人だったら、とっくに嫌いになっていたに違いない。
それでも毎日言ってしまうのは、
「大丈夫。仕事終わったらすぐに帰ってくるからね」
そう言う彼の言葉を聞きたいからだと思うんだ。
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