「ホープ」第2話 #ジャンププラス原作大賞#連載部門
ディシェットを歩くミュートとフレン。
ミュートはアクシディアの言葉を思い出していた。
ミュート「アイツ、、、」
回想「せいぜい頑張って生きてみろ、ウルゴスの末裔。そして、おれに未来を見せてくれ。」
フレン「どうしたの難しそうな顔して?」
ミュートの顔を覗き込むフレン。
ミュート「いやさ、あいつの言ってた言葉が気になってよ。」
フレン「アイツってあの軍服の、、、アクシディアって呼ばれてたっけ?」
ミュート「そう。あいつ未来がどうとか末裔だなんだって訳わかんねぇ事ばっか言いやがって。それに俺の家族のことも知ってるみたいだったし、いったい何者だったんだ?」
フレン「うーん。助けてくれたみたいだし悪い人じゃ無いんじゃないかな?」
ミュート「おれの船撃ち落としやがったんだぞ!」
怒るミュート。
フレン「あはは、、、ごめんごめん。でもとりあえずは言われた通り船のパーツを探さなきゃ!」
ミュート「そりゃそうだけどさ」
視界の先に船の残骸が見えてきた。
フレン「あ!見てミュート!あれ!あいつの言ってた船の残骸だよきっと!」
ミュート「おおー!ほんとだ!」
駆け寄る2人。
ミュート「よし!これでおれの船が直せるな!」
フレン「そうだね!この中から使えそうなエンジンを探さなきゃ。」
探しながら周りを見渡すフレン。
フレン「ここにも、、、沢山の人々が生きていたんだろうね、、、豊かな文明を作って、、、」
ウッド達のことを思い出すフレン。
ミュート「あった!!!」
瓦礫の中から大きな声を上げるミュート。
フレンが覗き込むとミュートが大きなエンジンを抱えていた。
エンジンを取り付ける2人。
ミュート「これでよしっと!」
エンジンには風のマークが付いていた。
フレン「随分不格好だけど、大丈夫…?」
ミュート「大丈夫だって!なんとかなるさ!」
フレンの不安をよそにエンジンをかけるミュート。
ブルルルン
ミュート「よし!行けそうだ!乗れフレン!」
2人が乗り込み船はディシェットを出発した。
宇宙空間を進む船の中。
ミュート「とりあえずは近くの星に行ってメカニックを探さなきゃなぁ。」
フレン「そうだね、僕らの腕じゃそこまで遠くまで飛行できないだろうし…」
そんな話をさえぎりエンジンから不穏な音が聞こえてきた。
フレン「ねぇ、ミュート。これ…大丈夫かな?」
ミュート「へへぇ…どうだろうね…?」
エンジンの異音は大きくなっていく。
フレン「まずいよミュート!このままだと壊れちゃう!近くの星を探さなきゃ!」
ミュート「わ、分かってるって!ええーと…」
ミュートはモニターの地図から一番近い星を探した。
ミュート「よし!この星にしようここからスグだ!」
その時、エンジンがブスんっ!と大きな音を立てた。
ミュート「まっずい!」
船は今話した惑星にどんどん引き寄せられる。
フレン「ミュート、もしかしてこれって…」
ミュート「わりぃ!墜落するかも!」
フレン「い、いやだぁ!お父さん!」
泣き出すフレン。
そのまま落ちていく船。
船はまたもや不時着してしまった。
煙から出てくる二人。
不時着した星は夜のようだった。
奥の方に花畑が咲いている。
ミュート「いてて、またやっちまったぁ」
フレン「ここ、どこだろう…?あ!」
周りを見渡すと小さな村のようなものが見えた。
ミュート「おお!村だ!メカニック居ねぇかなぁ!」
村に走っていくミュート。
フレン「あ、ミュート待ってよー!」
村はとても寂れて朽ち果てていた。
ミュート「うん?誰もいねぇのかな?」
フレン「んん〜…あ!まって!」
近くの焚き火に消したばかりの跡があった。
ミュート「なぁフレン」
フレン「うん…ミュート…」
家々の影から人の気配がする。
その時、突然ミュートとフレンは緑のツタのようなもので引っ捕らえられてしまう。
二人「うわぁ!?」
家々の影からどんどん人が出てくる。
皆髪に花が咲いていた。
村人「お前ら!シャドウの仲間か!」
村人は大きな針を2人に突き立てて聞いてくる。
ミュート「シャドウ?なんの事だ!おれらはただこの星に不時着しただけで」
フレン「そ、そうなんです。僕達船が故障して不時着しちゃって…」
村人「ふん!シャドウの仲間では無いんだな!見たところ短命族か…」
後ろからススキの髪をした老人がやってくる。
村人「長老様!」
長老「短命族か。珍しい客人じゃな。」
村人達の刺すような目付きが一気に緩んだ。
村人がツタを解いてくれる。
村人「すまなかったないきなり襲ったりして」
ミュート「そうだそうだ!おれらなんもしてねぇじゃねぇか!」
フレン「まあまあ」
村人「最近はシャドウの連中がこの村をよく襲うもんだからつい慎重になってしまうんだよ。ほんと済まない。」
ミュート「まぁ、謝ってくれるなら許す!で、シャドウってのは?」
村人「数年前にこの惑星フルールを襲ってきた不死族の盗賊だよ。今でも僕ら花の長命族は奴らに虐げられているんだ。」
