IPFSのファイルダウンロードの流れを理解する
IPFSとは
IPFS(InterPlanetary File System)は、BitTorrentと同様にP2P技術を用いた分散型のファイルシステムですが、ファイルの保存・共有方法が異なります。
IPFS用語集
ノード (Node):
IPFSネットワークに参加しているコンピュータやデバイスのことを指します。各ノードは、IPFSソフトウェアを実行し、ファイルの保存、共有、検索などの役割を担います。ノードは、他のノードと接続してネットワークを形成し、分散型のファイルシステムを構築します。
CID (Content ID):
IPFS上でファイルを識別するための一意な識別子です。ファイルの内容に基づいて生成されるため、ファイルの内容が少しでも変わるとCIDも変わります。CIDは、ファイルのハッシュ値のようなもので、IPFSネットワーク上でファイルを検索したり、ファイルの整合性を確認したりする際に利用されます。
DHT (Distributed Hash Table):
IPFSネットワーク上で、特定のCIDを持つファイルがどのノードに保存されているかを効率的に検索するための仕組みです。DHTは、分散ハッシュテーブルと呼ばれるデータ構造を用いており、各ノードがCIDの一部を担当することで、ネットワーク全体で検索を高速化しています。
IPFSのファイルダウンロードの流れ
コンテンツの追加(Pinning):
ユーザーは、IPFSネットワークにファイルをアップロードし、自身のノード(IPFSソフトウェアが動作するコンピュータ)に「ピン留め」します。
ピン留めされたファイルは、ユーザーのノードに保存され、他のノードからのリクエストに応じて提供されます。
コンテンツID(CID)の生成:
ファイルがIPFSネットワークに追加されると、そのファイルの内容に基づいて一意なコンテンツID(CID)が生成されます。
CIDは、ファイルのハッシュ値のようなもので、ファイルの内容が少しでも変わるとCIDも変わります。
コンテンツの検索:
ユーザーは、ダウンロードしたいファイルのCIDを使ってIPFSネットワークを検索します。
検索は、分散ハッシュテーブル(DHT)と呼ばれる仕組みによって行われ、ファイルを提供しているノードが特定されます。
コンテンツの取得:
ユーザーのノードは、ファイルを提供しているノードに直接接続し、ファイルをダウンロードします。
ファイルは、複数のノードから同時にダウンロードされる場合もあります(BitTorrentと同様)。
コンテンツの検証:
ダウンロードされたファイルは、CIDと照合され、改ざんされていないか検証されます。
検証が成功すると、ファイルが正常にダウンロードされたことが確認されます。
補足
コンテンツの永続性: IPFSでは、ファイルはネットワーク全体に分散して保存されるため、特定のノードがオフラインになってもファイルが失われることはありません。ただし、誰もファイルをピン留めしていない場合、時間の経過とともにネットワークから消えていく可能性があります。
ゲートウェイ: IPFSネットワークに直接接続できない場合でも、IPFSゲートウェイと呼ばれるサービスを通じて、WebブラウザからIPFS上のファイルにアクセスできます。
IPNS: IPFSでは、ファイルの内容が変わるとCIDも変わりますが、IPNS(InterPlanetary Name System)を利用することで、可変のCIDを固定のアドレスに紐付けることができます。