採用担当者のキャリア構築について考えてみる
どうも!中島です。久しぶりにnote更新します。
(もうちょっとアウトプット頻度上げなければ…!)
この記事では採用担当者のキャリア構築について、主に金銭的な報酬の観点について私なりの考えをまとめます。5/22にこちらのイベントに登壇したのですが、そこで話した要点を書きたいと思います。
●採用担当者の年収は800万円が頭打ちか?
イベントの開催背景として、これまで多数の採用担当の方からキャリア相談を受けてきましたが、多くの方が難易度や業務量の高まりに対して現年収や将来的なキャリアに不安・不満があるという声を多く聞いていました。
キャリアと一言で言っても裁量や役職、年収など様々なパラメータがありますが、ご相談を受けるとやはり「仕事を頑張っても年収が上がらない」「何をすれば年収を高められるのか道筋が見えない」といった金銭面の不安・不満がより大きいように感じます。
そして、実際の現年収や転職後の年収を聞いていると、「採用担当者としてのキャリア」では年収の頭打ちラインが見え、それが800万円程度ではないかという仮説を持つようになりました。またボリュームゾーンとしては400~550万円あたりではないかなと思えます。
イベントの中でもアンケートを取得したところ、800万円以上は6%、ボリュームゾーンとしては~499万円、500~599万円となりました。実際のところはしっかりと調査をしなければわかりませんが大きなズレはないように思えます。
もちろん800万円という金額も大きなものです。しかし他の職種であれば1000万円クラスのような方であっても800万円しか出せないというケースもあり「採用という業務範囲に対する会社から見た価値の上限が800万円」なのではないかということです。
●「採用担当者」として年収を上げる難しさ
それではなぜ「採用という業務範囲に対する会社から見た価値の上限が800万円」なのかというと、それは採用業務の特性・構造上の問題だと考えています。
単に「もっと頑張ればいい」「もっと長く勤めればいい」と考えて右肩上がりの直線的な伸びを期待しても、実際には頑張りや勤務期間に比例せず踊り場に行き着きます。
年収を上げるためには、年収が上がりにくい原因に目を向ける必要があり、採用業務を取り巻く特性・構造上の問題を意識してハックしていかないといけないと思います。
たとえば下図のような「目標達成のトップラインの上限」は採用ならではであり、営業であれば「目標:売上1,000万円/月」に対して「実績:売上3,000万円/月」であれば称賛されインセンティブももらえるかもしれませんが、採用の場合「目標:採用人数 1人/月」に対して「実績:採用人数3人/月」となっても、「そんなに人いらない」と上限が決まっていることが大半で大幅目標達成という考えが当てはまりにくいです。
反対にこの特性をクリアできるような、たとえばビジネスモデルが採用に依存する人的ビジネスで「とにかく多く採用することが正」ということであれば、大幅目標達成もできその分800万円を超える可能性も高くなるでしょう。
他にも多人数を抱える部門になりにくいため、マネジメントの難易度や価値も高くなりづらく「マネージャー」となっても年収が上がりにくい傾向がありますが、これも裏を返せばより大手にいき採用が部門化されていたり、多くの人数を抱えるようになると年収は上がりやすいでしょう。
採用するポジションが生み出す価値の観点も重要で、ハイレイヤ採用などの一人の採用成功が大きな価値を生み出す採用業務とメンバークラスの採用を担当するのではやはり採用担当者に支払える年収も違ってくるはずです。しかしハイレイヤポジションの人数は限られてくるのでやはり上限もあります。
このようなことを考えずに、なんとなくで年収のアップを期待しても難しいのではないかなと思います。
●採用担当者のキャリアパス
それでは採用担当者のキャリアパスにはどのようなものがあるのか、どのような選択をすれば年収(もしくは報酬や年商)を上げられるのかを考えると、以下のような選択肢と分岐になるのではないかなと考えています。
まず最初の分岐は、採用担当者のまま頑張るのか、それ以外のキャリアに進むのかです。採用担当者のキャリアパスと言っておきながらいきなり別パスを示すのもおかしい気がしますが、採用業務を経験していることは別パスを進むための鍵にもなりやすいです。
採用担当者として頑張る道
独立するかどうか
採用担当としてお金を稼ぐ上では、会社員のまま年収を上げていくのか、独立して自営で稼ぐのかというパスが大きな分岐であります。最近はフリーランスやRPO事業を営む人がとても増えておりますし、「フリーランスとして生きる」という一方通行の選択というより「次の転職まで1、2年フリーランスで稼いでみる」といった会社員とも行き来できるパスになってきています。やはりフリーランスは短期的な金銭は得られやすいので800万円を早く越えたいという場合には良い選択だと思います。また自身の市場価値も肌感覚で感じやすく学びも多いと個人的に考えています。
また事業化する(人を採用して組織にする)ということもあり得るでしょう。採用のノウハウが多くあるのであれば、会社員として1社の業務をこなすよりも、人やコンテンツにノウハウを転化させ事業として価値を発揮することでより大きな金銭が得やすくなります。また会社・事業とすることで売却等により大きな金銭を得るという道もあります。
副業をするかどうか
会社員としてキャリアップ・年収アップをするのであれば、副業を行うかも大きな論点です。最近はフリーランス同様に副業の機会も増えています。副業の場合、スカウトや採用広報など切り出された業務を部分的に支援することが多いでしょう。コンサルティングとして支援する場合には現職よりも小さい・前の成長フェーズ(たとえばIPOを経験したことがあるなら、IPOを目指す企業の支援など)で行うことが多いです。キャリアアップという話からは少し外れるかもしれませんが所得を上げるという点では力を入れるべきポイントだと思います。環境を変える