ミュート「ふーん、大変なんだな。あ、そうそうおれら船が故障しちまってさ。修理できるやつを探してるんだけどよ。」
村人「あぁ、それならウィンドさんがいいよ。凄腕のメカニックがいるから案内してあげるよ。」
ミュート「おお!ありがてぇ!」
長老「ジニア!おいジニア!」
ジニア「あ、ごめん長老が呼んでるや。ちょっと待ってて!代わりの案内役を連れてくるから!」
しばらく待っているとジニアが2人の女の子を連れてきた。
ジニア「この子達は僕と同じ孤児院の子なんだ。」
女の子1「こんにちは」
女の子2「こんにちは」
女の子1「私はアントス・リリィ」
女の子2「私はアントス・カラー」
リリィ「私達双子なんだ」
カラー「なんだ」
リリィ&カラー「よろしくね!」
ジニア「それじゃあカラー、リリィこの人達をウィンドさんの所までよろしく」
リリィ&カラー「はーい」
2人の案内でメカニックのウィンドの元へ向かうことに。
リリィ「ウィンドさんはね本当に凄いメカニックなんだよ!私達の救世主なんだ!」
ミュート「へぇ、そんなすげぇのか!」
カラー「うん!シャドウの奴らをやっつける武器をいっぱい作ってくれたんだ!だからこの村はまだ残ってるの!」
フレン「残ってる?」
カラー「うん!この惑星フルールにもね昔はいっぱい村があって私達花の長命族が花の都を作って暮らしていたんだ。でもシャドウのせいで色んな村が襲われて…」
リリィ「シャドウって影の不死族なんだ。だから私達花の長命族にとっては天敵なんだよ。私達太陽の光が無いと枯れちゃうから。」
フレン「そっかだからこの星はこんなに暗いんだ。夜だったんじゃないんだね。」
そうこうしてるうちにウィンドがいるという建物に到着する。
リリィ&カラー「こんにちわー!」
村人「おお、リリィちゃんカラーちゃんいらっしゃい」
リリィ「ウィンドさん今話せる?」
村人「ああ多分大丈夫じゃないかな?」
カラー「じゃあこっちきて!」
2人に連れられてある部屋に向かう。
部屋には色んな武器やメカが転がっていた。
その奥にモニターがあった。
リリィがモニター横のボタンを押す。
するとベルが鳴り始めた。
モニターに風を纏った女性が映る。
風女「はいはーい。」
カラー「あ、ウィンドさん!良かった出てくれて!いま大丈夫です?」
ウィンド「ええ、大丈夫よ」
ミュート「この人がウィンドさん?」
カラー「そう!」
フレン「この星にいる訳じゃないんだ」
リリィ「ウィンドさんは遠くの惑星ダテラジエールに住んでるんだけど私達に力を貸してくれてるの」
ウィンド「で、その子たちは?」
リリィ「この子達この星に不時着しちゃったみたいで船を見て欲しいんですって!」
ウィンド「なるほどねぇ。で、いくら払えるの?」
ミュート「げ!金取んのかよ!」
ウィンド「あったり前じゃない。こちとら仕事でやってるのよ。」
フレン「じゃあフルールの人たちからもお金を…?」
ウィンド「いや、この子たちは特別。昔からの仲だからね。」
ミュート「なんだよそれ!ずるいじゃんかよ!」
ウィンド「文句があるなら見ないよ帰んな」
突っぱねるウィンド
フレン「大丈夫!お金ならあります!」
ミュート「フレン!」
フレン「大丈夫だよミュート、お金は僕が出す。だからそれで船を修理してこの旅を続けよう。」
ウィンド「お金があるなら話は早い。そこのカメラを持って船の様子を見せてちょうだい」
モニター脇に古い通信用カメラがあった。
船をカメラで写す2人。
ウィンド「へぇ、ずいぶん古い型の船ねぇ。で、その片方のエンジンをあんた達が取り付けたと…お粗末なものねぇ」
フレン「あはは、僕ら素人だからねぇ」
ウィンド「ん?ちょっとそのマーク、もっと寄って見せてくれる」
それは風のマークだった。
ウィンド「こ、これって…あんた達どこでこれを?」
フレン「どこって、ここに来る前に寄ったディシェットに落ちてたんです。」
ウィンド「ディシェット…それって惑星フルールの横の?」
フレン「はい、そうです!」
ミュート「それがどうしたんだよ」
ウィンド「なるほどねぇ…」
リリィ「どうしたんですかウィンドさん?」
ウィンド「いやねぇ、この子達の来たディシェット、私の故郷の残骸なんだわ」
ミュート&フレン「!?」
ウィンド「リドュのヤツらにこっぴどくやられてね。私はその生き残りって訳。んでこのエンジンもうちのとこ特注品だね。へぇ、あんた達が持ってきてくれたんだ。しゃーない、今回はお代チャラにしてやるか」
フレン「え!いいんですか?」
ウィンド「ああ、久々に懐かしいの見せてもらったしねぇ。その代わり条件がある。」
フレン「条件ですか?」
ウィンド「ああ、フルールでやる事が終わったら、一度私のとこにそいつを持ってきてくれないか?」
フレン「そいつってこのエンジンを?」
ウィンド「そう。」
フレン「分かりました。持っていきます。」
ウィンド「ほんと?ありがとう。じゃあ、いっちょ修理しますか!リリィ、パン爺呼んできてくれる?」
リリィ「はーい」
ウィンドの修理が始まる。