「直感」文学 *底なしポケット*
いつだってそうなのだけど、
今履いている、このパンツの右ポケットは、
底なしだ。
何かを入れると、その度にそれらのものはなくなってしまう。
そして僕には(もしかしたらこのパンツにも)、なくなってしまったものの居場所が分からない。
それをまだ覚えている時はいいのだけど、
ふとした習慣で何かを入れてしまうと、
たちまち入れた物は消えてしまって、僕は非常に困ることになる。
じゃあ履かなければいい、という結論に至るが、
不幸にもこのパンツは、僕が知りうるこの世界に存在しているどのパンツよりもお気に入りだったのだ。
困ったもんだ。
……そう、本当に困ったものなのだ。
さっきふと右手をポケットに突っ込んでしまってから、
僕の右手はなくなってしまっているのだから。
……いやはや、どこにいってしまったのだろうか。
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