籠城戦の原則
皆さまこんばんは、弓削彼方です。
前回は籠城戦が始まる前の、防御施設を活用した戦い方の重要性を解説しました。
今回は籠城戦そのもののお話です。
動画の方が説明が理解しやすいと思うので、動画もご覧ください。
原文が非常に長いので、今回は現代語訳だけとなります。
現代語訳
「防衛をする側は、地の利を活かした築城をすることが大事である。
城を守る時は、城壁の長さが一丈につき十名の兵士が必要となる。これは守備要員だけの話で、打って出るための攻撃要員は別に用意する。
こうして地の利を活かした城で戦えば、味方の兵士一人で敵の兵士十人を相手にでき、敵の一万の大軍にも千人の兵力で対抗することが出来る。城壁が千丈の城を守るには、一万の守備兵が必要となる。
また、堀を深く掘り城壁を厚くして、さらに予備兵力を用意し、兵糧や武器の備蓄も十分にする。これが籠城戦の原則である」
解説していきます。
すでに戦いが始まった後に城や砦の場所を変えることは出来ませんが、城や砦を構える時には、防衛戦での戦いやすさを考えて、山や川などの地形を活かした築城をしなさいと言う事です。
次に守備兵の数についてですが、当時は城壁の長さに比例して増やすように考えられていました。
具体的には一丈(中国では3.3m)に十人の兵士が必要だと書かれています。
これは常に城壁の上に十人居ると言う訳ではなく、通常時と戦闘時の忙しさの度合いや、昼夜の交代などを計算すると十人必要だと言う意味です。
その上で、遊撃部隊として城外に出る攻撃要員が必要ならば、この守備要員とは別に考えないといけません。
城の守りに最低限必要な人数しか居ないのに、打って出て兵力を消耗してしまえば、次は城の守りもままならなくなってしまいます。
この地の利を活かした城や砦の築城と、必要な人数を確保した上で守備要員と攻撃要員を明確に分けると言う基本を守れば、千人程度の兵力でも、十倍の一万の大軍に対抗できると書かれています。
しかしながら、皆さまの世界では武器の火力の向上などにより、城攻めをするには三倍の兵力が必要と言われるようです。
時代の変化を勘案して、ここは三倍の敵軍に対抗できると読み替えても構わないと思います。
さらに拠点そのものの防御力の向上、可能であれば予備兵力の確保、そして戦いに必要な兵糧や武具の備蓄も十分であれば、籠城戦の原則を理解して、しっかり守りを固めていると言えます。
こうであれば、簡単にその城や砦が落ちる事はありません。
こうやって城や砦を守りつつ味方の戦力が衰えない様にし、逆に敵の兵力と士気が失われて行くようにすれば、少しずつですが勝ちが見えてきます。
これが籠城戦の本質です。
防御施設を利用して敵の勢いを削ぎ、籠城戦の原則を押さえてしっかりと城を守り切ることが出来るようになりました。
しかしあと一手、敵に撤退を決心させるにはまだ及びません。
次回は最後の一押しである、援軍について解説します。
今回の解説はここまでと致しましょう。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。
次の記事