だから僕はジャ○ーズにならない。
鳴り止まぬ大歓声。
それは女性特有の黄色い声援などという可愛いモノではない。
黄色を通り越して、もうそれはパーマネントイエローディープの轟音。
声が激しすぎて、もはやパチンコで大当たりした時の筐体の中にいる気分だった。
そんな東京ドームの中で僕は立っていた。
観客席であるが。
〈〈SixTONESのライブ行かない?〉〉
そんな姉からのチャットがキッカケで、僕は初めてジャ○ーズ(今後はJと表記)に向かうことになった。
ライブを行うのはSixTONESと呼ばれる、わりかし最近デビューしたグループである。
既に姉から布教はされており、僕も既に好きになっていたので二つ返事で参加することにした。
東京ドームに着くと、人人人の多さ。
※『人人人』って曲が最高なので是非聴いてみてね☆
「ほぼ女性やね、流石J」
身体は入り口に向かいながら、声だけで隣にいる姉に話しかける。
「そんなことないよ。コレでもJのコンサートの中じゃ男性いるほうよ」
これで!?
もうここは女性専用車両のようなものよ。
男は頑張って家族のために手を上げなきゃいけない場所!
と心のファンモンを抑えつつ、会場に入る。
中に入ると勿論だが更に女性の密度が上がる。
香水の匂いも集合し、次はRUSHの店内にいる気分になった。
また地べたに座る人や、チケットの交換待ち?なのか謎にスマホをいじりながらタムロしている人が多くいて、正直治安は良くなかった。
「その行動はアイドル悲しむぞ!」と僕は実質アイドルなので代弁したかったが、女性に優しくするという心の善のアイドル性が優り、その行為は断念。
その代わり、みんなにとびきりの笑顔を向けた。
「ヒッ!」
地べたに座っていた女性は照れなのかすぐに目を逸らした。
え、、、??どんな顔だった????
もういいや。
はははははははははは!
母なる大地に感謝!!!!!!!!
そんなこんなでライブスタート!!!
SixTONESの売りは、ジャンルレスな数多の楽曲と歌唱力である。
Jらしからぬ、クラブソングのような激しくも楽しい曲が多い。
ライブはクラブの中にいるような場面もあれば、
しっとりと感動できる場もあるという心揺さぶられる演出になっていた。
ここで冒頭に述べた轟音の中に至る。
羨ましい、、
こんなにも女性の目と声を集めて、輝いている彼ら。
もはや憎らしささえ生まれかけていたが、
僕はここでふと思った。
Jの人はこの中の誰とも付き合えないんじゃね?
彼らはアイドル。アイドルとは偶像、信仰の対象なのである。
彼女らからしたら一種の神なのである。
日本は八百万の神の国。
もしかしたらアイドル文化が根付いたのもそこが大きいのかもしれない。
流石にそれは考えすぎか・・・?
話が逸れたが人間は神が汚れることを嫌う。
だからアイドルが誰かと付き合うとかいう、類の報道には過剰に反応する。
アイドルはあくまでも手の触れられないところにいて欲しいのだ。
その神性を守るためにトップアイドルは、合コンや相席屋もいけないし、気軽に異性とご飯すら行けない。
これはとんでもない苦行であり、凄いことだよ。
まともなメンタルでは真似できないでしょ。
「アイドルすげぇわ。。。」
そう口から感動を溢しながら後半のライブを観ていた。
そのライブの後日、Jが問題があった影響なのか、年齢制限なしの募集を出していた。
勿論目立ちたがりの僕は興味を惹かれた。
しかし応募はしない判断をした。
きっと神から見てる世界はサイリウム以上の輝きがあることだろう。
普通の人間ではできない体験も沢山あるはずだ。
でも神はずっと神であらなければならない。
彼らのパフォーマンスがそれを教えてくれた。
だから、僕はジャ○ーズはなれない。
いや負けず嫌いの僕はあえてこう言う。
だから、僕はジャ○ーズにはならない。
「姉が応募して・・ジャ○ーズに入りました」
ちなみにこれは、人生で言ってみたい台詞TOP5に未だに入っている。