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『短編』あなたが好きなあの人より、あなたが好き 第2回 /全7回

 深夜十二時。終電間際だったその時間。私たちは、渋谷で開かれていたサークルの飲み会に参加していた。人工知能研究サークルと銘打ったそのサークルは、割と真面目に人工知能の研究をしていると話題だったので、私は最初から興味を持っていた。
 元々理系だったし、簡単なプログラミング言語くらいは書けた。もちろん人工知能というのは雲の上の存在だったけど、どうせ暇な時間だし、少しでも身になることをしていたいと思っていたから、そのサークルを見つけた時は心が躍った。

 早速研究室に行ってみたら、鳴沢(なるさわ)という男の人が私たちにサークルの説明をしてくれた。僕たちは日々人工知能の研究を続け、将来は人の役に立つAIを作りたいんだ。と熱く語っていたのをよく覚えている。私はその言葉に感銘を受けた。……なんてことは別にない。
 どうせ暇な時間を潰すだけのものだし、本気でAIを作ろうとは思ってない。それに世界の名だたる企業がこぞって人工知能開発に乗り出している今、どうしたって私たちの小さなグループでどうにか出来る問題でもないように思えてならなかったのだ。

「来週さ、僕たちのサークルに興味を持ってくれている人たち向けに、親睦会、っていうか、飲み会を開くんだけど、よかったら来ない?」

と鳴沢先輩は行って、横にいた美希はすかさず「行きます!」と答えていた。

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