![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156153010/rectangle_large_type_2_8df898d15f63beae0ee6f01539c131c7.jpeg?width=1200)
イトーヨーカドー津田沼店の思い出
2024年9月29日にイトーヨーカドー津田沼店が閉店しました。
かつては津田沼戦争の象徴的だった大型商店は老いた亀のごとく、ただ静かに引退していきました。
自分にとってのヨーカドーの印象は「駐車場が広い」というなんとも言い難いものです。自分が訪れていたのは10代になるかどうかという幼い日でしたから仕方ないんですが。
当時は全て車を使っていたため、ヨーカドーの思い出は「らせん状の大型駐車場」「駐車場から商業施設へ続く渡り廊下」「食品売り場」という非常に限定的なものです。もちろん津田沼ヨーカドーの売りは新京成と直結しているという利便性ですが、自分のように駅でむかうより車の方が早い人間にとっては全く意味がありませんでした。
そして食品売り場以外にはいかなかったらしく、他の階になにがあったかは全く覚えていません。
なのでヨーカドーの思い出はやたらと広い駐車場に集中していました。
大人になって津田沼を訪れるようになると、当時の印象がまるで当てはまらないことに愕然としました。
そもそもヨーカドーの外観を駅の方面からみるようになり、こんなにも小さい商業施設だったかなという印象が強いのです。
駐車場を使わないヨーカドーは隣のイオンに比べると、本当に田舎のショッピング施設です。駐車場から伸びる長い渡り廊下を縦横無尽に駆け回っていた記憶がほんのりある一方、こんなに天井狭くて使い勝手が悪くて没個性的なものだったんだと少し衝撃を受けたのを覚えています。
今日、そんなヨーカドーの閉店日に子供と訪れました。
ヨーカドー自体には今年の初めに少しだけ立ち寄ったのですが、その時は閉店の話も聞いていなかったので何とも感じていませんでした。ただ一つだけ、7階のレストラン街の異様さが印象的でした。
業績が悪化しているとはいえ駅に隣接した大型商業施設なのに、飲食店が最ゼリア1店舗のみ。隣接したマクドナルドは先月閉店しているという異常さ。記憶の中のヨーカドーで飲食した経験はほとんどなく、サイゼリヤがあることすらその日に知ったくらいです。けれどそれにしても変だなとは思っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1727623170-XtMn89kDAL1PmybVfUcOqReN.jpg?width=1200)
この時ようやく、津田沼のヨーカドーが閉店する可能性があたまをよぎります。そしてそれが現実になったわけです。
津田沼に再訪しようと考えたのはこのときの印象が大きかったと思います。自分の記憶の中に儚くあった思い出の地が今現在の風景と歪に結びつき、強烈な違和感となったのです。
その違和感と向き合うため、閉店日ギリギリではあるもののヨーカドーに来たのです。
結果的に自分の中にあったヨーカドー津田沼店と現実はほとんど整合性が取れずに終わりました。唯一と通っていたであろう食品売り場に当時の面影はありません。まあそもそも自分の記憶が不確かなことに加え、20年以上の歳月で容易に変化する売り場が自分の印象をとどめてくれているわけもないんですから。
ただ、エスカレーター横にずらっと並んだレジスターの風景は何となく覚えていました。もちろんセルフレジに大部分が置き換わっていたものの、そこはあまり変わっていなかったようです。とはいっても売り場や全体像を含めてほぼ既視感がありません。
また、それ以上に印象深かった駐車場と渡り廊下ですが、こちらは最後まで行くことがありませんでした。単純にスケジュールの都合でいけなかったのと、もしもそこで嫌な記憶を掘り起こしたらと予防線を張ってしまったのが原因でしょう。そこには両親との思い出があったはずです。いま、それを掘り起こすのは自滅行為に等しい。
ただ、ツイッターにて渡り廊下の写真をアップしている人を見つけ、その画像だけでなんとなく記憶がよみがえりそうではありました。実際に訪れたらどう感じていたかは定かではないんですが、嫌なことまで思い出しそうだったのでこれはこれでいいかと。
結果、ヨーカドー津田沼店に対する思い出というのはほぼ記憶のかなたに押しやられて、時間とともに現実も置き換わってしまったようです。そもそも単なるショッピング施設の思い出なんてたかが知れているわけですし、そのなかでも特に没個性的なヨーカドーなので仕方はないかな。
自分の中で津田沼という町は、良くも悪くも雑多でいろんなものがあるところでした。ヨーカドーはその中の一つにすぎません。
より濃い記憶があるのは、駅の南側にあるダイエー(現モリシア)やユザワヤ、あとはもうなくなっている日能研などの受験向けの塾などです。ヨーカドーに頻繁に通っていたのはそれ良い遥か昔の幼い日だったのでしょう。両親に聞いてもよいのですが、片方は虹を渡っていますしもう片方はレスポンスが極めて悪いのでもうどうでもいいんですが。
いま、津田沼は人口増の一方で商業施設がどんどん撤退しています。ヨーカドーは親会社やイオンのためでしたが、次に閉店するのは旧ダイエーのモリシア。こちらは商業施設というよりポケゴーの聖地みたいになってますが。
モリシア自体はたぶんその周辺の住民の需要にこたえられなくなったことが原因なのでしょうが、来年の再開発開始から5年以上のブランクを経てリニューアルするのはだいぶやばい気もします。
正直、津田沼に住んだことはなく、良くも悪くも繁華街という印象だけの街です。今後どうなって自分の生活に影響はしないのですが、やはり幼いころからお世話になっていた街の行く末は少し心配です。
最後に、子供ができてつくづく感じたのですが、思い出というのは様々な形で残すべきですね。自分がこの年になってかつての自分の足跡を感じ取りたいと思っても、ろくな資料も情報もないわけです。大した事ないと思っていてもそれが未来にどんな影響を与えるかわかりません。
明日から出社する人は閉店したヨーカドーを素通りしながら何を思うのでしょうね