革フェチの最も愛する革
自分は何を隠そう「素材フェチ」であり、その中でも特段「革フェチ」です。
って、そんなの知ってるって話でしょうか(笑)
世界中の革を見て触ってきた自分の中でのTop of the topといえば…
さて、何と答えるのでしょうか。
すみません、この段階ではまだ答えることが出来ません…m(_ _)m
まず、皮というのは、「なめし(鞣し)」という工程を踏まないことには始まりません。
「なめし」というのは、簡単に説明しますと「皮」→「革」にすること。
腐敗を防ぎ、財布などの製品に加工ができる状態にする作業をいいます。
どのような品物に使用するのか。それにより「なめし」の工程を変えることで用途にあった特性を素材に持たせます。
しなやかで柔らかな質感にするのか、もしくは張りのある艷やかな質感にするのかなど、元の原材料の特性はあれど、この「なめし」の工程のレシピにより様々な素材が生まれます。
これは、料理に例えると非常にわかりやすいかと思います。
焼く、煮る、揚げる、蒸す、それだけでも違いがあり、様々なテクニックで
大きく味が変わる事と同様です。
革職人は料理人と近しいとも言えます。
どんな料理をされても、この革が一番好きだと言える素材。
自分の中のそれは、仔牛の革「カーフ」です。
少し、意外だと思われる方もいるかもしれません。
革好きの代名詞のような「コードバン」や、高級素材としての「クロコダイル」など特徴のある素材ではないのかと。
いいえ、「カーフ」は成牛の革とは全く異なる素材と言ってもいいくらいの
特徴を持った革なのです。
お待たせしました。
では、革フェチのカーフ愛を今から熱く語らせていただきます。
カーフとは、生後6カ月以内の赤ちゃん牛の革。人間の赤ちゃん同様にキメ細かく非常に気持ちの良い肌触りです。
ちょっと可哀想…。そう思われますよね。自分もそう思います。
しかし、仔牛肉として出荷されたものや、牧畜の中、何らかの理由で命を落とした仔牛の畜産副産物としてその革が利用されており、革を取るために殺傷されているわけではありません。
yuhakuでは多くの革を使用しているため、命を頂いているという感覚で革を扱う事を日頃から説き、教育として牧場への研修なども検討しています。
その肌触りの良い仔牛の革の繊維は、非常に細かくかつ密度が有り、実は非常に特異であることから、仔牛の革のなめしには非常に高度な知識と経験を必要とするため、日本でもそれが可能な職人は二人しかいないといわれています。
yuhakuでは主にイタリアのタンナー(革のなめし工場)より直接輸入しているのですが、ここのタンナー産カーフは、他にない特徴を持っています。
通常、カーフは0.6~0.8mmの厚みしかありませんが、こちらのものは0.8~1.0mmの厚みがり、この厚みがyuhakuの染色に適しているのです。
yuhakuの革にはグレージングという圧力をかけながら磨く作業を行っていますが、この仔牛の革を使うことで、より毛穴も小さくキメ細やかになり、他のどの革よりも品の高い艶が生まれるのです。
また、カーフ特有の血筋(チスジ:血管の痕)が見せる模様は、木々の枝や葉脈を彷彿させる魅力があります。
これは生きていた証であり、同じものが一つと存在しないため、血筋の入り方を楽しみ、一点物として選んでいただける基準にもなります。
ただ、良いことばかりでもなく、欠点もあります。
繊細がゆえに、傷が付きやすいのです…。特に爪での引っかき傷。
ですがこの引っかき傷も、磨くことでその傷は消えますので、手入れをするのが楽しくもあり、またそれを繰り返すことにより愛着が湧いてきます。
人は不思議なもので、工業製品のようなものは手がかからないが故に愛着が沸かず、アナログで手がかかる物であるほど、愛着が湧いてくるものであったりします。
しかも、革には特有の経年変化があることから、さらに心を捉えるのでしょう。
カーフ愛が深すぎて長くなりましたが
まとめますと、
● 赤ちゃん肌であるがゆえの肌触りの良さ
● キメの細かさから美しく品の高い艶を生む
● 一点物としての楽しむ独特の美しい血筋模様
● 繊細であるが故の傷も磨けば消える→磨く楽しみ→愛着が湧く
世界中のタンナーの革を見て触ってきた
素材&革フェチの自分が最も愛する革、Top of the top
それが仔牛の革「カーフ」です!!
そして、
その革に再び命を吹き込むことが僕たちの使命です。
牛さん、ありがとう。
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