「直感」文学 *絵心の夢*
昔から絵が描けないのは、僕の悩みの一つとしてべったりと体に張り付いている。
……なんて悲しいのだろう。とても悲しいものだ。
思い描くものが描けないという苦しさが分かる人には分かると思うけど、分からない人には分からないのかもしれない。
分からない人になりたかった。
ずっと、分からない人になりたかった。
それでも僕には絵心がない。昔からずっとない。
……いや、一度。
一瞬でもあったことがあるかもしれない。
小学一年生の時、僕は絵画コンクールで金賞をとった。
その他愛のない絵は公民館に飾られ、学校の昇降口に飾られ、その後家にしばらく飾られていた。
あの時からだ。あの時に僕は完全に絵心を失くしてしまったのだ。
「あれ以上は描けない」という自我の念は、ずっと纏わり付いている。悲しいもんだ。
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