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三略講釈【下略-10】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回もしっかり学んでいきましょう。

本文現代語訳

「人と道の関係は、魚と水の関係に似ている。魚は水があれば生き、水が無ければ死んでしまう。だから君主は常に慎んで、敢えて道を失うようなことはしないのである。【これは魚が水を失うのを恐れるのと同じである。】
 力だけの者が要職に就けば、その国の権威は弱まる。力だけの者が生殺与奪の権力を握れば、その国の勢いは尽きてしまう。反対に、力だけの者を押さえていれば、その国は長く存続する。生殺与奪の権限を君主だけが握っていれば、その国は安泰である。
 民衆が使う日用品が足りないようであれば、その国の蓄えも底をついている。民衆の日用品が足りているなら、その国が安泰な証拠である」

解説

ここで出てくる道とは、前回のお話した天道と考えて差し支えありません。
水が無ければ魚は死んでしまうように、人は道から外れれば報いを受けるので、君主は道から外れることを恐れるのだということです。
力がある者とは単なる力自慢と言う意味ではなく、権力などを含む広い意味での力のある者です。
そういう者が威勢だけを頼って道から外れた行いをすれば国内が混乱しますが、君主がそのような者をしっかり抑えることで国内は安定するのです。

最後の一文は関係のない蛇足に見えますが、国内に問題がある時は民需品が不足するように、民間の部分から不具合が生じてきます。
君主はこのような小さな兆しを見逃さないことで、自分の国を上手く治められているかどうかを知ることができるという一例です。

今回の講釈はここまでとなります。
それではまた、次回お会い致しましょう。

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