消したら増える 秘密の情報
2020年2月20日、ダイヤモンドプリンセス号の集団感染事故で厚生労働省の橋本岳厚労副大臣が、
船内の感染対応を示す画像をツイートしました。
写真は2つのドアの手前で撮られたもので、
左のドアがが清潔ルート、右が不潔ルート、と示されたものです。
しかし、ドアの向こうの部屋がつながっているのが分かるもので、
「これではウイルスが自由に行き来できるじゃないか」
との批判が相次ぎました。
厚労省はこの批判に対してすぐ画像を削除するんですが、
瞬く間にその画像はコピーされて拡散されてしまいました。
ストライサンド効果
削除された画像が急激にコピーされ拡散されてしまう現象。
これにはこんな名前があります。
ストライサンド効果
=消すと増える法則ですね。
人は色々勘ぐるもので、削除されると「そこには何か秘密があるのでは?」と考えてしまいます。
なので消された画像などのコピーを探し出して、
なぜ消されたのか?
やましいことがあるのではないか?
と純粋な正義感や面白さによって拡散されていくのです。
ストライサンドの由来
ストライサンドという名前は、アメリカの歌手・女優のバーブラ・ストライサンドからつけられました。
2003年、インターネット上にバーバラの自宅が公開されてしまいました。
彼女はその画像の公開を差し止めようと裁判を起こしますが、かえって世間の注目を集めてしまいました。
この事件と、インターネット上で頻繁に起こる消したら増える現象の本質が同じであるため、
ストライサンド効果という名前がつけられました。
規制されると売れる
ストライサンド効果は様々なところに顔を出します。
例えば規制されると売れる法則。
2020年2月13日、シンガーソングライターの槇原敬之容疑者が逮捕されました。
その後、彼の楽曲の規制されると危ぶまれ、楽天の売れ筋ランキングに彼の手掛けた曲が並ぶようになりました。
2020年2月13日19時7分時点の売れ筋ランキングでは、
2位、3位、5位、8位、9位が彼の手掛けた曲だったそうです。
これもストライサンド効果の一種ですね。
大麻合法化で犯罪が減少
大麻(マリファナ)が規制されているから犯罪が起こるのではないか?
アメリカではこういう考えが主流となりつつあります。
つまりストライサンド効果と同じく、大麻は規制されるから需要が高まるのではないかという理論ですね。
実際、アメリカの国境付近では、大麻の合法化により凶悪犯罪が減少しているというデータがあります。
強盗が19%、殺人が10%、暴行が9%減少
また薬物法関連の殺人では、41%も減少
今までは、大麻の需要に対して供給がないので、犯罪に利用されていたようです。
でも、需要に対して供給がマッチしたので犯罪を犯さなくても手に入るようになったんですね。
(だからと言って、僕は大麻合法化に賛成という立場ではありませんが)
忘れられる権利
ストライサンド効果=消すと増える法則
今までの現象を見ると、これは普遍的な人間の心理なのでしょう。
ただネット空間では一度拡散されると削除が困難になってしまいます。
おおもとのデータは消せても、コピーがコピーを量産していくので全てを追うことは不可能とされます。
公にするとまずいデータを誤って公開してしまった場合消さないわけにはいかないでしょう。
またリベンジポルノのように、故意に公開されたプライベート情報も全て削除しなきゃいけません。
個人情報の誤った拡散も心配です。
一度拡散された情報は一生消えない。
そういう認識が求められているのかもしれませんね。
右から流れてきた情報を単に左に流すような作業はやめて、一度これは拡散していい内容なのかを精査する。
こういう意識を持つことが大切ですね。
誰が何を拡散したか?
AIは全て見ています。
その情報がデジタルタトゥーとして「逆に」一生あなたについて回るでしょう。