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4週間、しあわせな教室について考えてみた(2)

前回の記事で3週目までしか書けなかったので、今日は講座の4週目、つまり最終週について書いてみます。理紗さんの講座では、かえつ有明高校の生徒二人が登場し、主だったところを説明したりブレイクアウトルームのファシリやまとめをしてくれました。

きっかけはピアフィードバックという本

理紗さんが翻訳に携わられたこの本。FaceBookでシェアしたら次々と「購入しました!」「読みました!」「積んでます!」の声。これは何かしなければと思いました。ちょうど3年前、大阪で絶対コラボしましょうと約束したままになっていたのもあります。

著者のスター・サックシュタインさんの他の本もすごく面白そうなので早く読んでみたいところです。

いろいろハックされてます(笑)特に成績のところは今回のかえつ有明高校での例がすごすぎて目から鱗だったのでもっと学びたい。

他にも、スパイダー討論についたこの本もおすすめとのこと。理紗さんがされている授業のハウツーというよりは、マインドの根底にあるのは何なのかからスタートした印象でした。

学校や授業について説明してくれるのは…生徒?!

オーガニックラーニングの講座は夜の21:30からということもあって、生徒が参加することはほとんどありません。しかも今回はなんと説明やファシリを担当する側です。来てくれたのはエリさんとガイくん。二人とも高校二年生とのこと。在籍しているのはかえつ有明高校の高校新クラス、プロジェクト科です。

プロジェクト科では週に4から6単位、探究のための時間が取られるそうです。テストで点数を取るためというよりは、学び方を学ぶ姿勢を学ぶ?という印象でした。外国や、インター出身の生徒が多数在籍し、英検1級を持っている生徒も5人くらいいるとか。

でも印象的だったのはガイくんの「クラスメートが好きすぎて卒業したくなくて困っている」という言葉でした。きっとめちゃくちゃ素敵な場なんでしょうね!ちなみに「新」クラスの他には「トラディショナル」なクラスもあって、そちらは普通の受験指導に近いイメージだそうです。

How to 哲学対話  produced by 生徒

授業は、先生が何かを教えるというよりむしろ、生徒が自信を持ってやりたいことを追求するようにデザインされているようです。哲学対話も、エライ先生を呼んできてするのではなく、生徒たちが今話したいことを話す。だから、ファシリテーターも生徒ならテーマを決めるのも生徒。ちょっと苦手だなということがある時も、哲学対話を通してもう一度その人と向き合うのだと言います。もう素敵すぎます。そうしてエリさんが話している間もガイくんはチャットで「えりの哲学すごく好き」なんて書いてました。

さらに、教科の授業であっても課題を無理に押し付けられたり、提出が必須になっていないというのです。それはまさに、「課題をやる意味を見つけるための課題」です。

沈黙をどう捉えるか

エリさんとガイくんは言います。生徒主体の哲学対話で、「心地の良い沈黙を作り出す」ことが大事だと。イベントでも、対話に慣れていない大人が多いと、つい何か言わないと!と焦ってしまう場面がよく見られます。しかし、高校生ながら、彼らは沈黙を豊かな時間と捉えていました。まさに生徒主体の教室です。

ブレイクアウトルームで真剣に考えた

後半のブレイクアウトルームのお題は以下の通りでした。

「あなたの教室は、意思決定をするとき、生徒の声が大切にされ、生徒が貢献したくなるような環境になっていますか?

・もしそうだとしたら、生徒のリーダーシップは学習の場面でどのような影響を与えていますか?どうして、その影響があるということが分かるのでしょうか?

・もしそうでない場合、どのようにして生徒にもっと主導権を与え、生徒が自分のフィードバックが大切にされていると感じられるような環境にすることができるのでしょうか?」

これを考えるだけでも本が一冊書けそうですね。それぞれのルームに理紗さん、エリさん、ガイくんが入ってじっくりと話を聞きます。物怖じするわけでもなく、謙るわけでもなく、答えを出すことを求めるでもなく、その場で話が進んでいくのをじっと聞いています。

参加者の先生たちは、話しながら「あれ?自分がやってることって、生徒は主体的?いや用意しすぎ?」なんて自問自答しています。

成績も生徒が対話を通して考える

全ての授業ではないのかもしれませんが、このクラスの授業では成績の付け方を決めるのも生徒なんだそうです。

テストで点数稼いでるからなあ、テスト点数だけでいいんじゃないかという生徒もいれば、数学の楽しさをもっと知ってほしいという生徒。得意苦手関係なく主体的に取り組むことができる授業にしたいという生徒。テストのモチベが下がるほど割合が少ないと自分に挑戦するチャンスを逃すかもしれないという生徒。

結果、50%-50%になったそうです。

2022年度から新カリですが、一般的な学校で、そもそもそこまで話ができているか自体疑問です。この生徒たちは自ら答えを出しました。最終的にはゼミ式の授業となり、学期末ごとに振り返りレポートを書いたそうです。

その際、自分の行動について思うことやグループの反応について思うこと、工夫したこと、次回担当したら気をつけることや試したいことを記述したそうです。これはスライドや彼らの話からの抜粋なので、もっと聞きたい人はぜひ理紗さんと生徒たちを訪ねてみてくださいね!

学習者主体、それは生徒だけじゃない

ピア・フィードバック。言葉だけだと、生徒同士でプレゼントかでコメントを寄せるのかな、なんて思ってしまいそうです。でも実際はもっと壮大でもっと根源的な話でした。

そもそも学習者主体と言いますが、それは生徒だけのことでしょうか?

教師は授業を通して学んでいるでしょうか?

先生だって単に先に学校現場に生まれただけの人なのであれば、共に学び、共に生きることが理想なのではないでしょうか?

薄っぺらな「学習者主体」が幅をきかせている今、理紗さんと生徒から学ぶことは大きな意味を持っていると感じました。

受講者の声

Aさん:教師の意識。持ち続けましょう!表面の変革はできないかもだけど、考えようは、私たち次第。私の学校は保守的なムードがとても残念。もっともっと生徒に活躍してもらえるようやれることからやっていきます。「地方の公立の学校で、他の考え知らない人たちかわいそう」って言葉が(参加者から)あったけれどそんなふうに言われるのがかわいそう😅昨日の2人の生徒みたいに、私の生徒たちも素晴らしいし、すごい可能性を持っているから、生徒に委ねたいと思います!

Mさん:本日は、ありがとうございました。学習者中心、生徒主体と言いながら、なんだかんだと自分がしゃしゃり出て行ってるなあと思います。がい君と えりさんが このようにしてくださっていること、それができていることが、本当に素晴らしいと思いました。

告知です:2022年3−4月で教師のアプデ

さて、オーガニックラーニング2022年春休みの講座は、4月からやってくる新カリキュラムに合わせてさらにアップデートしていこうというもの。お楽しみに!


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江藤 由布(ゆう)
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