夢日記#2 凪
今日も空気が澄んでいて、空には雲ひとつない、そんな冬っぽい日。
彼の家から駅までの道を、私たちは歩いている。
歩道沿いに、都会っぽい、狭いスペースを有効活用したような、そんな公園があって、
こんなに朝早いのに、まだ冬を知らない子供が半袖で遊んでいる。
公園の地面は、土ではない。アスファルトっぽい、怪我しづらそうな素材でできていて、色まで付けられているし、この地域にちなんだ形の遊具がいくつもある。
何度も見た光景だ。
私は、出張帰りだというのに、持っている荷物はカバン1つ。
なぜなら、横を歩く彼が、トランクを担当してくれているからだ。
彼は歩道の、車道側を歩いている。
他の人がこの光景を見たらきっと、いい彼氏さんだね、と思われるかもしれないな、なんて、子供たちが遊んでいる様子を見ながら、他人事のように思った。
でも、私の心は凪だった。
笑顔で感謝もしなければ、楽しげな話題も提供しない。なんなら会話もしておらず、私は子供達をぼんやり眺めている。
でも私は、平和な光景を見ていないと、ダメだった。このなぎは、私は必死に保ったものだ。
別に昨晩も、何でもない1泊だった。
出張先が彼の家に近かったので、外でご飯を食べ、家に寄って、同じ布団をかぶって寝た。
私の心がおかしいと思う。誰か、私に説教をしてくれないだろうか。
でも、もう30になったいい大人を、叱ったり、さとしたりしてくれる人なんていないのだ。子供時代の私に教えてあげたい。
同い年の彼とは1年ほどの関係だが、最近は以前にも増して親切だし、今日なんて駅まで荷物を持って私を送ってくれている。
昨晩のお風呂上がりに、彼のライフプランを聞いた時、まだ結婚するほど好きではないと彼がいい、私はそれを理解した。
私は、他人の心はどうしようもないので、とやかく言っても仕方がないのも知っている。
会う頻度を上げたいと言われたので、仕事の都合がつきやすい私が、地元にいないといけない日を避けて、彼の家に長期滞在する日程を決めた。
僕は心理面、あなたは仕事の場所面で、どうも決め手に欠けているねと結論づけられ、それならばと私が提案し、私が決めた。
私はもともと寝つきが悪いので、照明を消して布団に横たわっても寝られず、薄暗い天井をぼんやり見ていると、彼が手を握ってきて、辛い気持ちにしてごめんねと言ってきた。
私はあなたの賢いところが好きだから大丈夫だよと伝えると、僕も男として好かれるように頑張るからと言われ、そうかと思って眠りについた。
そうして迎えた、どうしようもない、冬の朝。
あぁ、寒い。早く家に帰りたい。