お店を出店するということ
インターネットでモノを買うことが当たり前になってから、随分と経ちました。コロナ禍になってからはオンラインショップを立ち上げる企業もますます増えています。それでも、現実の地域にお店を出すことには、オンラインショップには代えられない魅力があります。
出店の際に考える基準として無視してはいけないのがまず数字です。街の経済規模やオンラインショップでの都道府県別購入金額などを加味しながら、ブランドの需要のある地域を見定めます。しっかりと利用していただける店舗にして利益を出さなければ、地域活性化などの貢献も出来ず、悲しい結果になってしまいます。ただし、単に集客が見込めるというだけでは不十分です。
街というのは歴史と文化、そして地域に住まう人々が作っており、出店することで歴史や文化、地域の人々との繋がりが生まれるからです。
yuhakuの直営店はオンラインショップと横浜、銀座、心斎橋に所在しますが、東海エリアに初の直営店として、2022年7月10日【大安、天恩日】、愛知県名古屋市の通称・那古野地区にyuhaku名古屋店がオープンしました。
出店する地域は日本全国広く探していましたが、4店舗目をこの名古屋に決めた理由はやはり、街と、街を作る人々でした。
今回のブログでは、yuhakuが新しくご縁を結ばせていただいた街に根ざした深い歴史と、素敵な人をご紹介したいと思います。
「 那古野 」( なごの )のルーツをさかのぼると 約400年前の名古屋城築城に行きつきます。徳川家康の命によって「名古屋」が開府されることとなり、それまでの尾張の中心であった清須から名古屋へと街ごと遷府が行われました。この「清須越し(きよすごし)」によって堀川沿いに新たに城下町が造られ、商人町が形成。名古屋は、移り住んできた商人たちが行き交う、非常に活気あふれた城下町になったと伝えられています。
しかし、元禄13年(1700)、大火で1649軒の町屋と15の寺社が焼失。
尾張藩4代藩主の徳川吉通は、火災から町を守るため堀川沿いにある商家の裏道幅を4間(約7m)に拡張し、火事に強い土蔵造りの街並みを整備しました。
その道幅から、このあたり一帯は四間道(しけみち)と呼ばれるようになったそうです。
約7mの道幅は車社会の現代では少し狭く感じますが、当時は十分な広さだったと考えると江戸時代の人々の暮らしぶりが想像できそうようです。その他、この地域に現存する歴史的なものとして他には、1647年にこの地に遷された「浅間神社」、1700年代の建物「伊藤家住宅」、150年ほど前に作られた子守地蔵尊、屋根神様など、多くの歴史的建造物が今でも残っています。
こうした由緒ある街の歴史が、出店を検討するにあたり大きな魅力となりました。しかし、どれだけ歴史のある街でも、そこに住む人たちが紡いでいかなければそれはやがて途切れてしまいます。
名古屋の街に出店するにあたり、一番の決め手となったのが、歴史を紡ぐ「人」でした。
それが、この那古野の街をこよなく愛し、人生を捧げる不動産工房 伊藤 維雄さんの存在です。
その情熱たるや、圧倒されてしまうばかり。
一般的には不動産屋というと、空き物件を出来るだけ無くすこと=契約に結びつけることをビジネスとして第一に考えているはずですが、伊藤さんは不動産運用を街づくりとして捉え、那古野の街に全力を注いでいます。
そのため、那古野の理想のカタチを「こだわりを持ったショップが並ぶ大人の街」とし、ビジョンに見合ったショップが現れるまで契約のOKサインを出さないという徹底ぶり。それだけでなく、街の景観をよくするため自費での植樹や池作り、那古野のWEBサイト制作、店舗同士のコミュニケーションの場作りに至るまで、全てを担ってくださっています。しかも、休日には晴雨関係なく朝から晩まで街の草むしりや植栽の手入れを行っており、本当に頭が上がりません。
それだけ全身全霊で街に繋がりを持っている伊藤さんは、この街で「伊藤さん」といえば皆が「不動産工房の伊藤さん」を思い浮かべるような、那古野の街にはなくてはならない存在になっています。
歴史と人。2つが揃った素晴らしい地域に魅了され、yuhakuもこの街の出店を決めました。
現代の那古野地区は伊藤さんの厳正なる審査を通ったお店ばかりが集まる街のため、各店のオーナーも非常に濃い方が集まっています。
飲食店が多く軒を連ねており、味も雰囲気もほんっとうに良いお店が多く、この街に住んだら間違いなく太れる自信があります。笑
(那古野歴がまだまだ浅いため、ここ美味しかったよ!と教えていただけると嬉しいです)
今後はyuhakuのような物販のお店も増えてくるかと思いますので、素敵な「人」と「食」と「物」が集まって、街の活性化に繋がることを期待しています。
歴史のある街ですが、ディープな街のため名古屋にお住まいでもまだお越しになったことのない方も多いそうです。
yuhaku名古屋店が少しでも那古野を知っていただけるきっかけになれば幸いです。
古いものを活かし、そこに新しいものを吹き込む。職人の手により生まれ変わった歴史的建物から新築建物たち。
目に見えないところまで美しく、安全と気配りがされた日本の建築物は、街に溶け込む建物そのものもアートのようです。
そんな建物にyuhaku名古屋店を構えることが出来、光栄です。
お店を出店するということ
それは、その街を一緒に良くしていく一員となるという宣言です。