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『短編』始まりの陽 第2回 /全5回

 最近は、ふと目が覚める。時計を見ると大体四時だ。若い頃はこんな時間に起きてしまうなんてありえなかったし、それこそこんな時間まで遊んだりもしていた。この数年で生活は大きく変わった。もちろんそれは嫌なことじゃない。むしろ、未来に出会えた喜びはこの上ないものだ。彼女のためだったら自分の生活などほとんど後回しにも出来る。

「衣江って変わったよね」

高校の同級生だった春香はそう言った。

「変わった?そうかな?自覚はないけど」

「変わったよ。なんていうかさ、昔はもっとはっちゃけてたっていうか、無茶してた感じ」

「そりゃ落ち着くし、無茶なんてしないでしょ。もうそういう歳でもないんだし」

「だからそれが変わったってこと。大人になったら落ち着いて無茶しないなんてさ、誰が決めたんだろうね?」

そうなることが当たり前だと思っていることが、そもそも考え違いなんじゃないかって思わせる言葉に少しだけドキっとした。私自身は自分の人間性が変わったなんて感じられなかったけど、外から見れば大いに変わってしまっているってことはきっとよくあることなんだ。それに大人になって落ち着くことが変わることだとも思っていなかった自分に、春香の言ったそれは新鮮でもあった。

「やっぱり子供いると変わるものなのかなー」

「やっぱり、子供中心になるよね。そんなこと考えもしなかったけど、実際なってみるとそうならざるを得ないというか」

「でもいいよね。なんだか衣江幸せそうだし、いい変わり方してるんだと思う」

「そうかな?」

「そうだよ」

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