本題ですが、正直、採用担当者の会社員として年収を上げたいなら環境を改善していくことが一番クリティカルだと思います。先に述べた足かせになる原因をクリアできる業界、ビジネスモデル、企業等に入社します。具体的には外資系企業、人的ビジネスのコンサルやSES等の大手、急成長中のシリーズBやCのスタートアップ等は800を越えやすいです。
特化・専門職化する
特化・専門職化してスペシャリストとして年収を上げる方法ももちろんあります。具体的にはエンジニア採用、ハイレイヤ採用が挙げられます。ただし先にも述べたように採用人数の上限によっていくら特化・専門職化しても大きな価値が生み出せない場合には、上記の環境を変えることと掛け合わせをしなければなりません。
役職を狙う
王道ですが役職に就くことによって年収を上げます。これは他の方法よりも将来的な市場価値にも繋がりやすいため、どんどん挑戦すべきでしょう。ただし先にも述べた構造的な問題として、採用業務の範囲だけでは部門化したりチーム人数を増やしたりできないことも多いので、役職がつかなかったり役職の業務価値が高くなりづらかったりしますので、やはり環境を見定めた上で役職を取りに行くことが重要です。
採用担当者以外の道
採用サービス
採用担当者以外の道を行くのであれば、採用サービスの道が多く開かれます。エージェント、スカウトサービス、その外ATS等のツールも多くあり、そのようなサービスで営業やCSをするというのは採用業務を経験していれば実体験を持ってクライアントワークができますし、人的なネットワークも活かしやすいため活躍しやすいでしょう。このようなビジネス業務は上記で述べたような採用業務では難しかった目標の大幅達成もできますし、人数も多くなりやすいためマネジメント価値も上がりやすく採用業務で足かせとなっていた原因をクリアできます。採用以外の人事職
人事の採用以外の業務を行うということももちろん考えられるでしょう。これが一番の王道かもしれません。このパスを期待する人は非常に多いです。ただし、このパスは非常に長い道のりになる可能性が高く、数年内に年収を大幅アップするという類ではないように思えます。人事業務はスキルを身に着け、取り組みを実行し、そして成果が見えるまでが他業務よりも長い時間がかかります。また人事業務を幅広く行いたいという人は多くいる一方で採用業務よりも人数の上限制約が強くかかります。
現職でこのパスがない場合にはスタートアップなどで採用業務でバリューを出しながら組織拡大に伴い人事全般にスライドしていくことが可能性の観点では一番かなと思います。その他
また昨今ではベンチャーキャピタルのHR部門も増えており、そのようなパスも面白いかもしれません。ベンチャーキャピタルは多くのお金が動きますし、業界としては金融も含まれるので新しい学びやさらなる別パスの可能性も生まれるかもしれません。
大まかなキャリアの志向性
ここまでのいくつかの選択肢やパスがあることを書きましたが、どのようキャリアを進むことが自分に合っているかと考えている方も少なくないと思います。
このような際によく下図のような志向性を問います。
まずご自身が狩猟民族タイプなのか農耕民族タイプなのかを自覚していただきたいです。狩猟民族は比較的短期で目に見えやすい成果を追いかけることに喜びを感じる人で、農耕民族タイプは中長期で目に見えづらい成果を追いかけたり、そのために仕組みを整えたりすることに喜びを感じる人です。
また全体と個別の出来事のどちらに興味が強いのかを意識できると良いです。全体として成果を出したい人は多くの求職者やチームに影響する取り組みが得意でしょうし、個別の出来事に興味が強い方は一人一人の求職者やお客様に向き合うことが得意なためそれに見合ったキャリアを選択することがおすすめです。
もちろんこれらの切り分けは「どれか一つに分類される」というものではありませんが、一つの参考にされてみてください。
●キャリアを積むために獲得すべき能力・経験
上記の整理で向かうべき道がなんとなく見えたら、日頃の採用業務の中でより意識して獲得すべき能力や経験が見えてくると思います。これも本当に様々ですが、特に重要だと思う内容をざっと書いたものがこちらです。
これまでの経験(採用業務以外でも)や得意なことを見定めて、自分が歩みたいキャリアパスのために、次に獲得すべき能力や経験に目星をつけてください。そしてどんな能力や経験が自分にはあるのかを言語化して人に説明できるようにしてください。
「採用業務をより質高くできる」「採用業務の経験が豊富」といった言語化からもう一歩進めそれらを支える能力や経験が何かを説明できるようにしてみてください。このような言語化はフリーランスになるにしても、副業をするにしても、環境を変えるにしても必要になりますし、採用担当者以外の道を進むにしても大切になります。
●採用に投資する業界・企業は増えている
ここまで採用担当者は年収に頭打ちラインがあり、その原因を見定めてハックしながらキャリアパスを考えましょうという話をしてきました。
とはいえ、今後は年収の頭打ちラインはどんどん上がっていくと思います。人手不足の市況から採用の難易度や専門性を認め、事業の基幹となる役割として捉える業界・企業は増えています。結果として採用業務の位置づけを人事部門の一部分という捉え方ではなくひとつの部門として扱ったり、配置を経営や事業部門の直下に置いたりする企業も増えています。また採用費用や採用チームの人件費も"攻め"として投資する企業が増えています。
このことから、現在採用業務に関わられている方は現状のキャリア構築の難しさを理解しつつも、決して悲観的になることなく採用業務に向き合ってほしいなと考えています。
●壁打ちウェルカムです!
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