第7期指す将順位戦1回戦 たそがれジャムさん戦

指す将順位戦が今年も始まった。始まったってお前、もう3局も終わってるじゃないかと言われればそうなのだが、note書くのに出だしどうするか分からなかったらしょうがないだろということでご容赦お許し。

その第7期初戦のお相手はたそがれジャムさん。事前準備…なんて言えるものではないが、野良の24レート戦で何度か指したことがあり(3回くらい、と言っても1年前とかの話だと思うし、最近は全く指していない)、ほとんど角換わりで戦績的には良い勝負だったような気がしていた。一局一局の内容をしっかり覚えているわけではないが、一度45桂ポンを決められてボロ負けした記憶だけあったので、今回は勝負に徹して矢倉とか雁木とかその類の戦型にしようと思った。

そんなところで対局は開始し、戦型は▲私の雁木vs△たそがれジャムさんの左美濃となった。 第1図はたそがれさんが7筋から仕掛けてきたところ。

第1図

後手の指し方は6筋7筋あたりをポンポンと突き捨て、左美濃の堅さを活かして雁木をボコボコにしてやろうという指し方である。「堅い、攻めてる、切れるか繋がるかはこれから決まる」といった感じで、個人的には後手が勝ちやすい戦型だと思う。しかし、この形になったのは私にとって幸運だった。なぜなら私の知り合いに全く同じ指し方をやってくる人が複数いて実戦例(経験)があるうえ、ソフトで検討もした形だからである(ちなみに友人は9五も突いてきていた)。

上図から▲7五同歩△8六歩▲同歩△6五歩▲7六銀△6四飛▲6七金△6六歩▲同銀△6五桂

第2図

このへんは駒をガンガンぶつけてくるのかなという想定で△6五銀や△同飛を検討しており、桂は考えたことがなかった。最もこの辺りまでくるとあまり検討もちゃんとできておらず、「まあそんなに悪くはならなかったよな~」と思いながら記憶の手順をなぞっているだけだった。このようないい加減なことをやっているといきなり網が破れがちなので、良い子は反面教師にしてほしい。
ところでこの局面での消費時間は先手の私が36秒、後手のたそがれジャムさんが10分51秒で、15分60秒の対局としてはかなり差がついていた。たそがれジャムさんが仕掛け付近で考えているとき、研究済みの局面はノータイムで進めるトッププロみたいだなあなどと画面の前で一人で良い気分になっていた。

第2図から▲8八角△7七歩▲同桂△6六角▲同金△7七桂成▲同角△6五銀打

第3図

想定を外れたと言っても、6五桂に対しての対応は①8八角②5九角くらい。どちらもあったようだが、本譜は①▲8八角を選択。②▲5九角には、△6六角▲同金△5七桂成▲6五歩△6一飛で後の△6七歩などを見せられる順や、その手順中の▲6五歩に△同銀▲同銀△同飛▲同金△6七銀など絡まれるのも気になった。後者は「まあ流石に余せるやろ」感が強いが、実戦ではこういうのが気になってしまうものだ。
本譜に戻り、第3図までの手順中の▲6六同金には△5七桂成を予想していた。ただ、それで▲6五歩と抑えれば、6五に効いている駒の多さと後手の歩切れが先ほどの角を5九に引く変化と比べて勝るので、それなら良いだろうと思った。本譜は△同桂成~△6五銀打と上から押してきて、形勢自体は良さそうなもののどういった手順を選ぶかで迷っていた。

第3図から▲同金△同銀▲2二角△4二玉▲6五銀△同飛▲7六銀

第4図

一旦▲6五同金から金銀を交換して角筋を通すのは良いとして、迷ったのが2二に角と銀どちらを打つかという話である。
まず角を打った場合、一気に激しく寄せに行くのはあきらめることになる。相手は4二から5一のほうへ脱出していくので、それを防ぐには4二の後手玉に対して3三に角を打つ形にしなければならないが、2二に角を使ってしまうとそうはならない。ただし、角を打てば自陣にも効いてくるので、自玉の安全度も増す。この順は安全策なので、銀を打って激しく迫る順を読んでだめなら角を打とうと思った。
というわけで一気に寄せようと思ったら銀を打つことになる。△4二玉に▲2一銀不成は同銀と取ってくれれば▲3三角と打てるが、△6六桂や銀などとされて決まらない。これは相手にかなり駒を渡すことになって紛れる。△4二玉に▲3三銀打を掘り下げたが、全部清算しての▲4五桂を6五の飛車で食いちぎられたり、そもそも玉を引かれても詰まなかったりとうまくいかない。
このようなことを▲6五同金の時に3分くらい考え、結局は角を打ち、▲7六銀と埋めて駒得と厚みを主張した。ちなみに角と銀の選択はソフトの最善も角だったので、嬉しかった(小並感)。

第4図から▲6五歩△3三桂▲2六桂△8四桂▲3四桂△5一玉▲3三角上成△同 銀▲同角成△4二銀▲6六馬△7六桂 ▲7二銀 (第5図) 以下先手勝ち

第5図(以下先手勝ち)

第4図からは6五に歩を打って飛車の効きを止め(ちなみにこの手自体は8四桂が残っているのでソフトの評判は良くないが、元が大差なのでセーフ)、▲2六桂から玉を追い出しておいて6一の飛車をいじめることで左右挟撃を実現して以下は順調に勝つことができた。

全体を通して1局を振り返ってみると、事前の準備が大きかったなと思う。持ち時間をほとんど使わないで終盤の入り口くらいまで進めることができたし、受ける展開でありながらも事前に「これは互角かちょい良し」ということが分かっていたことが精神的にも大きかった。こんなにうまくいくことはそうそうないが、序盤の勉強の大切さを改めて感じた1局だった。



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