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ニーズとシーズの関係性を見える化する "Tech Structure(テックストラクチャー)"

今回は、Co-cS(株)が推奨している、Tech Structureという考え方をご紹介します。モノづくり・コトづくりに携わる方には有用な考え方だと思いますので、ぜひご一読ください。

Tech Structureとは?

Tech Structureを直訳すると、「技術の構造」となります。Co-cSでは、モノづくり情報を構造化して整理したものをTech Structureと呼んでいます。

図1

上図の例で説明すると、「綺麗に画像を映す」という市場ニーズを実現するためには、「歪み無く画像を映す」「広い角度で画像を映す」「光を多く取り入れる」ことが求められます。さらに、「歪み無く画像を映す」ためには、「レンズ間の光をノイズなく伝える」必要があり、加えて「レンズを支える」といった機能も必要となります。そして、それらを解決しているのが「封止技術」や「金型技術・射出成形技術」であり、「車載カメラレンズ」の中に含まれる「鏡筒」にはこれらの技術が活用されていることがわかります。

このように、「やりたいことを実現するための課題は何か」と「それぞれの課題を解決するための技術やモノは何か」といった、ニーズ情報とシーズ情報の関係性を一目で理解できるようにしたものがTech Structureです。

ニーズとシーズの関係性の見える化

ニーズ情報とシーズ情報の関係性を理解するという話をしましたが、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

あなたが「脳波計測技術」の研究者であると想像してください。この技術を世の中に売り込むためにはどうすればよいでしょう?

おそらくですが、「脳波計測技術を持っています」と発信しただけでは、日頃から近い領域の分野に携わっている人しか興味を持ってくれないのでは、と思います。それでは、「脳波を計測することで眠くなるタイミングを検知できます」というように、技術が保有する機能を発信するとどうでしょうか?

少しわかりやすくなったので、脳波の分野に携わっていない人でも、眠くなるタイミングを検知できる技術をもともと探していた人であれば、興味を持ってくれるようになったと思います。また、「眠くなるタイミングを検知する」という機能が解決できる市場ニーズを考えると、「ストレスをチェックしたい」や「不眠症を解決したい」といったものがあることに気付きます。このようなニーズを抱えている人にアプローチすれば、あなたの技術を活用した新規事業を検討してくれるチャンスはさらに増えてくるのではないでしょうか。

図2

このように、イノベーションを創出するためには、市場ニーズと製品・技術シーズとの関係性を見える化することが重要です。そのためには、「機能」を明確化することが有効です。機能で考えるというところはモノづくりを考える上で非常に重要なポイントなので、これについてはまた別の機会に詳しくご説明したいと思います。

Tech Structureのメリット

市場 / 機能 / 技術をつなぐという考え方は、MFTフレームワークと呼ばれる分析手法に用いられている考え方と同様です。MFTというは、Market(市場)/ Function(機能)/ Technology(技術)の略で、名前は知らなくとも、考え方自体は知っている、という人もいらっしゃるかもしれません。

Tech StructureもMFTフレームワークと同じ考え方を用いているのですが、その中に構造化という概念を取り入れたところが新しいところになります。ロジックツリーで情報を細かく分解するだけでなく、その先で整理・収束させているところがポイントです。

また、情報の具体化・抽象化をうまく使い分けることで、必要以上の情報は盛り込んでいないこともTech Structureの重要なポイントです。
大量の情報が含まれた巨大なツリーを作成し、データベース化を試みる企業が増えてきていますが、その全体像を把握できず、中身を使いこなせる人が限られてしまっているケースを実によく見かけます。
Tech Structureでは、パワーポイント1枚に収まる程度に整理の方法を工夫することを推奨しています。これにより、これまではうまく活用できなかった情報が容易に理解できるようになり、ニーズ・シーズの双方から製品開発に関する思考が深まったり、コミュニケーションが円滑になったりするのではないでしょうか。

Tech Structureでモノづくりを考えることにより期待できる効果には、大きくは以下の3つが挙げられます。

① 課題を整理・明確化できる
② 製品・技術の強みや特徴を把握できる
③ 関係者間の認識を共通化できる

次回はこれらのそれぞれについて、事例を交えながら詳しくご紹介する予定です。

Co-cS(株)では、Tech Structureを活用したコンサルティングや研修・セミナーを行っています。ご興味のある方はぜひご連絡ください。


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