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「直感」文学 *どこにもない音楽を*

 「多分、俺の思考回路って一般的なんだよ。ものすごく一般的で、メジャーなんだけど。俺はそんな自分がすごく嫌なんだよな。……俺はそれを一生懸命に避けようとしてる。そうならないように、意識していないと、そうなってしまいそうで」

 音楽を創り出すものの気持ちは、僕にはもちろん分かるはずもない。ただ、もしかしたら創作をする人の気持ちは分かるかもしれない。

 「マイノリティを一番左側に持ってきて、マジョリティを右側にするとする。そうすると俺は多分、その真ん中。真ん中に突っ立って、ずっと”ブレ”続けているんじゃないかと思う。多分、素直に作ってしまうとマスでつまらない音楽になってしまう。だけど、それは自分では許せない。自分の本質はマスだ。でも、自分はそれを嫌ってる」

 矛盾という言葉は、こういった時のためにあるのではないかとふいに感じた。

 いぜれにせよ、今彼の音楽を聴いているファンなんて、この世界に一人もいなかった。

 アートは評価されてから、ようやく「アート」という形を持てるのではないかと、僕は思わずにはいられなかった。

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